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9468 KADOKAWA

東証P
2,740.5円
前日比
-71.5
-2.54%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
49.7 1.97 1.09 3.03
時価総額 3,886億円
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決算発表予定日

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カドカワ Research Memo(8):メディアミックス戦略の推進により、中期的な成長拡大を目指す


■成長戦略とESGの取り組みについて

カドカワ<9468>は中期ビジョンとして、ネットとリアルを融合したメディアミックス戦略を展開しながら事業を拡大していく方針を打ち出している。成長に向けてIP創出の触媒としての機能を果たすだけでなく、IPをメディアミックスによって多重化していくことで価値の最大化を図るとともに、様々なチャネルにおいてユーザー接点を持つことで収益獲得機会につなげていく。メディアミックス戦略としては、niconicoやゲーム、コミックスなど様々なメディアで生まれた原作(IP)を起点として、他のメディアに展開していく統合シナジー型メディアミックス戦略を推進していく方針だ。

また、製造・物流面では2020年に本格稼働する所沢の最新鋭工場によって出版事業の収益力強化が進むものと予想される。海外売上(海外拠点売上、海外ライセンス売上の合計)は、2018年3月期において100億円程度の売上規模を2021年3月期に200億円超まで拡大していくことを目指している。特に、市場規模の大きい中国市場では外資規制の適用外であるIPの「原案・原作」部分を現地子会社で開発し、メディアミックス戦略の推進により売上を拡大していく戦略となっている。

弊社では、1)同社が推進するメディアミックス戦略が着実に収益に結びつき、そのノウハウが蓄積され、各事業セグメントにおいてシナジー効果が発揮されること、2)出版事業においては、ワンカンパニー制による収益力の向上・安定化が進むなかで、2020年の書籍製造・物流拠点稼働によって収益力の向上が一段と進むこと、3)新規Webサービスの投入と同時に都度課金収益の拡大による新たな成長ポテンシャルが期待されること??などから、同社の業績は中長期的に拡大していくものと予想している。

なお、今後はESGに対する取り組みも強化していくもようだ。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったもので、企業が長期的な成長を実現していくためにはESGの3つの観点での取り組みが必要であるとの認識が国内外で広まっている。また、最近では機関投資家の間でも企業投資の際の評価基準としてESGの取り組み状況を取り入れるところが増えてきている。主には、働き方改革、環境・社会への貢献、コーポレートガバナンス体制のチェック等となる。このうち、働き方改革では女性の活躍状況(役員や管理者の女性比率)やワークスタイルの変革(年間総労働時間の削減、テレワークやフレックスタイム制の導入状況)など、環境への貢献ではCO2の排出量削減やリサイクルへの取り組み状況などが主な項目として挙げられる。

同社で働き方改革と環境への貢献と言う点で見れば、2020年に完成する「所沢プロジェクト」が大きな変化点になると見られる。所沢の新製造・物流拠点の稼働により、書籍の適時適量生産が可能となり、返品率の削減なども含めて、紙の消費量を削減することが可能となり、環境負荷の軽減につながる。また、所沢新オフィスは1フロアで約3千坪と国内最大規模となり、先進的なワークスタイルの変革に挑戦していく意向を示している。最新オフィス機能を備えたクリエイティブな環境で、世界に向けたコンテンツ開発を推進していくと同時に、多様な働き方とワークライフバランスの実現を目指していく。具体的には、場所、働き方を限定せず「目的」によって最善のワークスタイル、ワークプレイスを選択できる環境を整えることで「ワークスタイル変革」を実現する。また、生産性向上を図ることで次世代の競争力を創出し、世界水準のグローバルエンタテインメント企業へと飛躍すべく、魅力を感じる企業風土を醸成していくことで優秀な人材の確保を進めていく。

また、社会貢献の観点では、教育事業として新たに「N中等部」を2019年4月に開校すると発表している。中学生にとって新しい学びの選択肢を実現するため、N高の教育ノウハウを生かして、探究型学習やプログラミング学習を行い、創造力を育んでいく。通学型スクールとなり、東京(新宿)、大阪(江坂)に開設する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《RF》

 提供:フィスコ

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