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9366 サンリツ

東証S
911円
前日比
+15
+1.67%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.0 0.47 3.18 178
時価総額 54.7億円
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決算発表予定日

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サンリツ Research Memo(3):取扱製品別でも強みは梱包にあるが、医療機器は保管に強み


■事業概要

1. 事業内容
サンリツ<9366>の事業は、梱包事業、運輸事業、倉庫事業、賃貸ビル事業の4セグメントに分けられる。梱包事業は、小型精密機器から超重量貨物まで多岐にわたる梱包を手掛け、製品形状やその特質、送り先(国内外)、輸送状況を考慮し、品質保持やコスト面で最善な梱包形態を提供している。運輸事業は、半導体関連機器や通信機器、計測器、医療機器などエレクトロニクス関連の製品を中心に低コストで配送している。倉庫事業は、梱包工場としての機能も有しており、流通加工や開梱並行処理などの拠点としても機能している。賃貸ビル事業では、本社ビルの一部スペースを賃貸している。

しかし、こうした事業別の分類は、例えば梱包にまつわる輸送や倉庫の売上げが梱包事業に計上されるなど、事業間でクロスオーバーした取引が増えてきているため、実態を反映しづらくなってきた。これに対して、同社は新たに、同社の収益構造をより正確に示すことができる、取引先や製品の特徴による取扱製品群別の分類を始めている。取扱製品群別の分類と同社の機能をマトリックスにすると、祖業である梱包に強みを持つ製品群が多いことが分かるほか、医療機器については梱包よりむしろ保管に強みがあることが分かる。また、売上総利益率が高いのは大型精密機器であり、小型精密機器や医療機器は平均並み、工作機械はやや低めということになる。


高価で繊細かつ複雑な製品を、壊さず期日どおりに顧客の求めに応じて運ぶ
2. 強みの梱包技術
同社の強みは梱包技術にある。梱包とは、トラックや船、飛行機で製品を運ぶ際、壊れないように保護することを言うが、もともと製品自体が丈夫で画一的な大量生産品ならば、梱包に関する高い技術はいらない。大手物流企業が手掛けるのがこうしたサービスで、梱包は保管や輸送といった本来の業務に付け足しただけの作業に過ぎず、標準化や定型化によって規模のメリットを追求しやすい簡単なものになっている。

一方、制御機器や通信機器、医療機器などのように、製品が高価だったり、精密だったり、大小不定形だったりする場合、特別丁寧に梱包しなければならない。そうした製品の梱包は、工場に近接したエリアで手作業によって行われ、もちろんメーカーにとっても物流業者にとっても本業と言えないため、近隣にある梱包の専門業者に下請けに出されることが多い。そこには「梱包技術」があるのだが、規模のメリットが効かないため、梱包技術を売りにする業者は中小企業が非常に多いことになる。梱包を核にする総合物流企業で大手上場企業と言えば、唯一同社が思い浮かぶくらいである。

梱包する際、安全性はもちろん、低コストでスピーディに包む、運搬しやすい、開けやすい、再利用しやすい(ゴミを出さない)など、顧客のコスト削減や環境負荷低減、スピードアップといった複数のニーズに応えなければならない。高価で繊細かつ複雑な製品を、壊さず期日どおりに顧客の求めに応じて安全に運ぶ。それをトータルで実現できるのが同社の強みである。また、梱包がコアビジネスであるからこそ単なる下請けとは異なり、同社から、製品の形状やその特質、取引先の事情などを踏まえた、梱包をベースにした物流提案もできるのである。

梱包の材料は段ボールや木材、鉄などである。段ボールは汎用性が高いため使いやすく、多くの企業が利用している。しかし、同社のように木材や鉄まで幅広く手掛ける物流企業は、そう多くない。また、顧客が製品を海外に輸出する際など、総合物流の機能も併せ持つ同社であれば梱包・保管・輸送が1ヶ所でできるため、非常に利便性が高い。工作機械などかなり大きな精密機器は、クレーンなどの設備や専門的な梱包技術が必要になるため、同業の物流企業から梱包を依頼されることすらある。

顧客の要望を正確に実現するには、オーダーメイドの「包装設計」が必要になる。包装設計のプロセスは、製品の形状や特性、流通条件など諸条件の詳細なヒアリングに始まる。そして、豊富な実績やデータを基にCADを使って迅速に設計するが、もちろんどんな複雑な形状にも対応可能である。CADデータを大型サンプルカッターに転送・出力し、その場で試作品を確認する。流通過程で受ける衝撃や振動、温度条件などを多角的にシミュレーションし、適正な包装設計にフィードバックして完成品にする。

こうした作業を毎日積み重ねているため、同社の梱包技術はますます高くなる。このため、日本におけるパッケージ技術の最高水準を決定する、(社)日本包装技術協会主催の「日本パッケージングコンテスト」では受賞の常連となっており、2017年もテクニカル包装賞を受賞した。また、世界包装機構(WPO:World Packaging Organization)主催のパッケージングコンテスト「World Star2018」輸送部門においてワールドスター賞を2年連続で受賞した。並み居る輸送企業を差し置いての受賞は、梱包業界ばかりか世界の物流業界の中においても、豊富な実績と高い技術力が評価されたものである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《MH》

 提供:フィスコ

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