貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

9416 ビジョン

東証P
1,025円
前日比
-22
-2.10%
PTS
1,032.2円
22:41 04/16
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.2 3.44 42.62
時価総額 518億円
比較される銘柄
ベネフィJ, 
ショーケース, 
オロ
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

ビジョン Research Memo(3):グローバルWiFi事業と情報通信サービス事業が2本柱


■会社概要

3. 事業内容
ビジョン<9416>の事業は、国内外でWiFiルーターのレンタルサービスを行うグローバルWiFi事業と、各種通信サービスの加入取次ぎや移動体通信機器・OA機器の販売、ホームページ制作等のサービス提供を行う情報通信サービス事業の2つが主力となっており、その他としてカタログ販売事業やメディア事業等がある。2014年12月期以降の4期間のセグメント別売上推移を見ると、グローバルWi-Fi事業が急成長しており、売上構成比では2014年12月期の36.9%から2017年12月期は59.2%まで上昇しており(2018年12月期第2四半期累計では60.8%)、ここ数年の収益成長のけん引役となっている。

(1) グローバルWiFi事業
グローバルWiFi事業は、業界最多クラスとなる世界200ヶ国以上の国と地域をサービスエリアとし、世界各国の通信キャリア(通信事業者)と直接連携することでローカルネットワーク(データ通信サービス)を仕入れ、各地域に出張や旅行などで渡航する個人及び法人向けにモバイルWi-Fiルーター等をレンタルすることによって収益を得るサービスとなる。

Webサイトやスマートフォン用アプリ、アフィリエイト、法人セールス、パートナー企業(各代理店)等を介してレンタルの申込受付を行っているほか、空港にも直接WiFiルーターを受取返却できるカウンターを設置しており、その数は国内15ヶ所(2018年6月現在)で業界最多となっている。サポート体制についても24時間365日、世界47の拠点で対応している(国内では佐賀県にコールセンターを設置)。なお、海外では欧米、アジア等11ヶ国で子会社12社を展開し、現地でレンタルサービスを行っている。サービス提供エリアの違いにより海外事業と国内事業に区分しているが、ビジネスモデルは同一である。

1日当たりのWiFiルーターのレンタル料金は、各国の通信事業者から仕入れる回線使用料によって変わるほか、通信データの使用可能容量や通信スピード(3G/4G LTE)によってサービスプランが異なっており、おおむね670円?1,970円の範囲で設定されている。また、オプションサービスとして安心補償パック(200~500円/日)のほか、モバイルバッテリー(200円/日)やマルチ変換プラグ(50円/日)等の周辺機器のレンタルサービスも行っている。顧客平均単価は約7,000円(平均渡航日数で約7日間)とここ数年横ばいで推移している。なお、海外渡航者向けのウェアラブル翻訳デバイスとして2017年5月より「ili(イリー)」(500円/日)を、同年12月より「POCKETALK(ポケトーク)」(800円/日)のレンタルサービス※を開始している。

※「ili」は英語、中国語、韓国語に対応。オフラインでの利用で、最速0.2秒で翻訳可能。片方向利用のみ。「POCKETALK」はクラウド環境で世界50以上の言語を翻訳可能。双方向利用が可能。


WiFiルーターの総利用件数(海外→日本、海外→海外含む)は2018年12月期第2四半期累計で96万件、前年同期比31%増となり、ここ数年高成長が続いている。海外渡航者(日本→海外)については年間約1,700万人程度と横ばい水準で推移しているが、スマートフォンの普及により海外渡航中でもモバイルデータ通信のニーズが拡大していること、手軽に申し込みや返却ができサービス料金も国内携帯電話事業者と比較して大幅に割安なこと※が支持され、利用顧客数の拡大につながっていると見られる。また、情報通信サービス事業で培った営業ノウハウを生かして法人顧客数の開拓を進めてきたことも高成長の要因となっている。2018年12月期第2四半期累計における法人ユーザーの比率は件数ベースで39.9%だが、金額ベースでは50.8%となっている。金額ベースの比率が高いのは、顧客平均単価が個人と比較して高いことによる。

※国内携帯電話会社の定額割引サービスとの比較において、地域によっては最大89.9%のコストメリットがある。


a) 海外事業
日本から海外、及び海外から海外への渡航者へ海外の各通信キャリア等から仕入れた回線をセットしたモバイルWiFiルーター(グローバルWiFi)をレンタルしている。サービスの内容は、世界200以上の国と地域で使えるパケット定額制となり、日本と同じ高速通信規格4G-LTEに対応している国と地域の数も87エリア(2018年6月現在)と業界最多クラス、1日当たり500MBまたは1GBという大容量を利用できるプランの提供国も同様に業界最多となっている。

