貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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「上がったものは上がる、下がったものは下がる」でいい? ⇒ 外挿バイアス

大槻奈那の「だからあなたは損をする~
          心理バイアスの罠にはまらない技」~最終回

大槻奈那(Nana Otsuki)
マネックス証券・執行役員チーフアナリスト
大槻奈那東京大学卒業。英ロンドン・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。格付け会社スタンダード&プアーズ、UBS証券、メリルリンチ日本証券にてアナリスト業務に従事。2016年1月より現職。名古屋商科大学大学院教授、二松学舎大学客員教授を兼務しつつ、一橋大学大学院・経営管理研究科(一橋ビジネススクール)の博士課程に在籍。ロンドン証券取引所アドバイザリーグループ・メンバー。財務省財政制度等審議会委員、規制改革推進会議委員。最近の趣味は落語鑑賞と旅行、そして不動産実査で宅地建物取引士の資格も保有する。

前回記事「バリュー・ローテーションの声もあるけど、ムードではグロース!? ⇒カレンダー効果とムードベータ」を読む

皆さんは、直近で上昇し始めた株と下落し始めた株のどちらに強気になりますか?

株探兄弟サイトの『みんなの株式』で皆さんの予想を見てみると、総じて過去半年程度の最安値からの上昇率が高いと高めの株価を予想する傾向があるようです。

このように、将来予測の際に、現在までのトレンドに過度に依存することを「外挿(Extrapolation) バイアス」と言います。これまで上昇してきたものは今後も上昇する、2度あることは、3度ある、というように過去を引きずる考え方です。

米国の市場について、2014年に米ハーバード大学のロビン・グリーンウッドとアンドレ・シュライファー(所属先は現時点、記事最後の注1参照)は 、人々の株価予想が、直近の株価と見事に同様の動きをしていることを示しました。

ところが現実には、過去のトレンドがそのまま通用するとは限りません。むしろ、逆に、トレンド通りに行く方が稀です。

1996年に米ブラウン大学のラファエル・ラ・ポルタ(所属先は現時点、同注2参照)は、35年間の株価とアナリストの予想を調べて、アナリストが企業収益や株価に極端に楽観的になった時、それとは逆の戦略を取ると、超過リターンが得られるということを実証しました。つまり、アナリストの「外挿バイアス」を逆手に取る戦略です。

アナリストが直近のデータを基に将来に対しても楽観的になっても、実際には株価は過去と同じように動くとは限りません。結局現実には株価は下落することもあるので、アナリストが過度に強気予想をしている時にはショートした方が儲かることになります。

2004年からの日経平均で検証すると、アナリスト順行は損に

では、日本の最近の市場で、同じような戦略を試したらどうなるでしょうか。検証した期間は、データが取れる2004年3月から2021年4月9日までです。株価は、日経平均株価の週足の終値を使用しました。

まず、アナリストの予想を信じる「順行」パターンを見てみます。

現値に対して20%超の高い上昇を予想していた場合に日経平均を買って(ロング)、値下がりを予想した場合に売って(ショート)、1カ月後、3カ月後に反対売買を行った場合の平均リターンを求めます。

なお、アナリストは大きな値上がり予想はしばしば行うのですが、値下がりを予想している期間は数が少ないので、値上がりは「20%」で区切り、値下がりは「0%」で区切っています。

下のグラフの左側半分がそのリターンです。1カ月後も3カ月後も損失が発生しています。

逆行の検証から、「アナリストの極端な上昇予想は信じない方がいい」

次に、アナリスト予想は信じずに、「逆行」するパターンを計算します。即ち、20%超の上昇が予想されている時に売り、下落が予想されている時に買うというものです。

下のグラフの右側が同じ期間の平均リターンです。グラフに見られるように1カ月も3カ月も大きなプラスとなっています。

前述の研究と同様、「アナリストの極端な上昇予想は信じない方がいい」、ということになります。

■アナリスト予想に順行と逆行の投資リターン~強気=20%超の上昇予想、弱気=下落予想
【タイトル】

注:ブルームバーグより筆者。順行はアナリストが大幅な上昇を予想した時に買い、マイナスを予想した時に売る。1カ月後、3カ月後、6カ月後に反対売買をした場合の平均リターン。逆行はその逆。期間はデータが取れる2004年3月2日~21年4月9日まで。週次データ


では、現在、アナリストが極端に楽観的、悲観的な銘柄を日経平均株価の構成銘柄からピックアップしてみましょう。

下のグラフの通り、個別銘柄で見ると、Zホールディングス<4689>以下、アナリストのコンセンサス予想が40%を超える銘柄もみられる一方、10%を超える下落が予想されているものも見られます。

以下、アナリストの株価予想が強気のZホールディングス<4689>と、弱気のイオン<8267>と日本取引所グループ<8697>について見ていきましょう。

■証券アナリストの株価予想と直近株価の乖離率
【タイトル】
出所:ブルームバーグ。注:4月12日終値時点

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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