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8473 SBIホールディングス

東証P
3,645円
前日比
-69
-1.86%
PTS
3,686円
23:50 04/19
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.98 4.39 16.55
時価総額 11,004億円
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決算発表予定日

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電算システム Research Memo(4):国際送金サービスは順調に送金件数や登録顧客数が伸びる


■事業セグメント別動向

(2)収納代行サービス事業

a)事業の概要
収納代行サービス事業は決済サービス売上と決済イノベーションの2つのサブセグメントに分けられる。決済サービスの中核は払込票決済サービスである。これは、コンビニエンス・ストアにおいて払込票を用いて通信販売の代金等やガス・水道料金・税金などの公共料金を支払うサービスだ。この払込票決済サービスにおける電算システム<3630>のシェアは、銀行系決済サービス会社に次いで第2位のポジションにあるとみられる。コンビニエンス・ストアをネットワークする事業基盤は、新規同業他社の参入障壁となっている他、インターネット通販マーケットの拡大による新規顧客の増加もあり、おおむね10%前後の成長が継続している。

決済イノベーションは、国際送金サービスと収納窓口サービスの2つからなる。国際送金サービスは順調に送金件数や登録顧客数が伸びているが、黒字化まではあと一息という状況だ。収納窓口サービスは決済サービスにおけるコンビニ払込票サービスと同様のものを、コンビニエンス・ストア窓口以外のスーパーやドラッグストアにおいても導入しようというものだ。同社が契約店舗を開拓することで、通販業者など同社の顧客企業とその利用者である一般消費者双方の利便性を高め、同社サービスの魅力度を高めようというものだ。

b)業績動向
2016年12月期は、売上高13,834百万円(前期比10.1%増)、営業利益543百万円(同6.7%増)と増収増益となった。計画対比でもほぼ計画線での着地となった。

主力の払込票決済サービスは、2014年12月期に大口既存客において、請求業務の合理化の動きがあり、その影響で成長率が鈍化した。その影響が一時的なものかどうかに注目してきたが、2015年12月期は年10%成長の線へと回帰したことで、不安は払拭されたと考えている。また、決済サービス事業の中では、紙を使う払込票決済サービスからモバイル端末を利用したペーパーレス決済への移行も進んでいる。

決済イノベーションは、その事業規模はまだ小さいが高成長が続いている。詳細は後述するが、2015年12月期は国際送金サービスと収納窓口サービスの2本柱がともに30%を超える高い成長を見せた。それぞれの事業動向については別項で詳述する。

収納代行サービス事業に関した2016年12月期のトピックの一つに、電力小売りの全面自由化がある。2016年4月から一般家庭でも電力会社を自由に選べるようになる。全国約5,600万世帯のどの程度の世帯で電力会社の切り替えが行われるのかは想定が困難であるが、切り替えた当初の1、2ヶ月間は、銀行口座引き落としの代わりに払込票による電力費支払いが行われるであろうことは想像に難くない。電力小売りに関しては、通信事業者やCATV会社など様々な業種から参入が相次いでおり、料金体系も既存のサービス(例えばCATV)とセット料金化されるケースも想定される。したがって、まったくの期待外れとなる可能性もあるが、ユーザーの広いインフラ分野での構造的変革であるため、その動向が大いに注目されるところだ。

c)国際送金サービス
同社は米ウエスタンユニオン社(WU)と提携して国際送金サービスを提供している。同社が提供する国際送金サービスには、金額や仕組みの異なる2種類のサービスがある。

そのうちの1つは「コンビニ・ウエスタンユニオン(WU)国際送金サービス」だ。これは事前に申込書の郵送もしくはインターネット上での事前登録(郵送による本人確認必要)を行えば、手数料込みで10万円未満の金額についてコンビニエンス・ストアのファミリーマート<8028>店舗に設置された端末を使って低料金で世界200か国50か所に海外送金することが可能なサービスだ。同様のサービスはセブン銀行<8410>やSBIホールディングス<8473>、ソフトバンクグループ<9984>なども提供しているが、手数料の安さやサービス時間帯の面で銀行よりも手軽なため、同社も堅実に利用者・利用件数を増やしている。

もう1つは「WILL CALL」と呼ぶ店頭対面型送金サービスだ。利用者はWILL CALLサービスの契約店舗の店頭において対面で本人確認を行うが、その不便さの代わりに1回の送金額が最大100万円に拡大されている点がコンビニWU国際送金サービスと大きく異なる。日本で働く外国人の中では、対面式にむしろ安心感を得る利用者も多く、同社にとっても金額の大きさゆえに収益性がコンビニ送金サービスよりも高いため、WILL CALLの拡大を目指している。

しかしながら、WILL CALL事業は必ずしも順調ではない。同社は契約店舗数の拡大を目指してきたが2015年12月期には前期比3店舗の減少となった。この背景には提携先であるWUによるコンプライアンス強化にある。一例を挙げれば、利用者が在日外国人でありながら契約店舗の経営者は日本人でなければならないことや、経営者の経歴や人物評価などが強化されたことで、契約店舗の拡大が遅れているのが現状だ。

コンビニWU国際送金サービスとWILL CALLとを合わせた国際送金サービス全体の送金件数と売上高は、着実に拡大している。WILL CALLの立ち上がりの遅れで、黒字化のタイミングは同社のこれまでの期待よりも半年から1年程度先送りとなる見通しだが、2016年12月期のどこかで単月ベースで黒字化に転じ、2017年12月期には通期で黒字化する目途が立ってきた状況だ。

d)収納窓口サービス
前述のように、このサービスはコンビニ払込票サービスと同様のものを、スーパーやドラッグストアにおいても導入しようというものだ。同社が契約店舗を開拓することで、通販業者など同社の顧客企業とその利用者である一般消費者双方の利便性を高め、同社サービスの魅力度を高める狙いがある。

2015年12月期は収納窓口サービスの契約店舗数が前期から44.1%増加し、1,220店舗となった。店舗数の増加に呼応して同サービスの売上高は同40.0%増の182百万円となった。全国チェーンのスーパーやドラッグストアにおいて、同社サービスの導入に前向きな企業も多いため、2016年12月期も、店舗数、売上高ともに堅調に伸長していくと期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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