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8518 日本アジア投資

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アジア投資 Research Memo(1):17年3月期はメガソーラーの寄与により大幅な営業増益


 

■要約

日本アジア投資<8518>は、日本とアジアにまたがる独立系の総合投資会社として、主力のベンチャー投資のほか、グロース投資や再生可能エネルギー投資にも注力している。1981年に経済同友会を母体として設立され、豊富な投資経験とブランド、ネットワーク、人材、事業パートナーなどの事業基盤に強みがある。革新的な技術やビジネスモデルを持ち、高い成長力を有するベンチャー企業及び中堅・中小企業等への投資や成長支援を通じて、日本とアジアの両地域における産業活性化や経済連携の拡大などに貢献をしてきた。同社グループが管理運用等を行っているファンド運用残高は28,753百万円(15ファンド)、同社の自己資金及び運用ファンドによる投資残高は16,558百万円となっている(2017年3月末現在)。

2017年3月期の業績(ファンド連結基準)※は、営業収益が前期比1.9%増の4,681百万円、営業利益が739百万円(前期は123百万円の損失)と大幅な営業増益(営業黒字転換)となった。

※ 同社は2007年3月期より、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」を適用し、同社グループが管理運用する投資事業組合等を連結範囲に加えるファンド連結基準に移行している。ただ、ファンド連結基準は同社以外の外部出資者の持分が含まれていることやファンドごとの財務方針が反映されるところに注意する必要がある。同社では、投資家からの要望に応じて従来連結基準も同時に開示しているが、弊社でも、より実態を示しているとの判断から従来連結基準による分析を行っている。


また、従来連結基準でも、営業収益が前期比2.9%減の3,926百万円、営業利益が同913.1%増の836百万円と大幅な営業増益となり、2期連続の最終黒字を達成した。メガソーラープロジェクトにかかる一過性の要因にて特別損失を計上したが、それ以外ではおおむね計画どおりの着地と言える。メガソーラープロジェクトによる収益貢献(売却益及び売電収益)や資産の入れ替え(健全化)に伴う投資損益の改善が営業増益に寄与した。ただ、目標としている国内ベンチャーファンドの設立については、最終段階に入っているものの、実現には至らなかった。

2018年3月期の業績予想について同社は、株式市場等の変動要因による影響が極めて大きく、合理的な業績予想が困難である事業特性であることから公表を行っていない。ただ、2018年3月期については、ある一定の前提を元に策定した「従来連結基準による見込値」を参考情報として開示しており、営業収益を前期比19.7%増の4,700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益を同15.1%減の470百万円と見込んでいる。前期に引き続き、メガソーラープロジェクトによる収益貢献(売却益を含む)を見込むものの、前期に比べると減少するほか、投資資産の損失処理(評価損や引当金繰入額)を保守的に見積もっていることから、親会社株主に帰属する当期純利益は減益予想となるが、3期連続での黒字を確保する見通しとなっている。

同社は、再建期を抜け、収益拡大期に転換したことを契機として、新体制に移行(社長交代)した。但し、目指す方向性に大きな変更はない。今後の収益ドライバーとして、プライベートエクイティ(以下、「PE投資」)事業の拡大(投資領域の拡大を含む)、再生可能エネルギー投資事業の拡大、第3の収益の柱となる新規投資事業の立ち上げに注力し、引き続き、安定的な収益構造と健全な財務バランスの確立を目指していく。特に、基幹事業であるPE投資事業については、2020年3月期までに投資残高を1.5倍に拡大する一方、ファンド設立により投資資金を確保し、財務リスクの抑制(同社の出資持分の残高は現在の50%まで圧縮)を図る方針である。また、今期についても、1)国内PE投資向けファンド設立、2)国内PE投資の投資領域拡大、3)高採算の再生可能エネルギープロジェクトへの投資、4)FirstEasternとの協業推進、5)売却益の獲得などに取り組む。

弊社では、メガソーラープロジェクトが順調に進展していることや資産の入れ替え(健全化)が進んでいることから、同社の業績見込値の実現は十分に可能とみている。最大の注目点は、前期からの持ち越しとなった国内ベンチャーファンド(50億円)の早期設立である。実現すれば、しばらく減少傾向にあったファンド運用残高に歯止めをかけ、再成長へ転じるきっかけとなる可能性もある。また、中長期的な視点からは、これまで課題となっていた財務体質の改善に目処がついたことや、安定収益の確保を目的として取り組んできたメガソーラー事業投資についても継続的な事業拡大が見込めることから、これからの運用資産拡大に向けた動きに注目している。市場拡大が予想されている介護施設への投資など、第3の収益の柱となる新規投資事業の立ち上げのほか、FirstEasternグループとの連携による事業展開などもフォローしていきたい。

■Key Points
・17年3月期はメガソーラープロジェクトの収益貢献等により大幅な営業増益
・ただ、目標としている国内ベンチャーファンドの設立は実現できず、今期に持ち越し
・18年3月期は営業減益ながら、3期連続の最終黒字を見込む
・収益拡大期に転換したことを契機として新体制に移行
・プラベートエクイティ事業及び再生可能エネルギー事業の拡大に加えて、第3の収益の柱となる新規投資事業(介護施設等)の立ち上げにも注目

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《TN》

 提供:フィスコ

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