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8424 芙蓉総合リース

東証P
13,595円
前日比
+105
+0.78%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.5 0.96 2.87 9.19
時価総額 4,118億円
決算発表予定日

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メディシス Research Memo(4):医薬品発注取扱高は加盟店舗数の拡大などで、前期比26.6%と大幅増


■業績動向

(2)事業セグメント別の動向

○医薬品等ネットワーク事業
メディカルシステムネットワーク<4350>の医薬品等ネットワーク事業の売上高は前期比15.0%増の3,235百万円、営業利益は同14.6%増の1,776百万円と好調に推移した。ネットワーク加盟件数は前期末比200件増の1,400件と目標件数の1,485件を下回ったものの、新規加盟社数で見れば過去最高の92社となるなど、引き続き強い動きを見せた。加盟件数の内訳は、自社グループの店舗数で前期末比8店舗増の353店舗、一般加盟店で同192店舗増の1,047店舗となっている。一般加盟店の増加数をエリア別で見ると、関東・甲信越で59店舗、九州・沖縄で53店舗、東海・北陸で43店舗の順となり、これら3エリアで増加分の約8割を占めたことになる。また、医薬品発注取扱高に関しては、加盟店舗数の拡大や高薬価のC型肝炎治療薬が発売されたこともあって、前期比26.6%増の123,736百万円と大幅増となった。

加盟件数が増加している要因は、中小・中堅規模の調剤薬局の経営環境が年々厳しくなってきており、同社のネットワークサービスに加盟するメリットが強くなってきたことに加え、2015年1月に芙蓉総合リース<8424>と業務提携し、新たに医薬品仕入代金立替払サービスを開始した効果も大きい。同社の医薬品ネットワークサービスへの加盟条件は、医薬品仕入代金の支払期間を2ヶ月と定めている。中小規模の薬局は支払期間3ヶ月以上のところが多く、加盟するに当たって支払期間の短縮による一時的な費用負担が重荷となっていた。医薬品仕入代金立替払サービスは、芙蓉総合リースが顧客に代わって加盟時の初回月分の医薬品仕入代金を一括支払いし、顧客はその後分割(3年~5年)で立替え分を支払うスキームとなっており、加盟に対する資金面での負担が大きく軽減されている。2015年2月のサービス開始以降、2016年4月28日までで36法人、125店舗が同サービスを利用していることから見ても、その効果の高さがうかがえる。

売上高の内訳を見ると、受発注手数料収入が医薬品発注取扱高の拡大に伴い前期比約19%増の1,913百万円となったほか、システム販売やその他売上高も加盟店舗数の増加に伴ってそれぞれ増収となった。

○調剤薬局事業
調剤薬局事業の売上高は前期比14.3%増の82,002百万円、営業利益は同43.5%増の3,412百万円と2ケタ増収増益となり、売上高営業利益率も前期比0.9ポイント上昇した。店舗数は新規出店で9店舗、M&Aで7店舗を取得した一方、既存店を8店舗閉鎖し、合計で前期末比8店舗増の353店舗となった。店舗の増加ペースを見ると、2期前の52店舗、前期の24店舗から比較すると大幅に鈍化している。これはM&A案件の価格が高止まりし、投資対効果や2016年春の診療報酬改定後のM&A市場の需給軟化を見越して、当期は意識的にM&Aによる取得を抑えたことによる。実際、M&Aによる取得店舗数は2期前の45店舗、前期の27店舗に対して、当期は7店舗となっている。

こうしたなかで、売上高が14.3%増と大きく伸びたのは、既存店の調剤報酬(売上高)が前期比8.5%増と伸びたことに加え、2015年3月期に新規出店及びM&Aで取得した店舗が年度でフルに寄与したこと要因となっている。既存店の調剤報酬伸び率の内訳を見ると、処方箋枚数が前期比1.6%増、処方箋単価が同6.8%増となり、処方箋単価の伸びが大きく寄与している。内訳としては、薬剤料が同8.0%増、技術料が同3.0%増となり、いずれも直近4期間で最も高い伸びとなった。薬剤料については処方箋1枚当たりの購入量が増加傾向にあることに加えて、今期は高薬価のC型肝炎治療薬が発売されたことも要因となっている。

一方、技術料に関しては後発医薬品の利用推進や在宅処方の取り組み強化によって加算取得店舗数が増加した効果による。具体的に見ると、全店舗に占める後発医薬品調剤加算取得店舗数の比率は前期末の77.1%から今期末は84.4%に上昇したほか、在宅業務や24時間調剤体制などの対応が条件となる基準調剤加算についても、より点数の高い基準調剤加算2のカテゴリーの取得店舗比率が前期末の24.1%から今期末は29.7%に上昇した。なお、在宅業務実施店舗数は、前期末の227店舗から今期末は279店舗に増加し、全体の79%に達している。

営業利益の増益要因は、こうした既存店における調剤報酬の増加に加えて、適正な人員配置など店舗運営の効率化に取り組んだことも寄与した。特に、本州エリアを管轄する(株)サンメディック、(株)共栄ファーマシー、(株)シー・アール・メディカルの3社の収益性改善が目立った。

○賃貸・設備関連事業
賃貸・設備関連事業の売上高は前期比60.2%増の2,430百万円、営業利益は同409.3%増の129百万円となった。販売用不動産の売却により242百万円の売却益を計上したことが利益増の主因となっている。また、2013年5月に開業したサービス付き高齢者向け住宅「ウィステリア清田」(札幌市清田区)の入居契約数が、3月末時点で全75戸中70戸となり黒字化したことも利益増要因となった。不動産売却益を除けばまだ赤字となっているが、これは2015年12月に開業した「ウィステリア小樽稲穂」や2016年5月開業の「ウィステリア千里中央」の立上げ負担や労務費の増加などが要因となっている。なお、「ウィステリア小樽稲穂」については全81戸中、3月末で72戸が入居済みとなっており、「ウィステリア千里中央」では全82戸中、4月28日時点で申込件数が11件となっている。

○給食事業、その他事業
子会社のTMSで展開している給食事業は、売上高が前期比46.5%増の2,830百万円、営業損失が89百万円(前期は13百万円の損失)となった。2015年10月に九州医療食を子会社化したことで売上高は増収となったものの、前期に受託した都内の2つの新規案件が立ち上げ段階で赤字となったことが響いた。

また、その他事業(治験施設支援業務)は新規案件が減少したことにより、売上高が前期比21.5%減の143百万円、営業損失が109百万円(前期は76百万円の損失)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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