貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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9418 USENHD

東証P
5,250円
前日比
+80
+1.55%
PTS
5,250円
09:56 03/29
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
26.1 4.39 0.48 33.51
時価総額 3,157億円
比較される銘柄
ラインヤフー, 
KDDI, 
IIJ
決算発表予定日

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USENNEX Research Memo(3):新旧コンテンツの品ぞろえと品質、サービスでグループの成長をけん引


■事業概要

USEN-NEXT HOLDINGS<9418>は持株会社として、連結子会社13社と持分法適用関連会社2社で構成される。子会社各社はグループ内でそれぞれ機能と役割を持ち、各社折り重なり合いながら事業セグメントを構成している。

1. コンテンツプラットフォーム事業
コンテンツプラットフォーム事業では、VOD(ビデオ・オン・デマンド)と呼ばれる映像配信サービス「U-NEXT」を運営している。「U-NEXT」は、映画館で上映された映画やテレビで放送されたドラマ・アニメ・バラエティといった映像コンテンツ、小説・コミック・雑誌・写真集などを取りそろえた電子書籍コンテンツ、そして邦楽・洋楽・クラシック・演歌などが聴ける音楽コンテンツを、インターネットを通じてテレビ(セットトップボックスの接続かインターネット接続で利用可能)やPC、スマートフォン、タブレットなどで視聴する、個人向けの月額課金型の有料サービスである。「U-NEXT」では、旧作を中心とした見放題作品と、視聴ごとに課金される準新作・新作を中心とした作品を提供している。

定額映像配信の市場では、dTV、Hulu、同社(U-NEXT)、Amazonプライムビデオ、Netflixが大手と言われる。NTTドコモ<9437>が運営するdTVは月額500円(税抜。以下同)でコンテンツ数が12万本以上、日本テレビホールディングス<9404>子会社のhuluが933円で40,000本以上、米国巨大資本のAmazon<AMZN>プライムビデオが370円(プライム年会費3,611円)で32,000本以上、同じく米国資本のNetflix<NFLX>が画質により650円/950円/1,450円で3万本と言われている。AmazonプライムビデオとNetflixは海外製の独自コンテンツが得意で、dTVは画質が劣るスマートフォン向けの短いコンテンツが多く、huluは海外ドラマや国内TV番組が多い。近年、dTVとhuluは息切れ気味で、AmazonプライムビデオとNetflixが資本力に物を言わせた販促で伸びているもようである。

これに対して同社は月額1,990円と、一見値段が高いように見えるが、市場の中で伸び率が特に高いと言われている。この理由は、コンテンツの優位性にある。映画やTV番組など65,000本以上の映像コンテンツが見放題の上、レンタル作品が45,000本以上あり、有料とはいえ公開・放送されたばかりの最新作も充実している。さらに、毎月1日に1,200円分のポイントが付与されるので、有料課金の最新作もポイントの範囲内であれば実質無料で見ることができる。また、同社は大手で唯一成人向け作品を手掛けている。成人向けがコンテンツの需要拡大のカギを握るというのは、レンタルビデオの成長期に(株)TSUTAYAが日本に進出した米国大手のブロックバスターに圧勝したことからも理解できる。

そのほか、同社はアニメや韓流ドラマも豊富に品ぞろえしており、オタクや大人の女性の取り込みも進んでいる。もちろんディズニーなどファミリー向けメジャー作品もラインナップされている上、雑誌70誌以上が読み放題というサービスもついている。前述したポイントは、書籍・コミックの購入や映画チケットの割引にも利用できる。さらに、ファミリーアカウントにより4人まで同時視聴が可能であり、セキュリティによって各自のプライバシーも守られる。以上から、実質1人当たり月額約500円と実は安価と言うこともでき、特段にレンタルビデオのリプレースとしては、同社が最適なポジショニングにあると言えるだろう。

一方課題は資金力である。これが映像配信ビジネスにおいて絶対的唯一の成否を分けるポイントではないものの、コンテンツの調達や販促にはそれ相応の資金が必要である。日本人向けでないコンテンツが多いため好評と言い切れないが、米国資本の企業は資金力に物を言わせた集客をしている。AmazonプライムビデオはAmazonプライム会員の特典の1つであるため、実質無料という言い方もできる。Netflixは自社コンテンツに巨額の投資をしている。両社とも高額なTVCMを頻繁に打っている。そのような状況の中で同社は、Webや代理店、シネコンブースでの販売、リスティング及びアフィリエイト広告を駆使し、コンテンツの優位性を地道に訴求することで、毎月安定的にユーザーを積み上げているのである。

事業展開面では、様々な企業と提携関係を構築していることに特徴がある。これまでに、ヤマダ電機<9831>やTSUTAYAなど通信や流通、不動産の大きな顧客基盤を有する企業と提携し、OEM形式でサービスを提供している。ソフトバンク<9984>と組んで展開するアニメアプリ「アニメ放題」や、EXILE TRIBE FAMILYなどのファンクラブ会員だけが登録できる動画配信サービスも行っている。このため、「U-NEXT」の契約者数は3年間で2.4倍、2017年は前年同期比35%増、半年で12万ユーザーを獲得するなど業容は順調に拡大している。定額動画配信サービスの市場規模は2016年で1,600億円強(前年同期比16%増)と言われるが、同社シェアは16%で業界3位を誇る。同社にとって、定額映像配信事業は、主力事業にして高成長事業である。


デジタル通信は顧客基盤拡大及びクロスセル強化を狙う同社にとって大切な経営資源
2. コミュニケーションネットワーク事業
コミュニケーションネットワーク事業では、インターネット回線の販売代理、MVNO(格安スマートフォン販売)サービス「U-mobile」、個人向けの固定ブロードバンド回線サービス「U-NEXT光」及びマンション向けの固定ブロードバンド回線サービス「U-NEXT光01」を提供している。販売代理店サービスでは、従来からNTT東日本及びNTT西日本の提供するフレッツ光回線の販売を中心に取り組み、回線の販売数に応じた販売手数料を両社より受け取り、それを原資に全国に代理店網を広げるという積極展開をしてきた。しかし、2015年2月よりNTT東日本と西日本が「光コラボレーションモデル」と呼ばれる光アクセスサービスの卸売を開始したことで、フレッツ光回線の販売は減少傾向にある。このため同社は、光コラボレーションモデルである「U-NEXT光」の販売も開始した。

MVNOサービス「U-mobile」では、NTTドコモとソフトバンクの通信回線を利用し、個人顧客向けに格安スマートフォンや格安SIMなどを販売している。従来の大手携帯電話会社によるサービスに比べ月額利用料金を低く設定し、家電量販店やWebを中心に販売している。かつては比較的「美味しい商売」であったこともあるようだが、現在では回線サービスもMVNOサービスも、制度変更や大手キャリアの攻勢、競合事業者の増加によって特別な対策が必要なほどビジネス環境が変化してきた。しかし一方で、顧客基盤拡大及びクロスセル強化を狙う同社にとって、これらは大切な経営資源でもある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《TN》

 提供:フィスコ

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