貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

9142 JR九州

東証P
3,525.0円
前日比
+25.0
+0.71%
PTS
3,524.9円
11:27 04/18
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.6 1.27 2.64 41.79
時価総額 5,545億円
比較される銘柄
JR東日本, 
JR西日本, 
JR東海
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

“3度の暴落”から“トランプラリー”へ、株探記事で振り返る2016年(後編)<年末特別企画>

―右肩上がりだった2016年後半、日銀ETF買い枠拡大で変わった雰囲気―

【前編】から続く

● 変貌の7月、マーケットの奥底で生まれた何か
 7月、相場の奥底で何かがその姿を変えていました。

 裁定買い残に注目したのは連載陣の富田隆弥氏。前年から下げ相場を予想し、6月まで一貫して弱気を続けていた富田氏でしたが、7月に論調が変わります。2日の連載で「裁定買い残が8800億円まで大きく整理進展し、先物の買い余力が膨らんできた点は注目」といち早く変化に言及。9日には裁定買い残が7503億円まで減少したことから、「裁定買い残がカラカラになってきた。こうなると、この先どこかで相場が反転すれば、『裁定買い』の余力が大きいことから日本株は大きく上昇する」と上昇の可能性を指摘。16日に裁定買い残はさらに5772億円まで減少、「ここ数年の裁定残は2兆~4兆円で推移しており、1兆円~2兆円レベルまでの増加は難しくなく、それに伴い日経平均も上昇基調を続ける」と指摘しました。

 杉村富生氏も「売り方は早晩、『ドテン買い越し』に転換する」「すでに、外国人の一部は買いポジションを構築しつつある」と24日に流れの変化を指摘

 政治においても大きな変化がありました。7月10日、参議院選挙が行われ与党が大勝。そして、富田氏、杉村氏の指摘を裏付ける重要な変化が起きます。「日本株『大復活』予兆か――外国人・参院選後“1兆円買い”の意味 <株探トップ特集>」は、売り越しを続けていた外国人投資家の買い転換を特集。また、7月31日に行われた東京都知事選では自民党東京都連の方針に反して出馬した小池百合子氏が圧勝。翌月以降の電線地中化関連株の上昇につながっていきました。日銀の金融政策も転換。ETF買い入れ枠の拡大が決定されます。

 個別でもポケモンGOフィーバー(
任天堂「究極大相場」へ、“ポケモン狂騒曲”で関連株も乱舞 <株探トップ特集>爆騰!ポケモノミクス相場、上昇第二幕入り <うわさの株チャンネル>)、LINE <3938> の上場(鮮烈デビュー“LINE”、高まる期待「グーグル、ヤフー並み成長も」 <株探トップ特集>)など明るい話題が多く、ニュースフローにも変化が見え始めました。

 2016年前半の厳しい相場に打ちのめされ、市場参加者はその数を減らしていましたが、この月、たしかにマーケットには希望の芽が生まれていたのです。


● 夏枯れの8月、育ち始めた希望
 8月の東京株式市場は夏枯れ相場となり、月間の値幅、出来高とも年前半に比べ大きく減少。しかし、7月にみられた変化の動きは着実に力強いものになっていました。参院選を圧勝した安倍内閣は新たな経済対策(開幕アベノミクス“第二章”、「28兆円」経済対策で買われる株 <株探トップ特集>)を策定。経済成長に向け、再び力強く踏み出しました。

 また、当初は消化難だった7月に決定された日銀のETF買い入れ枠拡大の効果が市場で認知され始めます(中村潤一の相場スクランブル 「ETF買い裏街道・意表の低位株に勝機」)。

 この月の終わりには「大相場が来る―『3次元NAND』革新で“半導体株”に異次元買い <株探トップ特集>」を配信。人工知能(AI)IoTフィンテック自動運転車など、あらゆるものが半導体の需要を押し上げる時代が到来していることを伝え、その後も長く読まれる人気記事となりました。

