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検証・日銀決定会合、マーケット揺るがす「政策柔軟化」の行方 <株探トップ特集>


―「現状維持」「見直し」は五分五分、物色対象変化の契機にも―

 日銀による金融政策修正観測がにわかに浮上している。日銀の低金利政策の「副作用」を考慮し、「0%程度」としている長期金利の誘導目標の柔軟化などを検討しようというものだ。この観測を受け、週明け23日は円高・株安が進むなど金融市場は波乱状態となった。そうしたなか、市場関係者の関心を集めるのが銀行株の上昇だ。日銀のマイナス金利政策で業績が低迷する銀行セクターには、政策変更は追い風との思惑もある。果たして、日銀は政策柔軟化に動くのか、そして銀行株は復活するのか。

●YCC政策に見直し機運、国債市場の機能不全などを懸念

 日銀の金融政策に「柔軟化」観測が浮上したのは、先週末の20日以降の複数のメディアによる報道がきっかけだった。その内容は、イールドカーブ・コントロール(YCC)政策のもと、現在の「0%程度」とされている長期金利の誘導目標の柔軟化などを検討するといったもので、年間約6兆円の買い入れが目標とされているETF(上場投資信託)の資産買い入れ手法の柔軟化なども検討される可能性が浮上している。

 この報道により、これまで「無風」と予想されていた今月30~31日開催の日銀金融政策決定会合は一転、注目の的となった。今回、日銀の金融政策の柔軟化観測が浮上したのは、緩和長期化による「副作用」が見逃せなくなったからとの見方が強い。例えば、低金利政策が金融機関の利ザヤ縮小に伴う経営悪化の背景となったとの見方があるほか、日銀の大量国債買い入れで10年債の取引が成立せず機能不全を指摘されることも増えた。さらに、大量のETFの買いにより日銀はファーストリテイリング <9983> やアドバンテスト <6857> 、太陽誘電 <6976> などの20%を超す株主となっているとも観測されており、株式市場安定化の効用の一方、一段のETF買いに対する弊害を指摘する声が出ている。

●声明文へ盛り込みの可能性も、柔軟化摸索ならネガティブ反応に

 しかし、これら副作用は目立つものの当面の日銀政策の見直しはないと見られていた。物価上昇率は弱いほか、トランプ米政権の保護主義政策が強まるなか、日銀の政策変更観測は急激な円高など金融市場の変動を伴うことになりかねないからだ。

 今回「柔軟化」報道が出た背景には、来年秋の消費税引き上げなどのスケジュールを視野に入れれば、「議論を持ち出すことができるのはこの夏から秋頃にかけてしかないからではないか」(アナリスト)との見方が出ている。

 では、来週の日銀会合で実際に政策柔軟化が議論される可能性はあるのだろうか。「50%の可能性で、日銀は何も動かないだろう」と第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストはいう。従来の日銀の路線を踏襲するものであり、これを市場は好感しそうだ。

 ただ、残り50%は変更ありのシナリオだ。「『柔軟化が必要か調べる』などといった文章を声明文に入れたり、状況次第では長期金利の誘導目標を『0.3%以下』といった具合に幅を持たせたりする方向に動く可能性もある」と同氏は予想する。柔軟化路線に動いた場合、市場は「出口」を意識しネガティブに反応することが懸念されている。

●ETF買い入れ見直しの影響大、バリュー株見直しの可能性も

 長期金利の誘導目標の柔軟化とともに市場関係者が注目しているのが、ETFの買い入れ手法の見直しの可能性だ。前出の藤代氏は「可能性は非常に低いがETFの買い入れ額を、例えば4~6兆円といったレンジで示すことも考えられる。もし実際に打ち出されれば、株式市場はかなりのネガティブに受け止めるだろう」とみる。ETF買い入れ減額の可能性を市場は嫌気するというわけだ。

 その一方、あり得るのはETFの買い入れ手法を TOPIXの比率を高める方向に見直すというものだ。もちろん年6兆円の金額は維持する。長期金利の上昇による業績改善期待に加え、このETFの買い入れ手法見直し思惑が、直近の三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> や三井住友フィナンシャルグループ <8316> などといった銀行株上昇につながっている。TOPIXの比率を高め日経225の比率を下げることは、値がさ株のファーストリテなどにはネガティブ材料となる一方、時価総額が大きくTOPIXへの影響度が高い三菱UFJなどには買い要因となるからだ。

 マネックス証券の大槻奈邦チーフ・アナリストは「長期金利の誘導目標が0.1~0.2%程度引き上げられてもメガバンクの業績面への寄与は限られる。直近の株価上昇で、それはかなり織り込まれたようにも思える。日銀政策で銀行株への影響が大きいとすれば、むしろETFの買い入れ方法の変更があった場合かもしれない」という。

 とは言え、銀行株の割安感は顕著だ。大手銀行株が連結PBRで0.5~0.6倍という低水準に放置されているのは「現行の超低金利政策が今後もずっと続くという前提で価格形成がされている。もし日銀の政策変更が行われ、この認識を見直すきっかけになれば長期的には銀行株を再評価する契機になる」と大槻氏はみる。また、日経平均株価とTOPIXの比率を示すNT倍率は足もとで約12.9倍と高水準にあることが注目されている。日経平均優位の状況を示すものだが、日銀会合でETF買い入れ手法が見直されれば、値がさ株主導から銀行などバリュー株へと物色対象を変化させる可能性も秘めているわけだ。

 ただ、日銀の金融政策が変更なしとなった場合、銀行株見直しはまたもや一過性にとどまる懸念も残る。いずれにせよ、株式市場の物色トレンドの変化をもたらす可能性もある7月の日銀決定会合は、海外投資家も高い関心を寄せるなかホットなものとなることは間違いない。

株探ニュース
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