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9044 南海電気鉄道

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「見守りサービス」の現在と未来、高まる社会的要請と企業の取り組み <株探トップ特集>


―児童・高齢者の安全確保へ増えるサービス提供―

 子どもを狙った犯罪が後を絶たない。警察庁によると、少年が主な被害者となった刑法犯は2001年をピークに減少傾向にあるものの、凶悪犯罪の総数が減少するなかで、殺人によって命を落とす子どもの数だけはほぼ横ばいの状態。また、未就学の年代が被害者となる件数も増減を繰り返しながら、おおむね横ばいで推移している。先日も新潟市の小学2年の女児が下校時に連れ去られ殺害される痛ましい事件があったが、子ども達をこうした犯罪からどう防ぐかは大きな社会的な課題となっている。

 多くの地域や学校では、対策として登下校時の安全対策が強化されているが、これに加えて注目されているのが、子ども向けの見守りサービス だ。

●JR東日本の「まもレール」は対象駅が244駅に拡大

 子ども向けの見守りサービスは、発信機と受信機を連動させたアプリで、子どもの帰宅や外出を知らせる通知を親のスマートフォンに送られるものや、子どもが駅の改札を通過すると、親のスマホに通知が送られるもの、また、GPSを活用することで現在地を確認できるものなどがある。特にここ数年では、携帯電話事業者や鉄道会社が相次いでサービスを提供している。

 その代表的なものが、JR東日本 <9020> とCSP <9740> が共同で展開する「まもレール」だ。同サービスは、子どもが「Suica」や「PASMO」で自動改札を通過すると、保護者のスマホなどに「利用駅」「通過時間」「チャージ残高」が通知されるというもの。昨年10月にサービスを開始して以降、対象駅を順次拡大しており、今年4月1日からは東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の244駅で利用できるようになった。

●校門通過を知らせる阪急阪神の「登下校ミマモルメ」

 同様の見守りサービスは、既に東京急行電鉄 <9005> でも「エキッズ」の名称で行われており、運営する東急セキュリティによると、東急沿線の私立小学校に通う子どもの約半数が利用している。また、小田急電鉄 <9007> も「小田急あんしんグーパスIC」の名称で同様のサービスを展開。さらに関西では「あんしんグーパス」の名称で、阪急阪神ホールディングス <9042> や京阪ホールディングス <9045> 、南海電気鉄道 <9044> などが同様の見守りサービスを導入している。

 一方、鉄道だけではなく、学校の校門を通るだけで子どもの通過情報を保護者にメールするサービスも広がっている。阪急阪神グループで、三菱電機 <6503> なども出資するアイテック阪急阪神は「登下校ミマモルメ」を構築。関西地区だけではなく、関東や東海、中国、九州など多くの自治体の学校や学童クラブ、保育園などに導入されている。

●AIで見守る中部電力の「どこニャン GPS BoT」

 一方、東京電力ホールディングス <9501> では、IoTを活用した見守りサービスのパイオニア企業であるotta(福岡市中央区)と共同で「tepcotta」を展開している。ビーコンを搭載したキーホルダーなどの専用携帯端末を持つ子どもの位置情報履歴を、保護者がスマホやパソコンで把握することができるほか、あらかじめ登録した基地局付近を見守り対象者が通過した場合に、メールや専用アプリで通知を受けることができる。東京の渋谷区や世田谷区、府中市などで導入されているが、東京電力HDでは順次、関東圏にサービスを広げる方針だ。

 また、中部電力 <9502> も、家電ベンチャーのビーサイズ(横浜市港北区)やNTTコミュニケーションズ(東京都千代田区)と共同で、子ども見守りサービス「どこニャン GPS BoT」を今年5月から開始した。子どもの登下校や外出時における現在位置情報や行動履歴が確認できるほか、塾など子どもがよく行く場所を人工知能(AI)が自動的に学習し、登下校や帰宅のタイミングを通知してくれるのが特徴だ。

 さらに、ソニー <6758> 子会社のキュリオでは、スマートタグを利用して、子どもが帰宅すると、LINEやメールで保護者に知らせる「Qrioただいまキット」を今年2月に発売した。帰宅時だけではなく、子どもが家を出た時の「いってきます」のメッセージや時刻もLINEで通知されるという。

●高齢者向けではセコム、ALSOKが代表格

 見守りサービスは、子どものためだけではない。高齢化社会の進展に伴い、1人暮らしの高齢者世帯が増え、孤独死などが社会的な問題になっているなか、高齢者向けに見守りサービスを提供する企業が増えている。

 代表的なものはセキュリティー会社の取り組みで、業界最大手のセコム <9735> は防犯、火災管理、非常通報といったホームセキュリティーサービスのオプションとして、シニア・高齢者向けサービスを展開している。

 昨年7月には、リストバンド型のセンサーを高齢者につけてもらい、生活状況を見守る「セコム・マイドクターウォッチ」を導入した。室内外で突然意識を失って倒れるなど体の動きを一定時間検出できない場合、同社に自動で救急通報され、スタッフが駆けつけてくれるサービスで、スマホと連動すれば睡眠や食事、歩行などの状態もチェックできる。同社ではこのほか、昨年4月から企業従業員向け福利厚生サービスとして、「セコム親御さん安心パッケージ」も販売している。

 同じく、セキュリティー大手のALSOK <2331> も、高齢者向け専用商品として緊急時の駆けつけ、健康・介護相談、持病やかかりつけ病院などの救急情報の登録などをパッケージ化した「みまもりサポート」を提供している。このほかにも、認知症の高齢者向けに、位置履歴が検索できる「みまもりタグ」も開発しており、徘徊対策製品として注目が高まっている。

●製薬会社からエーザイが参入

 新たに見守りサービスに取り組む企業では、製薬会社のエーザイ <4523> が注目されている。落とし物防止タグ「MAMORIO(マモリオ)」を展開するマモリオ(東京都千代田区)と共同で、認知症の人や高齢者を対象とするお出かけ支援ツール「Me-MAMORIO(ミマモリオ)」を開発し、昨年9月に発売した。エーザイは、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症治療薬の開発・販売から得た経験を生かし、認知症と共生する「まちづくり」に取り組んでおり、その一環として見守りサービス向けに同製品を投入した。

 また、テレビCMなどでおなじみだが、離れた家族の安否確認では、象印マホービンの電気ポット「i-PoT(アイポット)」が有名だ。高齢者がポットを使うと、その様子が離れて暮らす家族にメールなどで届き、ポットが使われていなければ異変があったと察知できる。01年3月にサービスを開始して以来、利用者は累計で1万1000人を突破しており、見守り関連銘柄として外せないだろう。

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