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8424 芙蓉総合リース

東証P
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前日比
-260
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業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.7 0.98 2.81 3.85
時価総額 4,210億円
決算発表予定日

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芙蓉リース Research Memo(5):前中期経営計画は当初計画を大きく上回る


■中期経営計画

1.前中期経営計画の総括
芙蓉総合リース<8424>は、2017年3月期を最終年度とする中期経営計画「Value Creation 300」を推進してきた。「課題解決・付加価値創造による収益力の強化」「戦略的なリスクテイク・出資・M&Aによる領域拡大」「みずほ連携による顧客基盤の強化」「グループ戦略による事業基盤の強化」をビジネス戦略の柱に掲げるとともに、「航空機ビジネス」「不動産リース」「ファイナンス事業」「海外事業」「リテール事業」「再生可能エネルギー」「会計サービス事業」の7つの戦略分野の強化を図ることにより、「次なる成長ステージ」を支える土台作りや、「収益性の高い事業ポートフォリオ」の構築に取り組んできた。

2016年3月期までの進捗が当初計画を上回るペースとなったことから、前期初に目標数値の上方修正を行い、営業資産残高2兆円(当初計画は1兆8,500億円)、経常利益320億円(同300億円)、ROA 1.4%以上(修正なし)を目指してきた。その結果、営業資産残高は2兆436億円、経常利益は314億円、ROAは1.4%となり、経常利益が上方修正後の目標値に若干届かなかったものの、当初計画を上回る大きな成果を残したと評価して良いであろう。

各戦略分野における前期実績と計画達成状況は以下のとおりである。

(1) 航空機ビジネス
2017年3月期末の運航機体数78機体制(そのうち、自社保有機体数17機)を目標に掲げてきた。前期は自社保有機5機、JOLCO※10機の計15機を組成し、2017年3月末の運航機体数は92機(そのうち、自社保有機体数19機)と計画を上回る結果となった。特に、注力する自社保有機体数が3年間で約4倍(スタート時は5機)に拡大したことや、英ALMの買収によりマーケティング及び中古販売など機能面の強化を図ったところは、今後の成長に向けて大きな成果と言える。

※コールオプションの付いた日本型オペレーティングリース


(2) ファイナンス事業
2017年3月期末の営業資産残高5,500億円(当初計画4,400億円)を目標に掲げてきた。ポートフォリオ・バランスを保ちながら営業資産を積み上げてきたが、マイナス金利施策等の影響により競合が激化してきたことから、前期は採算性を重視して取り組んだ。ただ、最終的には、アクリーティブの連結化効果もあり、2017年3月期末の営業資産残高は5,459億円(前期末比11.2%増)に拡大。上方修正後の計画には若干未達となったものの、当初計画を大きく上回る結果(3年間で約70%の増加)となった。営業資産残高全体の増加額は3年間で約4,444億円であるが、そのうち、ファイナンス事業による増加額は約2,224億円と半分を占めており、ボリューム面での貢献が大きかったと言える。

(3) 海外事業
2017年3月期末における海外現地法人の営業資産残高900億円(当初計画800億円)を目標に掲げてきた。前期は、中国やマレーシアなどアジア向けが伸びたほか、非日系向けのシンジーケートローンの拡大、米国のリース会社との提携などが寄与し、2017年3月期末の営業資産残高は841億円(前期末比13.3%増)と順調に拡大したが、上方修正後の計画には届かなかった。ただ、こちらも当初計画を上回る結果(3年間で約2倍)である。

(4) 再生可能エネルギー
自社事業としてメガソーラーの開発を進めており、2017年3月期末の太陽光発電所の稼働数30基、総出力100MWを目標に掲げてきた。前期は、稼働数に動きがなかったことから、2017年3月期末の稼働数は29基(77MW)と横ばいで推移し、計画をわずかに下回る結果となった。ただ、3年間で発電量は3倍超(23,000世帯分の電力を供給)に拡大するとともに、前期は期初から29基が稼働したことにより年間約10億円の利益貢献を実現している。

(5) 不動産リース
2017年3月期の年間成約額900億円(当初計画420億円)を目標に掲げてきた。同社の得意とする商業施設(大型ショッピングセンター等)のほか、インバウンド需要を背景に高稼働の続くビジネスホテルの建物リースが好調であったことから、2017年3月期の年間成約額は1,225億円(前期比41.1%増)と大幅に伸び、上方修正後の計画も大きく超過した。その結果、3年間で成約額は約4倍に拡大している。好調な外部環境に加え、建設用地の紹介やテナントの斡旋など、「同社主導型」案件が増えていることが背景となっているようだ。また、2016年4月には、高齢者施設の第1号案件がオープン、10月には有料老人ホーム建設プロジェクトへの参加も決定しており、「医療・介護分野」などの新たな市場開拓でも実績を残した。

(6) リテール事業
2017年3月期のベンダーリース成約額1,530億円(当初計画1,750億円)を目標に掲げてきた。ここ数年、採算の悪い住宅設備の取扱いを意図的に縮小してきたことでマイナス傾向が続いていたが、前期の成約額は1,572億円(前期比2.7%増)とプラスに転じ、下方修正後の計画を達成することができた。主力の事務用機器や情報通信機器が好調であったことが要因であり、シャープファイナンスにおける営業体制の見直し(大阪から首都圏へのシフト)やグループ内連携の強化など地道な施策も奏功した。

(7) 会計サービス事業
固定資産の現物管理サービスとリンクしたリース会計システム「FLOW Cube+」をSAPジャパン(株)と共同開発し、2017年3月期中のサービス開始を目指してきた。その結果、2017年4月からサービスを開始している。業界初のクラウド型統合サービスであり、ライセンス料による安定収益が期待できるほか、それ以上の利点となるのが、顧客の囲い込みや他社からのリプレースが狙えるところにある。

以上から、各戦略分野においても十分な結果を残したと評価して良いであろう。特に、「不動産リース」のほか、「航空機ビジネス」「再生可能エネルギー」については、業績の伸びを大きくけん引した上、最大のテーマとなっていた「次なる成長ステージ」を支える土台作りという点からも大きな成果があった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)

《NB》

 提供:フィスコ

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