貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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8308 りそなホールディングス

東証P
932.0円
前日比
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23:56 03/28
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検証・日銀「新政策」、“株高軌道”復帰なるか <株探トップ特集>


―量から金利へスキーム転換、割れる市場評価―

 日本銀行は20~21日に開催された金融政策決定会合の結果を発表した。これまでの、金融緩和に関する「総括的な検証」を行うとともに、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という新たに金融緩和強化のための枠組みを導入した。イールドカーブの導入や長期金利目標という目標を採用した。また、ETF(上場投信)の買い入れ方法の変更も公表した。今回の決定で「量から金利への実質的なスキーム転換が果たされた」と評価する声がある一方、市場には「やや分かりづらく消化難」との見方も出ている。

●長短金利操作付き量的・質的金融緩和を導入

 日銀は21日「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を発表した。長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を導入したほか、10年物国債金利が概ね現状程度(ゼロ%程度)とする長期金利目標を取り入れた。イールドカーブの導入は、マイナス金利政策の採用による損失が懸念される金融機関に配慮することを意識したものであり、長短金利差を拡大しイールドカーブのスティープ化による金融機関の利益拡大も意図されている。また「量」の部分では国債買い入れの増額ペースを年間で約80兆円とした。

 従来のマイナス金利政策は現状を据え置いた。消費者物価指数が安定的に2%を超えるまでマネタリーベースの残高を拡大する方針も継続した。同時に公表された「総括的な検証」では2%の「物価安定の目標は実現できていない」ことを認めたうえで、目標達成に向けては「より持続性があり状況に応じて柔軟に対応できるスキームとする必要がある」と指摘した。また、「質」部分であるETFの買い入れは、TOPIX型を重視する方針に変更した。

●国債平均残存期間を撤廃、債券買い入れは柔軟化へ

 この発表を受け、日経平均株価は300円超高、為替は1ドル=102円70銭台までドル高・円安が進行した。市場からは、「今晩は米国での米連邦公開市場委員会(FOMC)開催もあり、カレンダーリスクを考慮し、現状維持も想定していた」(アナリスト)だけに、新たなスキーム導入を前向きに評価する声が出ていた。

 市場の注目を集めたのは、10年債の金利をゼロ%と目標を定め、「国債の平均残存期間の定めは廃止」したことだ。現在7~12年としている国債買い入れの平均残存期間を撤廃することで、より日銀の国債買い入れ手法は柔軟性を増し「年間買い入れ額は例えば70兆円台に減額することも可能」(大手証券)という。80兆円という量の縛りは柔軟化したほか、「中央銀行が10年債の金利ターゲットを明示化するのは異例だ」(同)ともいう。これを受け、実質的な「量」から「金利」への転換が図られた。また2年間で2%の「物価上昇」という目標での「2年」という期限は実質的に降ろされたともみられている。

 ただ、今後、日銀による債券買いオペはより不透明感を増し、「状況次第では金利が不安定化するリスクもある」(同)という。今後は、いままで以上に債券金利動向への市場の関心が向かう状況も予想される。

●TOPIX型優位の展開、銀行株に再評価の動きも

 さらに、日銀会合ではETFの買い入れスキームも見直した。これまで、日銀のETF買い入れは日経平均型が5割強、TOPIX型が4割程度と言われていたが、日経平均型の比率が高く、同構成銘柄の価格形成がいびつになっているとの指摘が出ており、「TOPIX型を主体とすべき」(ファンドマネージャー)との声が出ていた。

 今回の見直しでTOPIX型が主力となったことで、みずほフィナンシャルグループ <8411> や、りそなホールディングス <8308> など銀行株 、NTTドコモ <9437> や新日鉄住金 <5401> などTOPIXに対するウエートが高い銘柄にはプラスに働くと見られている。一方、日経平均株価でのウエートが高いファーストリテイリング <9983> やアドバンテスト <6857> 、ミツミ電機 <6767> などには当面はマイナス影響も予想されている。

 日銀決定会合ではイールドカーブ政策の導入を含め銀行株や損保株など金融株に買い安心感が広がったことがプラス面とみられている。

 市場には、今回の日銀の発表に対して「明確さを旨とする黒田総裁にしては、分かりにくく消化難」と見る声も少なくない。ただ一方、第一生命経済研究所の藤代宏一主任研究員は「日銀はスキームの転換を含めて、うまくやったのではないか」と前向きに評価している。先行きの日銀の追加緩和は「マイナス金利の深掘り」や「外債や財投機関債など買い入れ対象の拡大」などがあるかどうかに向かいそうだ。

 今後は、FOMCでの追加利上げなど、外部環境の好転が見込めれば、一段の株高・円安が進むことが期待される。

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