 8月24日にはいち早く「検証・NYダウ“2万ドル”乗せシナリオ、その時日本株は? <株探トップ特集>」でNYダウ工業株の最高値乗せの可能性を探っています。


● 黄昏の9月、長期トレンド変遷の予言
 9月に入っても閑散相場は続きました。値幅、出来高とも8月より低下。ボックス圏の往来相場を「値動きこそ荒いものの『無人のエレベーターが行き来している状態』」と伝えたのは「“外国人売り”と“ETF買い”、日銀『官製相場』の真相 <うわさの株チャンネル>」。しかし、水面下では日銀ETF買いが着実にマーケットに影響を与えていることを記事では伝えています。

 杉村富生氏は「メガバンクの大相場につながる」と月初に予想。2016年終盤の強気相場を先取り周囲を驚かせました。氏が記事中で書いた「1961年以来の長期金利の長期低下トレンドは終焉のタイミングを迎えつつある」は重要な指摘として記憶しておくべきでしょう。


● 出発の10月、200日線突破と外国人買い
 閑散相場は10月に入っても変わりませんでしたが、この月は日経平均株価が7月から9月にかけての高値をブレイクし、前年12月に割り込んだ200日移動平均線を完全に上抜きと、目に見えて相場は良化。投資テーマを扱う特集記事も華やいだものとなり、8日に再び半導体関連株を特集。続いて13日のプレステVR発売、25日のJR九州 <9142> 上場の特集記事などが人気となりました。その中でも特に、年末のプーチン・ロシア大統領来日に向けた「プーチンが来る―復活オイルマネーとロシア関連『動き出した穴株』 <株探トップ特集>」はロシア関連株の相場を掘り起こし数多くの方に読まれました。

 また、海外勢が日本株への投資姿勢を強め始めたことを、「到来“外国人買いの季節”、10月4000億円買い『全情勢』 <株探トップ特集>」、「オイルマネー再上陸を暗示? 不動産株爆上げの真相 <うわさの株チャンネル>」と記事で伝えています。

 杉村富生氏は日経平均は「今年の大発会(1月4日)の終値1万8450円、ザラバ高値1万8951円を奪回する」と2日の時点で明言。そして武者陵司氏も「アベノミクス第二弾の株高が始まった」<前編><後編>で、「2020年日経平均3万円程度の、大きな上昇波の可能性が強まった」と書き注目を集めました。

 10月6日の株探トップ特集「“トランプ大統領”誕生リスク最新情勢、見えた! 選挙後『大幅高』観測」では、「トランプ勝利なら円高進行も株価急落場面は買い場」という市場関係者の声を伝え、その後のヒラリー・クリントン候補優勢の声にかき消されてしまったものの、市場筋から発せられていた重要な声を紹介しました。


● 熱狂の11月、懐疑の中で始まった強調相場
 米大統領選挙は11月8日。開票は日本時間9日の日中に進むため、もし波乱があれば東京株式市場が大きな影響を受けることになります。事前の予想は民主党のヒラリー・クリントン候補の当選を見込むものがほとんど。口汚く対立候補や諸外国を罵る共和党のドナルド・トランプ氏のような従来の政治の枠組みを外れた候補が当選することなどありえない。それが選挙予想のプロや大手メディアの大方の見方でした。フタを開ければ第45代米国大統領に当選したのはトランプ氏で、日経平均は919円安とまたしても暴落。「乱世か治世か―誕生“トランプ大統領”揺れる世界、日本株の行方 <株探トップ特集>」がこの日の“空気”を伝えています。

 しかし、日本が暴落となったその夜の米株式市場は大幅高となり、翌日の日経平均も1092円高と切り返し。極端な値動きとなった背景を「1000円安・1000円高を演出した『アルゴ売買』の真実 <うわさの株チャンネル>」はアルゴリズム売買によるものと紹介。

