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カドカワ Research Memo(2):出版、映像・ゲーム、Webサービスの3事業を主軸に展開する総合メディア企業


■事業概要

KADOKAWA<9468>は、出版事業、映像事業、版権事業、デジタルコンテンツ事業、ネットワーク・エンタテインメントサービス及びコンテンツの企画・開発・運営、動画サービスの運営等を行う子会社を傘下に置く、総合メディア企業である。

2020年3月期第2四半期累計のセグメント別売上構成比を見ると、出版事業が54.8%と過半を占めており、次いで映像・ゲーム事業が23.1%、Webサービス事業が12.8%、その他事業(MD、教育、インバウンド関連事業)が9.3%となっている。また、営業利益についてはその他事業の損失を出版事業と映像・ゲーム事業、Webサービス事業でカバーする格好となっている。現在は出版事業が売上、利益ともに主力事業となっているが、今後は自社IPによるメディアミックス戦略により映像・ゲーム事業のトップラインを伸長させ、収益性向上を図っていくほか、2020年3月期第1四半期に黒字に転換したWebサービス事業についても、ファンコミュニティの構築と新サービスの開発・提供により再成長を目指している。

1. 出版事業
同社の主力事業で、紙媒体の単行本、文庫、ライトノベル、コミックスなどの書籍や、電子書籍・雑誌の出版・販売等を行う。加えて、「ザテレビジョン」、「Walkerシリーズ」、「ファミ通」、「レタスクラブ」などの雑誌やムック誌のほか、カスタムメディア及びWeb広告の販売などを手掛けている。

紙媒体の書籍販売はメディアミックスによる作品展開を強みとしており、年間5千点規模の新刊を継続的に発行している。長年にわたるマーケティング実績とデジタル技術の活用により製作・出荷の適正化に取り組んでおり、2020年3月期第2四半期累計の書籍返品率は30%台半ばの水準となっている。

一方、電子書籍では直営の電子書籍配信プラットフォーム「BOOK☆WALKER」にて自社、他社の作品を販売しているほか、Amazon<AMZN>や楽天<4755>など他社の電子書籍ストアで外販を行っている。また、電子雑誌ではNTTドコモ<9437>と協業し、雑誌読み放題サービス「dマガジン」を展開している。ドワンゴが運営していた「ニコニコ漫画」「ニコニコ書籍」「読書メーター」は、2019年3月期に「BOOK☆WALKER」を運営する(株)ブックウォーカーのもとに統合され、グループ全体による電子書籍・電子雑誌事業の強化が図られている。

2. 映像・ゲーム事業
映像事業は、パッケージソフトの販売や映画の企画・製作・配給、アニメの海外版権販売、映像配信などを手掛けているほか、(株)角川大映スタジオ、グロービジョン(株)でスタジオ事業を展開している。出版事業や映像・ゲーム事業から生み出されるグループIPの映像化、実写映画及びアニメ作品の製作配給に注力している。

ゲーム事業は、同社、フロム・ソフトウェア、スパイク・チュンソフト、(株)角川ゲームスがパッケージゲームソフト及びネットワークゲーム、アプリゲームの企画・開発・販売を行っている。ヒットタイトルには「DARK SOULS」「Bloodborne」「SEKIRO」(フロム・ソフトウェア)、「GOD WARS」(角川ゲームス)、「喧嘩番長」「ダンガンロンパ」「ARK:Survival Evolved」(スパイク・チュンソフト)などがある。なお、子会社であったMAGES.については2019年7月に株式を売却し、連結対象から外れている。

3. Webサービス事業
Webサービス事業はドワンゴで展開しており、主力はポータル事業(動画サービス「niconico」の運営等)となる。また、「niconico」の広告宣伝的な位置付けとして各種イベントの企画・運営やイベント会場の賃貸等を行うライブ事業のほか、モバイル事業(携帯電話向けの音楽配信サービス)を行っている。

