信用
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)のみができる銘柄
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

8518 日本アジア投資

東証S
228円
前日比
+5
+2.24%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.67
時価総額 40.8億円
比較される銘柄
FVC, 
ジャフコG, 
UNIVA
決算発表予定日

銘柄ニュース

戻る
 

アジア投資 Research Memo(7):今後の収益拡大に向けた中期経営計画を推進


■中期経営計画の進捗

1. 中期経営計画の概要
日本アジア投資<8518>は、2019年3月期より3ヶ年の中期経営計画を推進しており2年目が終了した。「日本とアジアをつなぐ投資会社として、少子高齢化が進む社会に安心・安全で質と生産性の高い未来を創ります」という新たな経営理念のもと、VC業界を取り巻く環境変化への対応や課題解決に向けて、投資方針(本体投資分)の抜本的な見直しを行い、収益拡大に向けた足掛かりを築く内容となっている。すなわち、この3年間を第1段階と位置付け、次の第2段階で収益やキャッシュフローの安定化を実現し、更なる成長に向けた投資を拡大するシナリオである。

具体的には、第1段階として、1)収穫期に入る既存のPE投資資産の売却により、利益・資金を確保するとともに、2)新たな投資方針(詳細は後述)による投資資産の入れ替えを行い、安定収益の拡大と財務健全性向上を目指していく。また、3)金融機関への約定返済の削減と、プロジェクト投資でのプロジェクトファイナンスによる借入金の増加を図る。そして、第2段階として、4)安定した収益とキャッシュフローを基盤として、更なる成長投資を実施する、という2段構えの戦略となっており、本中期経営計画は第1段階として位置付けられる。

(1) 投資種類別の方向性(及び主な修正点)
a) PE投資
ファンドでの投資は、現状のファンドの投資方針を継続する一方、本体投資は、「同社として取り組むべき事業テーマ」を明確に持ち、そのテーマを軸に「企業への投資」(PE投資)と「事業への投資」(プロジェクト投資)を組み合わせる戦略的投資を推進する構えである。なお、「取り組むべき事業テーマ」については、「再生可能エネルギー」のほか、「スマートアグリ」(植物工場等)や「ヘルスケア」(介護施設・障がい者施設)の3つを選定した(なお、ファンド資金による投資は、事業テーマに限らず、これまで同様、出資者ニーズに沿って投資)。情勢に応じて柔軟なテーマ設定を継続する方針であり、前期には「ディストリビューションセンター」(物流施設)にも参入している。

b) プロジェクト投資
安定収益確保のためメガソーラープロジェクトへの投資を継続し、投資残高増加を目指すとともに、その成功ノウハウを生かし、他の再生可能エネルギー(バイオマス、バイオガス、風力等)や新規事業テーマである「スマートアグリ」等へも展開していく。なお、メガソーラープロジェクトについては、これまで以上に採算性を慎重に検証して投資を行う方針である。また、プロジェクト投資資産からの収益を早期に獲得するため、今後の投資実行については、長期保有による安定収益獲得を目的としたプロジェクト投資から、短期(2~3年)での売却を前提としたプロジェクト投資に軸足を移し、長期的・短期的収益の最適な組み合わせを目指す方針へと転換した。具体的には、「植物工場」「障がい者施設」「メガソーラー以外の再生可能エネルギー」は、これまで同様に、長期保有により安定的な収益貢献を期待する一方、「メガソーラープロジェクト」「高齢者施設」「物流施設」については、投資後2~3年での短期売却と新規投資を繰り返し行うことで資産を回転させ、インパクトの大きな収益貢献を目指す投資と位置付けており、今後は、この分野のプロジェクトに注力していく方針としている。

(2) 当初目標値
a) 収益構造
メガソーラーを軸とした再生可能エネルギー投資資産も必要に応じて売却しながら、既存PE投資資産の早期流動化による収益を通じて、最終年度(2021年3月期)の従来連結基準による「親会社株主に帰属する当期純利益」7億円、「ROE」9%を目標としてきた。

b) 財務バランス
相対的にリスクが低く流動性の高いプロジェクト投資資産を積極的に積み上げるとともに、PE投資資産については、既存資産の早期流動化・収益化及び戦略投資の実行等により入れ替えを図る。具体的には、「プロジェクト投資資産」を90億円、「プロジェクト投資資産の含み益」を200億円にまで拡大するとともに、「現預金とプロジェクト投資資産の合計額が借入金を上回る金額」(財務バランス)を56億円に増加させる。また、PE投資資産(本体投資分)については、投資方針の見直しに従い、戦略的PE投資に入れ替えながら既存資産の(引当後)残高を10億円にまで縮小する一方、新たな戦略投資等の残高(新ファンドの設立を含む)については10億円に増やすことを目指してきた。

2. これまでの進捗と今後の方針
ただ、中期経営計画初年度から2年続けて、株式の売却益が計画を大きく下振れし、その一部をメガソーラープロジェクトの売却(計画外)で補ってきたことから、利益計画の下振れはおろか、プロジェクト投資資産の積み上げにも大きな遅れが生じている。また、PE投資についても、予定していた株式売却の先送り等により既存資産の流動化・収益化の動きに遅れがみられる。一方、戦略投資については順調に拡大しており、2年目で目標(残高10億円)を前倒し達成することができた。同社では、これらの進捗状況や足元での市場環境(コロナ禍)等を踏まえ、最終年度の目標数値を一部見直している。

すなわち、収益目標については、「親会社株主に帰属する当期純利益」を1.8億円(当初計画比△5.2億円)、「ROE」を2.5%(同△6.5%)に下方修正するとともに、財務バランスについても、「プロジェクト投資資産残高」を61億円(同△29億円)、「現預金とプロジェクト投資資産の合計額と借入金のバランス」を26億円(同△30億円)、早期流動化・収益化に取り組んでいる「戦略投資等以外の資産残高」を25億円(同+15億円)と、それぞれのハードルを引き下げた。なお、目標項目のうち、「プロジェクト投資資産の含み益」については、短期売却目的のプロジェクトへの投資に軸足を移すことに伴って除外されている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

《YM》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均