 トランプ氏当選後の株式市場は日米とも上昇トレンドを描き、株探トップ特集では2日間に渡り「『トランプノミクス相場』が始まった(上)交錯する期待と不安」、「『トランプノミクス相場』が始まった(下)日経平均3万円シナリオの一方で…」でその行く末を追いました。武者陵司氏も「トランプノミクスは日本株を強力に押し上げる」<前編 ><後編 >で、「トランプラリーの持続性は高い」と予想。サブタイトルの「ピケティ氏よりトランプ氏、世界過剰貯蓄に対する最適処方箋」もまた、来るべき時代を鋭く表したものとなるかもしれません。

 一方で、事前の予想と大きく異なった展開に、個人投資家の多くは“トランプラリー”に乗り切れていないとの声も聞かれました。この声に対して用意した「乗り遅れた投資家へ、トランプ『奔流相場』ここからの戦略 <うわさの株チャンネル>(特別編)」は「まず乗るよりない」相場がやってきたというメッセージを伝え、大きな反響を呼びました。


● 希望の12月、V字回復の1年
 12月、日経平均はついに1万9000円台を奪回。1月4日につけた年初来高値を更新しました。2月のショック安に至る年初からの厳しい下落、6月の英EU離脱ショックによる暴落、11月のトランプ当選ショックによる暴落という、1年の間に3度ものショック安を経験しながら年末に高値を更新する劇的な1年となりました。

 武者陵司氏は「日本株急騰、日本経済は壮大なブームへ」< 前編>< 後編>において、1ドル=130円を超えるドル高・円安が進み日経平均は3万円を超えていくという予想の背景を詳細に解説。現在の相場の背後にある構造を理解する上で、必読のリポートとなっています。

 1年を通して追跡してきた外国人投資家動向については、「疾風怒濤の“外国人買い”、メガバンク主導で『上昇相場』第2幕へ <株探トップ特集>」や「中村潤一の相場スクランブル 『海外マネー再上陸で騰がる株』」で秋以降、完全に買いに転じた動きを紹介。外国人好みとされる高ROE銘柄を紹介した「“外国人買い”の波に乗る、高ROE『好業績』リスト 37社選出 <成長株特集>」などが人気となりました。

 IPO関連ではネガティブな話題もあり、長らく上場が待たれたZMP <7316> が上場延期となり、大きな話題となりました(ZMP関連炎上、どうなる自動運転テーマ株、そして全体市場への影響は?)。

 半導体、そしてAI関連についてはこの月も「世紀のビッグウェーブ到来、歴史的『半導体バブル相場』始動へ <株探トップ特集>」、「中村潤一の相場スクランブル 『究極の輝き2017年AI相場本格始動へ』」で追跡。これらのテーマは2017年も市場を盛り上げていくことは間違いないでしょう。

  ◇  ◇  ◇

 2016年の相場は以上で紹介してきたように、年央までの下げ相場と年後半の上げ相場という、対象的な展開でV字を描きました。株式市場は終盤活況に沸きましたが、懐疑の念は強く、上昇に乗り切れていない個人投資家も少なくないようです。

 国際情勢は英EU離脱、米国第一を掲げるトランプ氏の次期大統領就任と、国家間の対立が深まることへの懸念が増しています。市場では長期金利低下トレンドが終焉し、債券から株式へのグレートローテーションが起きるとの声がしきりに聞かれ、2016年は時代の大きな転換点だったと後年記憶されることになりそうです。

 2016年が転換点だったとすれば、2017年は前年に起きた変化の傾向が継続することになるでしょう。株式市場が未来を織り込むということは、英EU離脱やトランプ大統領の誕生によって引き起こされる事態を、2016年の株価は既に織り込んでいるということになります。2016年に起きた出来事が戸惑いを生む一方で、株価が指し示す未来は暗くないと言えるでしょう。当記事が2017年を迎えるにあたって、激動の2016年を振り返る一助となれば幸いです。

株探ニュース

株探からのお知らせ

    日経平均