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検証・メガバンク株、「長期上昇相場」は始まったのか <株探トップ特集>


―上昇傾向の長期金利、金融セクターに“10年ぶりの春”―

 16年11月以降の「トランプ・ラリー」で株高の主役のひとつを務めたのが大手銀行を主力とした金融セクターだ。米新政権での金融規制緩和への期待は大きいことに加え、長期金利上昇による収益環境改善も見込まれる。日銀のマイナス金利政策への不安が後退するなか、大きく売られた銀行株への上昇観測が浮上。目先は調整局面入りも予想されるが、市場には、「金融株を巡る環境は大きく好転した」(アナリスト)との見方が出ており、息の長い上昇相場入りへの期待が膨らんでいる。

●米金融規制緩和期待で三菱UFJなど急伸

 29日の東京株式市場では、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> や三井住友フィナンシャルグループ <8316> 、みずほフィナンシャルグループ <8411> といったメガバンクが下落。全般相場が急落したこともあり、金融株には売りが先行した。

 ただ、11月初旬から直近までの株価上昇率は三菱UFJが30%強、三井住友が20%強と大幅な上昇を記録している。まぎれもなく大手銀行株は「米大統領選後のトランプ・ラリーの主役セクターのひとつ」(市場関係者)だ。

 この銀行株高を演出した背景には複数の要因があるが、とりわけ注目を集めたのが、トランプ新政権での金融規制緩和に対する期待だ。リーマン・ショック再発防止のために制定された「ドッド・フランク法(金融改革法)」は、銀行がリスクのある取引を行うことへの規制やデリバティブ取引の透明性向上などが盛り込まれた。もっとも、同法に対してはコスト負担が大きく金融機関の経営を圧迫するとの批判の声が挙がっていた。

 そこへ、規制緩和を掲げるトランプ氏が米国の次期大統領に当選したことから、ドッド・フランク法の見直しを含めた期待が浮上。世界的に金融株が見直されるなか、邦銀では米国での積極的な事業展開を進める三菱UFJを中心に買いが集まった。

●日銀のマイナス金利深掘り懸念後退も追い風

 また、足もとで米国10年債の利回りが2.6%台まで急上昇。長期金利の上昇に伴い銀行の利ザヤが拡大し、収益が好転するとの見方が強まった。一般的に銀行は預金など短期の資金を受け入れ、企業や個人に長期で貸し出している。このため、長期金利の上昇局面では利益を上げやすい。

 特に邦銀の場合、日銀が年初にマイナス金利を導入したことが、収益の悪化要因になるとの懸念をもたらし、銀行株は急落を余儀なくされた。しかし、足もとの金利上昇を受け、市場には「日銀のマイナス金利深掘りの懸念は払拭された」(エコノミスト)との見方が浮上。今年前半に大きく売り込まれた銀行株には一気に買い戻しが流入した。

●10年ぶりTibor底打ちが株価押し上げ

 市場には、「トランプ次期大統領の金融規制緩和に対する期待には行き過ぎの感もある」(第一生命経済研究所の桂畑誠治主任エコノミスト)との見方も出ており、1月20日のトランプ氏の大統領正式就任後の公約達成に向けての動きが注視されている。

 金融株を大きく押し上げたトランプ・ラリーには期待と警戒感が交錯する状態にあるが、マネックス証券の大槻奈那チーフ・アナリストは「久々に銀行セクターには明るい兆しが灯っている」と株価の上昇に強い期待感を示している。

 焦点となるのは、やはり金利動向だ。銀行株と長期金利の相関関係は高く、足もとの金利上昇は追い風だが、特に「短期金利のTibor(東京銀行間取引金利)の上昇が重要」(大槻氏)だという。Tiborが0.1%上昇すると大手行全体で1000億円の増益要因とも試算されており、同氏は17年央以降の同金利の底打ちから上昇を予想する。過去の例では同金利の約1年前から株価は上昇し始めており、すでに銀行株は上昇局面に突入しているともみられる。最近でTiborが安定して上昇したのは05年の景気回復期であり「新年、特に来年4月以降は金融セクターに10年ぶりの春が到来する」(同)と予想する。

●低PBRで割安顕著、地銀や証券株も狙い目

 足もとで気にされているイタリアのモンテ・パスキなどの大手金融機関の経営不安や東芝 <6502> の動向に関しても、「イタリアの金融問題はすぐには落ち着きそうにないが、ドイツなどに比べ世界的な波及懸念は小さい。東芝に関しても国内大手銀行はすでに引当金を積んであるだろう」(同)という。

 特に、銀行株は「脱デフレの象徴セクター」(SBI証券投資調査部の鈴木英之部長)とみられている。三菱UFJ、三井住友、みずほのメガバンク3行の連結PBRは0.6倍台の水準にあり割安訂正余地は大きい。世界的な金利上昇傾向がみえるなか日本のメガバンクには外国人買いの対象となるとの観測は根強い。

 同様に金融セクターでは静岡銀行 <8355> など地銀株や野村ホールディングス <8604> など 証券株も再評価の対象となりそうだ。目先、利益確定売りで調整局面入りも予想される金融セクターだが、17年相場では再度、主役株のひとつとなり、長期的な上昇局面の足もとを固めるとの期待は強い。

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