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9414 日本BS放送

東証S
906円
前日比
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100株
PER PBR 利回り 信用倍率
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時価総額 161億円
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BS11 Research Memo(6):「4つの“力”」と「5本の矢」で先行5社と肩を並べる存在を目指す


■中長期の成長戦略

2. 中期経営計画の概要
日本BS放送(BS11)<9414>は2016年8月期から2018年8月期までの3ヶ年中期経営計画『Forward 18 by Team BS11』を策定し、現在取り組んでいる。これは、前述の成長戦略の考え方に立脚したものであり、その根本的な理念と目標は「良質の番組をどのように制作・編成し、どのように収益に結びつけていくか」ということである。その実現のための基本戦略として「4つの“力”」と「5本の矢」が打ち出されている。

「4つの“力”」とは企画力、キャスティング力、マーケティング力、及びプロデュース力の4要素を表している。当初は「3つの“力”」としてスタートしたが、2017年8月期にプロデュース力が追加された。プロデュース力の中身は“視聴者・クライアントなど関係者の役に立つ、質の高い情報・番組を提供・制作すること”とされている。これは制作現場ではプロデューサーが担う部分であるが、ここでは、中期経営計画達成に向けて全社員がプロデュースの意識を共有しようという狙いが込められているとみられる。

「5本の矢」とは、“自社制作番組の選択と集中”など、番組作りと番組編成に関する5つの重点施策のことだ。いずれも同社の強みや得意分野に関することであり、成長戦略上、不可欠な項目が並んでいるが、特に重要なのは“自社制作番組の選択と集中”であると考えられる。自社制作番組はプライムタイム(19時~23時)といった最も激戦区となっている時間帯に主に放送される。同社は既に昼間帯や深夜帯においては特徴ある番組ラインアップで競合他社と同等のポジションにある。それに比べるとプライムタイムではまだ改善の余地は大きい模様で、ここでのプレゼンスを確立するためには自社制作番組の一段の充実は避けて通れない課題だからだ。

今中期経営計画の業績目標として同社は、最終年度である2018年8月期において「売上高150億円」の達成を掲げている。前述のように、売上高の「150億円」という規模はキー局系列BS先行5社の売上高の水準だ。同社はここ数年、番組の質向上に取り組んだ結果、視聴者の固定ファンを増やし、クライアント(スポンサー)の増大へとつなげてきている。この勢いを加速させて売上高を拡大し、BS放送業界でトップ6社の一角を占める存在になるという強い意志が、「売上高150億円」という業績目標に込められていると言える。

利益面に関しては目標数値が掲げられていないが、この点については、弊社では以下のように理解している。同社はこれまで、売上原価(及びその中の細分化された各費用項目)や販管費について対売上高比率の目標水準を設定し、厳格な経営管理を行ってきた。しかし今中期経営計画期間においてはそうした制約を一旦取り払って経営の自由度を増し、良質の番組作りを最優先させる姿勢を明らかにしている。それは番組制作費が先行的に発生することを意味し、利益の圧迫へとつながる可能性がある。同社は、今中期経営計画の3ヶ年の間は売上高目標の達成を優先するという経営判断を下し、それが利益目標をあえて外したことへとつながっている。

弊社のこうした理解に対しては、利益軽視ではないかと不安を感じる向きもあろうが、弊社ではその懸念は不要だと考えている。まず第1に、同社は“前期比増益の確保”は依然として目標として保持していることがある。これは中期経営計画の業績目標のイメージ図にも明確に描かれている。第2に、売上高150億円の達成の意味合いはその後の同社の発展・成長にとっては非常に大きく、一時的な利益成長率の鈍化を甘受するだけの価値があると考えられることがある。売上高が15,000百万円の水準に達したということは同社の認知度もそれに見合うレベルに達したということができる。一旦向上した認知度は簡単には低下しないと考えられる。また、売上高が15,000百万円の規模に達すると10,000百万円の時に比べて費用投下の余裕度が一段と増すことになる。第3に、BS放送局の同社は、地上波放送局に比べてローコストオペレーションのコスト構造となっているため、一時的な費用増加を元に戻すことは比較的容易であり、今中期経営計画期間で売上高目標を実現した後は、再び従来の営業利益率の水準を取り戻すことができると弊社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《MW》

 提供:フィスコ

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