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8518 日本アジア投資

東証S
225円
前日比
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PTS
226.1円
12:36 04/18
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.66
時価総額 40.2億円
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決算発表予定日

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アジア投資 Research Memo(8):事業承継型バイアウトファンドの新設や、売電プロジェクトの進展などに一定の


■日本アジア投資<8518>の活動実績

1. プライベートエクイティ投資の実績
PE投資については、厳選した有望企業9社(国内6社、海外3社)に対して654百万円(前年同期は10社に対して608百万円)を実行しており、おおむね計画どおりの進捗とみられる。「IT・インターネット関連」や「QOL関連」の比重が高い。既投資先に対する追加投資も含まれており、リードインベスターとしての役割も積極的に担っている。

2. 再生可能エネルギー事業投資の実績
既に建設中のプロジェクト(6件)を含め、8件に対して1,512百万円(前年同期は10件に対して794百万円)の投資実行を行った。新規投資2件、期中売電開始6件(20.4MW)、期中売却4件(36.0MW)などにより、2017年9月末の保有プロジェクトは企画中のものを含めて21件(104.6MW)※と高い投資水準を維持している。また、その内訳は、売電中が10件(29.6MW)、建設・企画中が11件(75.0MW)となっている。

※そのうち、同社出資分は59.6MW。なお、前期末(2017年3月末)では合計23件(113.8WM)、うち同社出資持分は67.0MW。


3. 今期の行動計画とその進捗
同社は、今後の事業拡大や今期の業績予想(見込値)の達成に向けて、以下の行動計画に取り組んでいる。

(1) 国内PE投資向けファンド設立
前期からの持ち越しとなっている大手金融機関とのベンチャー投資向けファンドの早期設立を目指すとともに、事業承継型バイアウト向けファンドやグロース投資向けターゲットファンドの設立にも取り組んできた。その結果、あおぞら銀行<8304>との共同出資により事業承継型バイアウト向けファンド(サクセッション1号)を新設した(2017年6月26日)。拡大している国内中小企業の事業承継問題の解決と地域創生への貢献を目的としている。まずはファンド総額10億円からのスタートであるが、ニーズの大きい地域金融機関等からの追加出資獲得により30億円にまで拡大する計画である。

一方、同社が目標としている国内ベンチャーファンド(50億円)の設立については実現に至っていない。苦戦している背景には、CVC※の台頭や特定分野(ITやバイオなど)への特化型VCファンドなどの設立が続くなかで、資金を集めにくくなっていることも要因としてあるようだ。同社では、早期実現に向けて、募集活動を継続していく構えだ。

※コーポレートベンチャーキャピタルの略。事業会社が事業シナジー等を目的として設立するベンチャーキャピタルのこと。


(2) 国内PE投資の投資領域拡大
運用資産の拡大に向けて、ベンチャー投資を基幹領域としつつ、スモールキャップ企業への投資や事業承継型バイアウト投資など投資領域の拡大にも取り組み、その結果、事業承継型バイアウト向けファンドの新設を実現するに至った。また、スモールキャップ企業への投資についても、過去の投資先である上場企業との関係再構築や、「JAIC経営者倶楽部2017.07」の開催等を通じて、投資先の発掘に注力している。

(3) 高採算の再生可能エネルギープロジェクトへの投資
固定買取価格(FIT価格)の高いプロジェクトのセカンダリー案件を獲得するとともに、20円台のFIT価格でも利益の出る低コストの開発手法の研究に取り組んでいる。上期においては、新規プロジェクト2件(買取価格36円及び24円)に投資を行ったが、そのうち、買取価格20円台のプロジェクトは同社にとって初めての実績となった。低コストで開発可能な案件※であったことが投資に至った経緯であるが、本件をきっかけに事業拡大の余地がさらに広がる可能性もある。

※平坦な地形等により、造成コストを低水準に抑えることが可能


(4) First Easternとの協業推進
2015年12月に締結した香港の大手投資グループFirst Easternとの資本業務提携は、大型ファンドの組成と投資活動を共同で行うことを目的としたものである。その第1弾として、インバウンド関連等の国内企業を投資対象としたグローバルファンドを設立(100億円)する方針としている。立ち上がりまでに時間を要してきたが、推進のための部署を新設するとともに、国内向けの共同出資ファンド設立に向けていよいよ実務レベルの協議が開始したようだ。同社では、10億円規模のパイロットファンドの設立(スモールスタート)により、早期実現を優先させたい考えのようだ。

(5) 売却益の獲得
上期においては、「PE投資事業」における株式売却が下振れたものの、メガソーラープロジェクト4件(合計36.0MW)の売却を実現し、約10億円の売却益を獲得するに至った。下期においても、数件のメガソーラープロジェクトの売却を計画している。また、「PE投資事業」については、回収に特化した責任者を新設し、回収交渉の進捗管理を強化する方針である。

なお、メガソーラー事業投資については、メガソーラープロジェクトを投資対象とする上場REITが設立されるなど、投資したプロジェクトを継続的に保有するだけでなく途中で売買するための制度基盤が整備されつつあり、計画当初と比べて外部環境は大きく変化している。同社では、外部環境の変化を前向きに捉えて、中長期的な安定収益に加え、投資案件の一部売却による短期的な収益への貢献も選択肢に入れつつ、更なる事業規模の拡大を目指す方針である。2017年9月末の保有プロジェクト21件(104.6MW)のうち、同社持ち分(59.6MW)への投資実行額累計は2,572百万円。仮に21件のプロジェクトを保有し続けると仮定した場合、一定の仮定のもとに試算される売電利益の見込み額は7,067百万円※1に上ることから、相応の含み益※2が存在していると言える。

※1 20年間累計利益見込額(売電収益から減価償却費と支払利息等の差し引いたもの)である。なお、メガソーラー投資事業は固定買取価格が20年間保証されていることから、極めて確実性の高い見込み額と言える。
※2 2017年9月末時点の純資産6,020百万円(従来連結基準)や現在の時価総額7,458百万円(2017年11月28日)との比較においても高い水準と言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《MW》

 提供:フィスコ

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