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9470 学研ホールディングス

東証P
917円
前日比
-5
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.3 0.76 2.73 163
時価総額 409億円
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決算発表予定日

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学研HD Research Memo(5):2020年9月期業績見通しは新型コロナウイルスの影響を見極め発表する予定


■今後の見通し

1. 2020年9月期の業績見通し
学研ホールディングス<9470>は2020年9月期の連結業績見通しについて、新型コロナウイルス感染症の影響を合理的に算定することが困難なことから一旦未定とし、影響度合いが明らかになってから改めて発表する方針としている。既述のとおり、3月に全国一斉臨時休校があり、4、5月は緊急事態宣言発令の影響で学研教室や幼児教室で休室を一時的に余儀なくされ、また、進学塾では集団塾の休校やオンライン授業への切り替えで対応するなど、業績への影響が大きくなっているためだ。5月25日に緊急事態宣言が解除されたことを受け、これら事業については段階的に正常化に向けて動き始めている。今後、感染拡大の第2波が到来して再度、休業自粛要請などが出ることが無ければ、第3四半期決算発表を待たずに、通期業績見通しも発表されると弊社では見ている。

なお、新型コロナウイルス感染症の事業への影響について見ると、教育サービス事業では、2020年4月7日の緊急事態宣言発令(4月16日に全国に拡大)から5月25日の解除まで、学研教室の休室や進学塾の休校、オンライン授業への切り替えを余儀なくされたほか、新規生徒募集活動も十分行えなかったことで、入会生徒数が低調に推移するなどの影響が出ている。また、学校での夏休み期間が短縮される見通しのため、夏期講習についても例年より規模を縮小して実施されるものと予想される。

また、教育コンテンツ事業では体験型英語学習施設「東京都英語村(TOKYO GLOBAL GATEWAY)」が休業となっていたが、6月1日より順次営業を再開している。ただ、稼働率としては当面低水準が続くものと予想される。学習参考書や児童書、書籍などの書店での販売については一時的に休業の影響で落ち込んだものの、緊急事態宣言解除後は営業再開により段階的に正常化しつつある。

教育ソリューション事業では、幼児教室の休室や幼稚園向け物販の減少などの影響が出ている。緊急事態宣言解除後は、地域の状況に合わせて順次営業を再開している。

医療福祉サービス事業では、高齢者の外出自粛によりデイサービスの顧客数が減少している。また、サ高住などの新規事業所の開業が新型コロナウイルス感染症の影響で遅延しており、2020年9月末の累計事業所数が当初計画の153事業所から148事業所(前期末比12施設増)に見直されている。加えて、マーケティング活動も4月、5月と制限されたことで、新規入居者数の獲得ペースも当初計画よりやや遅れ気味となっているようだ。


教育分野と医療福祉分野を成長エンジンに、持続的成長による企業価値向上を目指す
2. 中期経営計画の進捗状況
2019年9月期からスタートした中期経営計画「Gakken 2020」では、教育分野と医療福祉分野を成長エンジンとして、経営基盤の強化と資本効率の向上並びに株主還元に取り組み、持続的成長による企業価値の向上を目指す方針を打ち出した。

2年目となる2020年9月期は、新型コロナウイルス感染症の影響で短期的に業績にマイナス影響を与えそうだが、基本的な戦略については変わりない。喫緊の課題は、教育サービス事業において落ち込んだ生徒数をどのように回復していくかという点になる。特に、進学塾事業については複数の事業会社で10を超えるブランドを運営しているが、好不調が二極化している状況であり、グループ経営から見た改善余地は大きいと見られる。ブランド力が低下している進学塾については好調塾のノウハウを共有することで、進学塾の評価のバロメーターである難関高合格者数を増やしていくことが回復の近道ではあるが、STEAM教育の導入など新たな施策に取り組むことも選択肢の一つと言える。

保育園や幼稚園などの幼児教育から小学校低学年が主体の学研教室、小・中・高校生をカバーする進学塾までグループで展開している強みをまだ十分生かしきれていないと弊社では見ている。特に、ブランド力のある学研教室では履修教科ベースで会員生徒数は30万人を超えており、1人平均2科目履修しているとすれば、15万人以上の会員生徒数が在籍していることになる。こうした生徒の引き続きグループ内で取り込むことができれば、少子化という逆風下であっても成長余地は十分あると見られる。

また、「教育の学研」として中長期的視野で取り組む分野として、EdTechや英語教育などが挙げられる。EdTech領域としては、映像配信とAIを活用した次世代型の自立型個別学習塾「G-PAPILS」と看護師向けeラーニングサービス「学研ナーシングサポート」を展開している。このうち、「G-PAPILS」については、学習データの蓄積により品質向上を図ったうえで、事業を拡大していく方針となっている。蓄積した学習データをアセスメント事業で活用することで、付加価値の高いソリューションサービスを提供していくことも可能となる。直近では新型コロナウイルス感染症の影響により進学塾でオンライン授業にも取り組むなど、ICTの活用によって多様な教育サービスを提供できるようになってきており、付加価値の高い教育サービスを提供することで生徒を獲得していくことも可能となる。

一方、eラーニングサービスについては看護師向けで業界トップシェアを握っており順調に成長している。サービスメニューとして、介護士向けの学習プログラムも提供しており今後の導入拡大が期待されるほか、将来的には教員の免許更新講習向けや企業研修向けなどに横展開していくことも視野に入れており、一段の成長が期待される。

英語教育に関しては、入試制度改革に対応し、小学生向けの英語教材、英検対策用の問題集や参考書の需要拡大に対応すべく、ラインナップの拡充を進めているほか、国内最大級となる体験型英語学習施設「東京都英語村」の収益化を目指している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

 提供:フィスコ

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