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8844 コスモスイニシア

東証S
914円
前日比
-27
-2.87%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
8.1 0.74 1.97 216
時価総額 310億円
決算発表予定日

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コスモスイニシア Research Memo(5):18/3期は業績好調、期初計画を上回る着地となった


■業績動向

1. 2018年3月期の業績動向
コスモスイニシア<8844>の2018年3月期の業績は、売上高100,829百万円(前期比9.2%増)、営業利益4,869百万円(同19.2%増)、経常利益4,367百万円(同25.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,695百万円(同21.9%増)となった。4期連続増収増益、7期ぶりの売上高1,000億円越えを達成、期初予想に対しては、販売好調と販管費抑制により、売上高で2,829百万円、営業利益で469百万円の超過達成となった。

セグメント別では、レジデンシャル事業は売上高39,129百万円(前期比21.6%減)、営業利益1,142百万円(同46.3%減)となった。期初想定通り大幅減収減益となったのは販売戸数が新築マンションで558戸と186戸減少、新築一戸建で55区画と13区画減少、中古マンション買取再販で214戸と103戸減少したことが要因である。また、立地を重視していること、そうした立地の地価が上昇していることから、同社の基準に当てはまる開発物件が少なくなってきていることも要因の1つに挙げられそうだ。

ソリューション事業は売上高47,671百万円(前期比67.3%増)、営業利益4,862百万円(同73.7%増 )となった。大幅増収増益となったのは、マンションのサブリースで空室率が前期比0.4ポイント改善して2.5%と高稼働率を維持していること、投資用不動産等の引渡棟数が増加したうえ売上総利益率が1.3ポイント改善したことが要因である。特に投資用不動産等については、ニーズ拡大の傾向を捉えて、前中期経営計画のときから準備してきたことが奏功した結果と言える。

工事事業は売上高10,406百万円(前期比5.0%減)、営業利益71百万円(同80.3%減)、海外事業は売上高4,328百万円(同7.3%増)、営業利益367百万円(同20.0%増)となった。工事事業は前期のオフィス改修工事受注の反動により売上高が減り売上総利益率が低下したことが要因である。海外事業はオーストラリアのホテル・リゾート運営事業が好調に推移した。

なお、成長戦略により、投資用不動産等や新築マンション、新規事業のアパートメントホテルなど全般的に棚卸資産が増加したが、借入金に依存しておらず、ネットD/Eレシオは改善した。投資用不動産等は動きが非常に好調なので問題ないと考える。しかし、2020年までの事業環境の社内コンセンサスが取れていると思われるため心配はしていないが、やや動きが鈍くなっているレジデンシャル事業の棚卸資産の回転率上昇が課題だろう。ちなみに、「中長期事業戦略」でイメージしている事業規模がレジデンシャル事業もソリューション事業もともに700億円となっているが、2本柱で明暗が分かれており、レジデンシャル事業の巻き返しに期待したい。


2019年3月期は「中期経営計画2018」を上方修正
2. 2019年3月期の業績見込み
2019年3月期業績について同社は、売上高105,000百万円(前期比4.1%増)、営業利益5,250百万円(同7.8%増)、経常利益4,800百万円(同9.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,400百万円(同19.1%増)を見込んでいる。海外のホテル・リゾート運営事業の撤退により、売上総利益の低下、販管費の減少が見込まれるが、営業利益率の高いソリューション事業が拡大することなどにより営業利益率は改善、「中期経営計画2018」最終年度目標を超える計画になった。

2019年3月期のセグメント別業績見通しついては、レジデンシャル事業で売上高38,000百万円(前期比2.9%減)、営業利益1,250百万円(同9.5%増)を見込んでいる。事業環境から、新築マンションの販売戸数はダウントレンドが続くが、新築一戸建は区画数倍増、中古マンションも増加に転じる見込みで、当面はトータルで一定の事業規模を維持する考えに沿った動きとなりそうである。ソリューション事業は売上高55,100百万円(同15.6%増)、営業利益5,560百万円(同14.4%増)を見込む。マンションサブリースは安定的に増加、投資用不動産等は棟数増加と売上総利益率改善を見込む。当初は開業費用等によりやや足を引っ張るが、アパートメントホテルの開発・運営も本格化する予定である。工事事業は売上高11,600百万円(同11.5%増)、営業利益300百万円(同4.2倍)を見込むが、受注や利益率の改善を前提にしている。海外事業は、ホテル・リゾート運営事業からの撤退により売上高1,100百万円(同74.6%減)、営業利益70百万円(同80.9%減)を見込む。


これまでになく中期経営計画は順調に進捗
3. 中期経営計画2018と進捗
「中期経営計画2018」では、当初、最終年度の2019年3月期の目標数値を、売上高105,000百万円、営業利益5,000百万円、ネット有利子負債43,000百万円、純資産29,000百万円、ネットD/Eレシオ1.5倍を計画していた。それが、途中経過となる2018年3月期は、売上高100,829百万円、営業利益4,869百万円、ネット有利子負債42,706百万円、純資産25,824百万円、ネットD/Eレシオ1.7倍と順調な進捗となった。なかでも、営業利益は進捗のスピードが速いため、同社は2019年3月期の営業利益目標を5,250百万円へと上方修正した。

「中期経営計画2018」の途中経過として、レジデンシャル事業では、2016年竣工した「グランコスモ武蔵浦和」に続くアクティブシニア向けマンションの2~4号案件が地方都市の再開発絡みなどで既に内定済みである。いよいよ全国展開に向けて始動というステージだ。リノベーションマンションは3シリーズを軸にあらゆるニーズに応える取り組みをしているが、なかでも「INITIA LINE」は、新築のイニシア並みにリノベーションするためイメージしやすいと顧客に好評で、かつ新築とのシナジーから同社にとっても工事効率やデザイン効率が高くなっている。また、リノベーション工事も顧客からの要望により前期から開始している。

ソリューション事業では、アパートメントホテルの開発・運営事業が急進展している。2018年2月に第1号施設「MIMARU東京 上野NORTH(40室)」を開業、2018年4月末現在既に4施設154室を運営している。2020年に1,500室の稼働を目指しているが、開業済みと開発中案件だけで既に18施設931室に上り、目標は射程圏内に入りつつある。第1号施設のオープン後3ヶ月の状況は、2~4月の稼働率が2月72%、3月83%、4月89%と順調に上向いている。1室単価が30,000円前後、宿泊人数4.2人、1回2.5~2.6泊で、利用者の母国は台湾が4割弱、香港10%程度、ほかにタイや日本、米国、豪州などとなっている。当初想定したとおりの動きであり、2019年3月期中に7~8施設の運営が行われ、2020年3月期には運営事業として黒字化する可能性も出てきたようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《TN》

 提供:フィスコ

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