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9119 飯野海運

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決算発表予定日

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飯野海運 Research Memo(5):2020年3月期は減益


■業績動向

1. 2020年3月期連結業績
飯野海運<9119>の2020年3月期の連結業績は、売上高が前期比5.1%増の89,179百万円、営業利益が同16.8%減の3,976百万円、経常利益が同26.5%減の3,455百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同19.1%減の3,788百万円だった。平均為替レートは109.13円/米ドル(前期は110.67円/米ドル)、平均燃料油価格(補油地:シンガポール)は412米ドル/MT(同430米ドル/MT)、適合油は598米ドル/MTだった。

2019年3月期との比較で見ると、海運業における大型ガスキャリアとケミカルタンカーの市況上昇が増益要因だったが、海運業における入渠費用の増加、不動産業における設備更新費用の増加などで、全体として減益だった。新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、全体としては軽微だったとしている。

全社ベースの営業利益8.0億円減益分析は、増益要因が大型ガスキャリアの市況上昇で7.1憶円、ケミカルタンカーの市況上昇で7.9憶円、減益要因がオイルタンカーの入渠費用増加で9.4億円、ドライバルクキャリアの市況低迷で3.1億円、内航・近海の入渠費用増加で3.6億円、不動産業のテナント退去による稼働減少や設備更新費用の増加で5.2億円、為替・その他で1.8億円だった。

なお、営業外収益で持分法による投資利益311百万円を計上したが、受取配当金が498百万円減少、為替差益が370百万円減少し、営業外損益全体は440百万円減少した。また特別利益で固定資産売却益が1,187百万円減少したが、特別損失で減損損失が1,146百万円減少、投資有価証券評価損が201百万円減少し、特別損益全体は182百万円増加した。

2. セグメント別状況
セグメント別の状況(数値は連結調整前)は以下の通りである。

(1) 外航海運業は増収・増益
外航海運業は売上高が前期比5.4%増の68,391百万円、営業利益が同11.8%増の651百万円だった。オイルタンカーの入渠費用増加やドライバルクキャリアの市況低迷がマイナス要因だったが、大型ガスキャリアとケミカルタンカーの安定収益積み上げ、市況上昇・採算改善などがけん引し、全体として増収増益だった。

なお、オイルタンカー市況は、期初においては低迷していたが、夏場以降、サウジアラビア石油施設への攻撃などを背景に高騰した。期末に新型コロナウイルス感染症の影響で一時落ち込んだが、洋上備蓄需要の高まりで再び高騰した。ケミカルタンカー市況は、世界経済減速の影響で低調だったが、秋口からオイルタンカー市況上昇に引きずられる形で回復基調となった。期末には新型コロナウイルス感染症の影響で若干弱含みとなった。大型LPGキャリア市況は、夏場以降、米国からアジア向け裁定取引の活発化などで上昇し、おおむね好調に推移した。大型LNGキャリア市況は、エネルギー需要期に例年通り輸送需要が見られ、おおむね堅調に推移した。ドライバルクキャリア市況は、米中貿易摩擦などの影響で軟調なスタートとなり、夏場から秋口にかけて一旦好転する場面があったが、冬場以降は下落に転じ、その後の新型コロナウイルス感染症による経済活動縮小も影響して低迷している。

重点施策として、安定収益源となる中長期契約の積み上げ、効率配船による採算性向上、環境への負荷を低減する技術の積極導入を推進した。オイルタンカーは第1四半期の入渠費用で損益悪化したが、期末の2020年3月には同社初のSOxスクラバー(脱硫装置)搭載VLCCが竣工した。ケミカルタンカーはCOA(数量輸送契約)とスポット貨物を組み合わせて効率的な配船に努めた。また2019年12月に同社初の2元燃料主機関搭載船となるメタノール船が竣工し、長期契約に投入された。大型ガスキャリアは既存の中長期契約への継続投入で安定収益を確保した。ドライバルクキャリアは効率配船に努めたが、市況悪化の影響を完全に避けることができなかった。

(2) 内航・近海海運業は減収・減益
内航・近海海運業は売上高が前期比1.9%減の9,244百万円、営業利益が同38.5%減の570百万円だった。内航ガス輸送の市況は堅調だったが、近海ガス輸送の市況が軟調だった。重点施策として中長期契約に基づく安定的な売上確保と効率配船を推進したが、内航において入渠工事が重なったため減益だった。

(3) 不動産業は増収・減益
不動産業は売上高が前期比9.4%増の11,667百万円、営業利益が同15.8%減の2,755百万円だった。飯野ビルディングにおける一部テナント移転により一時的に空室期間が発生したが、好調なオフィスビル賃貸市況を背景に新規テナントの誘致に成功した。一方、飯野ビルディングにおけるLED照明入替工事など設備更新費用の増加、新型コロナウイルス感染症拡大によるイイノホール&カンファレンスセンターにおけるイベント自粛の影響などで減益だった。

ただし、稼働減少や設備更新費用増加は一時的要因であり、飯野ビルディングでは新規テナントの入居が2020年5月に完了し、満床稼働となる。安定収益源であることに変化はないだろう。なお2020年3月には英国ロンドンのオフィスビルを取得(連結財務諸表には2021年3月期第1四半期から反映)し、次世代ビジネスへの取り組みとして海外不動産を事業ポートフォリオに加えた。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《ST》

 提供:フィスコ

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