8281 ゼビオホールディングス 東証1 15:00
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業績: 今期予想
小売業
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2016年07月26日15時31分

ヒマラヤ Research Memo(7):施策効果が顕在化してくれば、総利益率の差は縮小傾向が続く


■同業他社比較

スポーツ用品小売で同業大手のゼビオホールディングス<8281>、アルペン<3028>との直近の経営数値の比較をまとめてみた。

まず、既存店売上高の前年同月比伸び率推移を見ると、2015年11月以降は記録的な暖冬の影響により、3社とも前年同月をやや下回る水準で推移している。なかでもヒマラヤ<7514>の減少率は他社よりやや大きくなっている。この要因として、暖冬・雪不足によるスキー・スノーボード用品の販売不振の影響が、同社の営業エリアである関東以西で大きかったこと(東北・北海道エリアでのマイナスの影響は軽微だった)、一般スポーツ用品については、適時適量仕入を行ったことで冬物衣料の販売に関して他社よりも早めに縮小し、2月から春物のプロパー商品を展開したが、市場がデフレ基調に転じたことで販売が苦戦を強いられたこと(他社は冬物処分をシーズン終了まで行ったため、販売高としては比較的堅調だった)などが考えられる。売場面積については3社ともに出店数の増加に伴い拡大傾向が続いているが、同社の拡大ペースは大手2社と比較して若干緩やかなペースとなっている。

収益性について比較すると、売上総利益率は3社の中でアルペンが平均で40%台と最も高く、ゼビオ、同社が35?40%とほぼ同水準で推移している。ただ、アルペン、ゼビオに関してはその他事業が含まれている影響で、総利益率は1ポイント前後嵩上げされた格好となっている。同社の売上総利益率は、2014年前半まで大手2社と開きがあったが、これは売上規模の違い(大手2社の売上高は2,000億円超と同社の3倍超の水準)による仕入価格交渉力の差や、PB商品の売上構成比の違い(同社が約12%、他2社は20~30%)が要因と考えられる。ただ、前述したように適時適量仕入やプロパー販売力の強化によって、2014年後半以降はその差も縮小傾向となっている。2016年1月?3月については、同社の利益率が大きく落ち込んでいるが、これは同社の第2四半期が2015年12月?2016年2月と暖冬によるマイナスの影響を最も受けた期間に当たったことが影響している。同社が現在取り組んでいる施策の効果が顕在化してくれば、今後も総利益率の差は縮小傾向が続くものと予想される。

在庫回転率(売上原価÷期中平均在庫)を見ると、新規出店用の在庫積み増しや売上高の季節変動要因などにより、同社の場合は四半期ごとにバラつきが出るものの、平均で見ればゼビオと同社がほぼ同水準で、アルペンがやや低い水準で推移している。同社の5月末の在庫水準は23,131百万円と前年同期比で1,886百万円の増加となり、在庫回転率は同0.62回から0.57回に低下した。2月末水準との比較では改善しているものの、5月末時点の在庫水準としては依然過剰感が残った状態と言える。これは、スキー・スノーボード用品の在庫の積み残しがあるほか、サッカーや野球などチームスポーツ用品の在庫がやや過剰となっていることが要因と見られる。このうち、スキー・スノーボード用品については秋冬シーズンの仕入れコントロールと合わせて解消していく予定となっている。また、チームスポーツ用品に関しては、仕入コントロールや在庫処分の前倒しを実施することで、期末にかけて適正水準まで戻していく方針だ。

販管費率に関しては各社ともここ数年は人件費の増加を主因として若干ながら上昇傾向となっている。3社の比較ではアルペンの水準が高くなっているが、これはほか2社に対して人件費率の水準が高いことが要因と考えられる。売上規模が同水準のゼビオとの比較で見ると、全従業員数が1割程度多いほか、正社員数の比率も高いことが要因となっている。全従業員に占める正社員の比率は同社とアルペンが約37%と同水準であるのに対して、ゼビオは約25%と低い。店舗でのアルバイト従業員比率が高くなっていることが要因と考えられる。

同社では、販管費率について今後も現状の水準を維持していく考えだ。プロパー販売力の強化や「接客力」を向上するための社員の教育・研修費用、顧客サービス向上のための店舗内設備に対する投資に注力することで他社との差別化を図り、競争力を強化していくことが狙いだ。なお、同社の販管費率は第1四半期(9月?11月期)に高くなる傾向にあるが、これは季節要因で第1四半期の売上高が最も低くなることに加え、新規出店が比較的集中することが要因となっている。

2011年度以降の営業利益率の推移を見ると、3社ともに右肩下がりの傾向となっている。天候要因やサッカー用品市場の低調などにより、既存店舗での売上高が伸び悩むなかで在庫処分セールにより総利益率が低下したことや人件費の増加が主因となっている。2015年度に関しては前年度に大幅な在庫処分を実施したゼビオが、若干ながら利益率を改善させたものの、同社やアルペンは前年度から低下する見通しとなっている。ただ、3?4年前は大手2社と明らかな格差があった利益率も、直近ではほぼ同水準になっており、収益力について見れば遜色ないレベルになってきたと言える。同社においては現在取り組んでいる施策によって、売上高経常利益率で4.0%の水準を目標としていく考えだ。

一方、財務の健全性について見れば、大手2社の自己資本比率が50%以上で推移しているのに対して、同社は30%台とやや低水準となっている。これは同社の有利子負債依存率(有利子負債÷総資産)が5月末で26.4%と大手2社(2016年3月末でゼビオ0.2%、アルペン13.4%)に対して高水準となっているためだ。有利子負債の水準については収益が悪化したこともあり、5月末で12,296百万円とここ数年では高水準となっているが、有利子負債依存率としては低く、問題のない水準であると判断される。今後については、新規出店ペースは年間10店舗強程度であり、収益が回復すれば出店経費に関しては期間損益で十分賄える見通しとなっている。このため、M&Aなど大きな資金需要が発生しない限り、有利子負債の水準としては現状レベル、もしくは改善が進むことが予想される。

株主資本効率の観点で見れば、ROEではここ数年、大手2社が低下傾向となっているのに対して、同社は8%前後の高い水準を維持してきた。2015年度については暖冬の影響によって利益が落ち込み、ROEも5%前後に低下するとみられるが、それでも大手2社よりも高くなる見込みで、資本効率の高い経営ができているものとして評価されよう。

主な株価指標を見ると、今期予想PERに関してはアルペンが大幅な減益予想により219.6倍、ゼビオが16.8倍台以上となっているのに対して、同社は16.0倍となっており相対的に若干割安な水準にあると言える。PBRについては3社とも1.0倍を割り込んでおり、純資産価値を下回る評価となっている。ここ数年、売上高は伸びるものの、利益に関しては低迷が続いていることが背景にあると考えられる。

こうした市場環境下において、同社では「接客力の向上」により顧客から支持される店舗づくり目指すだけでなく、プロパー販売力を強化することでメーカーからも支持される小売店を目指すことで同業他社との差別化を図り、収益拡大を進めていく考えだ。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、スポーツ用品の市場環境は堅調に推移するとみられ、同社の業績も2017年8月期以降は再び成長路線に転じることが予想される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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