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8518 日本アジア投資

東証S
226円
前日比
-4
-1.74%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.66
時価総額 40.4億円
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決算発表予定日

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アジア投資 Research Memo(6):リーマンショック以降、有利子負債と販管費の削減に努める


■決算動向

1. 業績を見るためのポイント
一般の事業会社の売上高に当たるものが営業収益であり、投資業務における回収額(営業投資有価証券売却高) のほか、利息・配当収入や組合持分利益(インカムゲイン)に加えファンド業務における運営報酬などによって構成される。ただ、その大部分を占めている営業投資有価証券売却高は、投資額(取得原価)を上回ってこそ利益が創出されるものであるため、営業収益が増えたからといっても必ずしも業績が向上しているとは限らない。

したがって、日本アジア投資<8518>の業績指標としては、取得原価などを差し引いた投資損益やインカムゲイン(利息・配当収入や組合持分利益)、運営報酬などを足し合わせた営業総利益に注目するのが妥当であると考えられる。なお、営業総利益は、投資先の業績悪化や株式市場の低迷による「営業投資有価証券評価損」や「投資損失引当金繰入額」を反映しているため、それらが期間損益の大きな下振れ要因となっていることにも注意する必要がある。

2. 過去の業績推移
過去の業績(従来連結基準)を振り返ると、2009年3月期の営業総利益が大きく落ち込んでいるのは、リーマンショックによる世界同時不況の影響によるものである。株式市場の低迷によりキャピタルゲインの確保に苦戦したことに加え、株価の下落や投資先の経営破綻に対する多額の評価損を計上したことが業績の足を引っ張った。2011年3月期には、株式市場の回復等により一旦立ち直ったものの、その後も東日本大震災や為替相場の変動などによる影響を受けながら不安定な状況で推移してきたと言える。2015年3月期もキャピタルゲインは一定の水準を確保したものの、投資先である(株)白元の経営破綻により評価損を計上したことから減益決算(営業損失)となった。ただ、2016年3月期以降は、損失処理の一巡やメガソーラープロジェクトの収益貢献等により大幅な損益改善を図り、2期連続の黒字転換を達成した。

営業総利益の内訳を見ると、運営報酬はファンド運用残高の縮小に伴って減少傾向にあるものの、比較的安定的に推移している。また、投資業務におけるインカムゲインも規模は小さいながら収益貢献してきた。一方、投資損益(実現キャピタルゲインに評価損及び投資損失引当金を加味したもの)は、プラスからマイナスの大きな変動幅の中で不安定に推移してきた。特に注目すべきは、評価損及び引当金繰入額が投資損益を圧迫してきたところである。一方、引当金繰入額が、足元で落ち着いた動きとなってきているのは、運用資産の中身がリーマンショック後に積み上げた良質の資産(より適正価格で取得できたもの)や再生可能エネルギープロジェクトへの投資資産に入れ替わってきたことを反映しており、今後は巡航レベルの範囲内で推移するものとみている。

一方、2009年3月期における業績の落ち込みと財務状況の悪化を受け、財務体質の改善と収益力の強化に取り組んできたことから、有利子負債残高(借入金・社債、新株予約権付社債)は年々減少するとともに、販管費(特に人件費や賃借料)の削減にも努めてきた。有利子負債残高は2009年3月期の45,971百万円から2017年3月期には14,128百万円と69.2%の削減を実現しており、販管費も特殊要因(他社運営ファンド向けの支払成功報酬)を除くと実質的に縮小傾向をたどっている。もっとも、販管費については、ファンド設立を含めた今後の事業拡大に向けて、人件費等を中心に若干増加する方向へ転換する可能性もある。

また、有利子負債の削減に伴って、財務基盤の安定性を示す自己資本比率も大きく改善してきた。2015年3月期はメガソーラー事業投資への投資資金調達のために発行した新株予約権の一部が行使されたこと(約6億円)が寄与した。また、2016年3月期も新株予約権が行使されたことに加え、FirstEasternとの資本業務提携に伴う自己資本の増強及び債務の圧縮(約8.3億円)によって自己資本比率は21.9%に大きく上昇。2017年3月期も新株予約権の行使や内部留保により28.0%へとさらに改善した。

投資残高についても、有利子負債の返済を優先的に進めてきたことなどから、年々縮小傾向をたどっている。また、同社グループが管理運用等を行っているファンドの運用残高についても、既存ファンドの満期到来に伴って大きく縮小してきた。ただ、2016年3月期は3年ぶりに2件のファンドを設立。2017年3月期も1件のファンドを設立しており、財務体質の改善に一定のめどが立ったことからも、今後は再び拡大基調に入るものとみられる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《MW》

 提供:フィスコ

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