貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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9433 KDDI

東証P
4,468円
前日比
-103
-2.25%
PTS
4,480円
23:50 03/28
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.7 1.80 3.13 6.43
時価総額 102,885億円
比較される銘柄
NTT, 
SBG, 
SB

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新たな“価値創出”へ、「オープンイノベーション」潮流を追う <株探トップ特集>


―外部技術・アイデア取り込み研究開発効率化―

 企業を取り巻く競争環境が厳しさを増すなか、外部の技術やアイデアを取り込む「オープンイノベーション」への関心が高まっている。市場のグローバル化や消費者ニーズの多様化、製品サイクルの短縮化などから、大企業といえども単独で対応し続けることは難しい。企業がさらなる成長を続けていくうえで、他の企業や大学などとの連携が欠かせなくなっている。

●従来は「クローズドイノベーション」が主流

 従来、企業は競合優位の技術を保有するため、自社内に優秀な研究者を数多く抱え、市場に送り出す商品をすべて自社で開発・製造・管理する「クローズドイノベーション」が主流だった。例えば、ソニー <6758> のウォークマンやトヨタ自動車 <7203> のプリウスに代表される革新的な商品の開発はクローズドイノベーションであり、国内企業の多くは技術やアイデアを自社で囲い込むことで成長を遂げてきた経緯がある。ただ、市場の変化や技術革新が急速に進むなか、競合優位性を持つ技術開発を自社単独で行うには多大な時間や労力、費用が大きな負担となっており、従来のビジネスモデルでは対応できなくなっている。

●民間企業と大学・公的研究機関の連携は増加傾向

 そこで注目されているのが、自社のコア事業だけでビジネスを考えるのではなく、異業種も交えて、すでに確立している技術やアイデアを組み合わせることで、高い次元のイノベーションをスピーディーに提供できる「オープンイノベーション」という考え方だ。最大のメリットは、これまで自社単独で進めていた研究開発を迅速かつ効率的に行えるほか、リスク軽減が図れること。独自性が損なわれる危険性がある一方、相互に触発されて革新的な技術を生み出し業界の勢力図を一変させる可能性を秘めている。最近では企業間の協力だけでなく大学・公的研究機関との共同研究も進んでおり、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が7月初旬に発表した「オープンイノベーション白書」によると、2014年度の民間企業と大学・公的研究機関の共同研究件数は1万9070件と10年度に比べ2割強増え、企業から受け入れる研究費は同期間で3割強伸びている。

●遅れをとっていた国内も成果を挙げる企業が相次ぐ

 海外ではIBMやインテル、フィリップス、グーグル、P&Gなどオープンイノベーションを活用する例が多くみられているが、遅れをとっていた国内でも成果を挙げる企業が相次いでいる。「オープンイノベーション白書」では推進事例として東レ <3402> 、富士フイルムホールディングス <4901> 、コマツ <6301> 、トヨタ自動車、オリンパス <7733> 、東京急行電鉄 <9005> 、KDDI <9433> 、大阪ガス <9532> 、セコム <9735> 、ニトリホールディングス <9843> 、ソフトバンクグループ <9984> を紹介。コマツが国内外のベンチャー企業などとの資本業務提携を加速させていることや、オリンパスが社内外を巻き込みながら新しいコンセプトのカメラ開発を実現していることが一例として挙げられている。

●古河電工は横浜にオープンラボを新設

 こうした動きに衰えはなく、直近では古河電気工業 <5801> が17日に、長年培ってきた技術開発力を発信する場、および社外関係者との交流、議論を通じて新しい価値を創造する場としてオープンラボ「Fun Lab」を22日に横浜事業所内にオープンすることを発表した。「素材の研究は範囲が広いため他社との協業が欠かせない。これまでは各研究所がそれぞれオープンイノベーションを行っていたが、オープンラボの新設でこれを効率化させる」(IR広報部)といい、情報通信技術やエネルギー関連技術、メタル関連技術などで取り組みを積極化する意向だ。

●Dガレージなど3社は研究開発組織を立ち上げ

 デジタルガレージ <4819> とカカクコム <2371> 、クレディセゾン <8253> の3社は7月4日、多様な業界の企業が参画し、次世代の事業を共同で創出することを目的としたオープンイノベーション型の研究開発組織「DG Lab」を設立。ブロックチェーンやAI(人工知能)VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、バイオテクノロジーなどを視野に入れている。

●武田薬、大日住薬は共同研究案件をピックアップ

 研究開発に膨大な時間と費用がかかる製薬会社もオープンイノベーションに積極的だ。武田薬品工業 <4502> は6月初めから7月末にかけて、創薬ターゲットや創薬技術に関するニーズを示し、国内の大学・公的研究機関・企業に所属する若手研究者のアイデアを募集する「COCKPI-T」を実施した。また、アステラス製薬 <4503> や大日本住友製薬 <4506> 、第一三共 <4568> などもニーズを提示し応募された中から共同研究案件をピックアップする取り組みを進めている。

●三越伊勢丹、三井住友FGは異業種との連携を視野に

 このほか、革新の種を異業種に求める動きも活発だ。三越伊勢丹ホールディングス <3099> は今年1月にオープンイノベーションを目的とした投資事業会社を設立したほか、三井住友フィナンシャルグループ <8316> は2月に日本総合研究所(東京都品川区)と共同で異業種連携の事業コンソーシアム「Incubation&Innovation Initiative」を発足させた。また、はるやま商事 <7416> とテイクアンドギヴ・ニーズ <4331> はそれぞれ8月から、スタートアップ企業と大企業の新規事業創出を取り持つCreww(東京都目黒区)との共同プロジェクトをスタートさせている。


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