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9304 澁澤倉庫

東証P
3,095円
前日比
+75
+2.48%
PTS
3,105円
14:56 03/29
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.0 0.78 3.07 14.81
時価総額 471億円
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澁澤倉庫 Research Memo(4):先行費用の発生などにより2018年3月期営業利益は微減益


■業績動向

1. 2018年3月期の業績動向
澁澤倉庫<9304>の2018年3月期の業績は、営業収益63,286百万円(前期比9.0%増)、営業利益3,353百万円(同1.5%減)、経常利益2,498百万円(同26.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,606百万円(同8.4%減)となった。期初の計画に対しては、営業収益で3,586百万円の超過達成、営業利益はほぼ計画線、経常利益で782百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で574百万円の未達となった。

物流業界では国内貨物と輸出入貨物の荷動きがともに堅調に推移、不動産業界では都市部におけるオフィスビルの空室率は低下傾向にあって賃料相場も小幅ながら上昇している。このような事業環境のもと、物流事業では、消費財を中心に物流センター運営や高付加価値業務の拡大を進めたほか、国内外の拠点において新規案件の獲得を図った。不動産事業では、既存施設の保守や改良工事を計画的に実行した。この結果、消費財を中心に物流事業の取扱いが増加、営業収益は増収となった。しかし、業務拡大に伴う作業費の増加に加え、新業務システム更新に伴う償却費など先行的費用の増加により、営業利益は微減益となった。また、ベトナムの内航船市況が一時的に悪化したことから持分法による投資損失を計上、経常利益は増益から減益に転じた。一方、2017年3月期に発生した減損損失がなくなったことから、親会社株主に帰属する当期純利益は1ケタ減益にとどまった。

なお、期中で業績を修正するなど、期初の業績予想に対して「振れ」がやや大きくなった。営業収益の上振れは、倉庫を借り増しするほど消費財の取扱いが好調だったこと、顧客の新商品開発に伴って日用品の輸入が一時的に急増したことが背景である。一方、売上げが好調だったにもかかわらず営業利益が計画線にとどまった理由は、営業総利益は確保できたものの、先行的に上昇した傭車費用や借増しした倉庫賃料など負担が発生したためである。加えて、営業外費用における持分法による投資損失の発生が、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益の「振れ」を大きくした。しかし、「振れ」の要因は一時的または先行的な収益費用の発生によるものが多かったことから、同社のオーガニックな成長への影響は大きくないと見ている。


物流事業は堅調、不動産事業は安定
2. 2018年3月期のセグメント別動向
倉庫業務は、飲料、食品、日用品などの取扱いが増加。保管、入出庫、流通加工などの業務が好調に推移し、営業収益は13,833百万円(前期比11.1%増)となった。港湾運送業務は、船内荷役業務の取扱いは減少したが、日用品の輸出入荷捌業務が増加し、営業収益は6,313百万円(同14.1%増)となった。陸上運送業務は、飲料、日用品、非鉄製品及び輸出入貨物の輸配送業務が増加したことにより、営業収益は30,778百万円(同6.4%増)となった。国際輸送業務は、航空貨物、海上貨物ともに輸出入の取扱いが増加したほか、香港、ベトナムにおける海外現地法人の取扱いも増加し、営業収益は4,566百万円(同27.8%増)となった。その他の物流業務は、物流施設賃貸業務の稼働率向上や通運業務の取扱増加により、営業収益は2,188百万円(同9.9%増)となった。

この結果、物流事業全体の営業収益は57,680百万円(同9.9%増)と増え、営業利益は、業務拡大に伴う作業費の増加や施設賃借費用の増加はあったものの2,564百万円(同8.3%増)となった。不動産事業は、一部施設の賃料改定による不動産賃貸収入の減少はあったものの、賃貸ビルの工事などに付帯する収入の増加により、営業収益は5,685百万円(同0.1%増)となり、営業利益は、賃貸ビルの減価償却費や修繕費が減少したため2,825百万円(同1.2%増)となった。


経営分析指標は財務体質や収益性など全般的に年々着実に改善
3. 経営分析指標の推移
業種特性から倉庫業の経営分析指標は幾分重いという印象がある。同社の経営分析指標は全般的に年々着実に改善している点が非常に評価できる。前々回中期経営計画、前回中期経営計画での戦略が正しかったことが背景にあると考えられる。特に流動性や自己資本比率など健全性の着実な改善は、財務体質に関して強気になれる。また、収益性や利益成長性の動きからは高付加価値化の流れが読取れる。この結果、資産収益性も改善傾向にあるが、資産収益性の水準、なかでもROEの水準については今後の課題と言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《MH》

 提供:フィスコ

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