日本人海外渡航者の場合、ルーターの受取返却場所は国内の主要空港15ヶ所(うち、1ヶ所は返却のみ)となっている。ハワイ、韓国、台湾等では現地でも受取返却できるカウンターを設けているほか、空港で受け取れない場合には宅配での受取返却も可能となっている。また、空港カウンターでの受け渡しの待ち時間を解消するサービスとして、2016年から一部の空港で「スマートピックアップ」を導入している。これは、事前にWeb予約申込を行うことで、空港内に設置された専用の無人ロッカーからWiFiルーターを利用者自身で取り出すことができるサービス(スマートフォンで認証)で、業界では同社が先駆けて導入した※。「スマートピックアップ」を設置し待ち時間の問題を解消することで、顧客満足度の向上とリピート率の上昇、競合会社への顧客流出防止につなげている。専用ロッカーは2018年6月末時点で羽田空港、成田空港等の国内主要5空港、合計10ヶ所に設置が進んでおり、今後も設置場所が確保でき次第、他の空港でも導入していく予定となっている。

※2018年に入って競合1社が関西国際空港に1ヶ所設置した。


その他、法人向けのサービスとして、海外渡航時の申込・受取返却手続きが不要な常時貸切サービス「グローバルWiFi for Biz」を提供している。2017年7月より2千台限定で提供してきたが、顧客ニーズに応えるため、2018年 8月にサービス内容を大幅に拡充して本格的なサービス展開を開始している。具体的には、国内でのWiFiサービスの利用を可能としたほか、付加サービスとして「緊急位置情報サービス」の提供(無料)を開始した。「緊急位置情報サービス」とは、海外渡航中の利用者の安否確認が取れない際に、直前までの位置情報と接続時間をWiFiルーターの利用状況から確認することで、迅速な消息情報を提供するサービスとなる。「グローバルWiFi for Biz」の料金体系は、月額基本料金1,970円に海外渡航時に使用した日数分の定額利用料金、及び国内サービス利用時の月額オプション料金(月額3GBまで無料、3GB超は従量課金)を加算した金額となる。

b) 国内事業
海外から日本への渡航者である訪日外国人及び国内旅行、出張者に対して、国内の各通信キャリアから仕入れた通信回線をセットしたモバイルWiFiルーターをレンタルしている。主力サービスは2015年3月にサービスを開始した訪日外国人向けWiFiルーターレンタルサービス「NINJA WiFiR」で、グローバルWiFiで培ったノウハウを生かし、日本ならではの細やかな体制でサービスを提供する。受取返却場所はグローバルWiFiを扱う空港のほか、滞在先ホテルへの宅配サービスや新宿オフィスでの受取りも可能となっている。日本語、英語、簡体字、繁体字、韓国語の5言語に対応している。

(2) 情報通信サービス事業
同社とメンバーズネット、ベストリンクを中心に、スタートアップ、ベンチャー企業、及びその他一般企業向けに、法人のステージニーズに合わせて各種通信サービスや電力サービスの加入取次ぎ、移動体通信機器やOA機器、LED照明機器の販売、ホームページ制作等のサービス提供を行う。

ユーザーニーズを的確に捉え、最適な製品やサービスを最適のタイミングで提供するために、独自のWebマーケティングを活用した集客を行い、コールセンターによる案内※と、情報通信サービス事業を展開している全国7ヶ所の営業所及びパートナー企業との連携による訪問営業の組み合わせにより、効率的な事業運営を行っている。

※佐賀市にあるビジョン・フューチャー・ビジネスセンターの専属コールセンターCLT(カスタマー・ロイヤリティ・チーム)が顧客との契約継続をフォローするCRM活動を行っている。


顧客開拓の主要ターゲットは、スタートアップやベンチャー企業等となり、年間約1.7万社の新設法人※をコンスタントに獲得している。年間の法人登記件数が11.8万件(2017年)であることから、新設法人の7社に1社が同社の顧客になっていることが分かる。同社ではCRMの活用により常に頼れるパートナーとしてこれらの企業との関係を維持し、顧客企業の成長に合わせて電話回線の追加やコピー機といったOA機器、電力サービスなどのアップセル/クロスセルに取り組むなど、継続型のストックビジネスモデルとして事業を展開している。

※同社と新規取引を開始した設立後6ヶ月以内の企業合計。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《MH》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均