主力のポータル事業では、ニコニコ動画、ニコニコ生放送、ニコニコチャンネルなどの様々なサービスを提供している。売上はニコニコ動画や生放送を快適に視聴できるプレミアム会員から得られる月額課金収入(550円/月)や、Webサイト上のバナーや動画などの広告収入、有料動画などの視聴の際に利用するポイント収入などから構成されている。2019年9月末時点における有効会員数※1は7,466万人で、このうちプレミアム会員数は171万人(前年同月末比23万人減)と2016年9月末をピークに、減少傾向が続いている。2019年7月-9月における利用状況は、非ログイン視聴UU※2も含めたベースで見るとMAU(月間アクティブユーザー)で2,245万人、DAU(1日当たりアクティブユーザー)で307万人となっている。2018年のバージョンアップで通信ネットワーク品質が大きく改善し、一般ユーザーでもストレスをほぼ感じることなく「ニコニコ動画」のコンテンツを視聴できるようになったことや、非ログインユーザーでも視聴が可能となったことにより、MAU数は緩やかながら増加傾向となっている。

※1 ID発行数から退会者数・不正ID数を除いた会員数。
※2 2018年2月末より非ログイン視聴を可能とした。


一方、企業・団体・ユーザーが動画や生放送を配信できるプラットフォーム「ニコニコチャンネル」に関しては、全チャンネル数が2019年9月末時点で8,960(前年同月末比533チャンネル増)、月額有料チャンネル数1,555(同194チャンネル増)、月額有料会員数108万人(同24万人増)といずれも増加傾向が続いている。

ライブ事業では、「ニコニコ超会議」※1、「闘会議」※2、「アニメロサマーライブ」※3、「ニコニコ超パーティー」※4
などのライブイベントの企画・運営を手掛けている。なお、「ネットとリアルの融合」を実現したライブハウス「ニコファーレ」(六本木)と「niconico」のアンテナショップ「ニコニコ本社」(池袋)については2019年7月末で営業を終了し、両施設で行っていた生放送の配信等については同年11月にオープンした「ハレスタ」(池袋)に引き継ぎ、“リアルとバーチャルの融合”をコンセプトにバーチャルキャラクターによるライブパフォーマンスや、アニメ・ゲーム関連のステージイベントを発信している。

※1 「ニコニコのすべてを地上で再現する」をコンセプトに幕張メッセで行われるニコニコ最大のイベント。参加するユーザーが「全員主役」となり、ネットとリアルが融合した様々な企画を展開する。2019年4月27日、28日に開催された「ニコニコ超会議2019」では、来場者数約16.8万人、ネット総来場者数約666万人となり、闘会議と分離開催後の来場者数としては過去最高を記録した。
※2 デジタルからアナログまで古今東西のゲームが集まる、日本最大級の“ユーザー参加型”ゲームイベント。2019年1月26日、27日に幕張メッセで開催された「闘会議2019」は、「ジャパンアミューズメントエキスポ2019」「eSPORTS国際チャレンジカップ」との初の合同開催となり、会場来場者数約8.4万人、ネット総来場者数約459万人となり、日本のゲーム市場並びにeスポーツ市場の拡大に貢献している。
※3 毎年8月から9月にかけて開催する世界最大のアニソンライブ。2019年は3日間で8.4万人と過去最高の来場者数を記録した。
※4 日本最大級の動画サービス「niconico」の大規模ステージイベントで、niconico内の「歌ってみた」、「踊ってみた」ジャンルなどで活躍するユーザーや、有名アーティストが一堂に会し行われるniconico最大のライブイベント。2019年については開催を取りやめている(2018年は11月3日にさいたまスーパーアリーナで開催され、約1.5万人が来場)。


モバイル事業は音楽配信市場の環境変化により会員数の減少傾向が続いているものの、依然として一定水準以上の利益率を確保している。「シングル楽曲/着うたR」などの配信を行う「ドワンゴジェイピー」やデジタルコンテンツ配信サイト「animelo mix」の運営を行っている。

4. その他事業
その他事業は、クリエイティブ分野で活躍する人材を国内外で育成するスクール「バンタン」、「KADOKAWA Contents Academy」の運営や、「N高等学校」(学校法人角川ドワンゴ学園)におけるネットとリアルを融合させた双方向性を特長とする教育プログラムの提供といった教育事業のほか、キャラクターグッズの企画・販売、アイドルCDの販売等のMD事業、インバウンド関連事業で構成されている。なお、デジタルコンテンツを活用した楽曲の制作・販売やタレントのマネジメント事業については、MAGES.が連結対象から外れたことで、2019年7月よりなくなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《ST》

 提供:フィスコ

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