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8137 サンワテクノス

東証P
2,194円
前日比
-29
-1.30%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
6.9 0.71 4.33 47.94
時価総額 352億円
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決算発表予定日

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サンワテクノス Research Memo(8):労働力不足・人件費削減を追い風に、エンジニアリング事業は好調見通し


■中期経営計画の概要と進捗状況

3. エンジニアリング事業の進捗状況
(1) 事業の概要
サンワテクノス<8137>においてエンジニアリング事業というのは、“電機・電子・機械の3部門の商品をそれぞれ単品販売するのではなく、システムとしてソリューションを提案する”ということで、言わば営業手法である。同社を食品スーパーに見立てると、これまでの同社は肉、魚、野菜を取りそろえて素材のまま顧客に販売してきた。エンジニアリング事業では、それぞれの食材を惣菜やお弁当に加工して販売するというイメージだ。エンジニアリング事業としての売上高が立つのではなく、電機・電子・機械の3部門に振り分けられることになる。

エンジニアリング事業の典型的なケースとして、同社が得意とするロボット(産業用ロボット)の導入を挙げることができる。ロボットは自動車業界において開発・導入がスタートし、その後、産業界全般に拡散してきたという歴史的経緯がある。自動車業界以外ではロボットの導入はこれから本格化するステージにあるが、それら新興ユーザー企業がロボットを導入しても使いこなせないことが多い。同社は、社内の技術者がシステムの全体構想を作成し、そこに外部のSI事業者を起用してシステムを構築するなどして、顧客企業がロボット導入及びメリットの享受をスムーズに実現できることをセールスポイントに、ビジネスの拡大を図るというのがエンジニアリング事業だ。

弊社では、エンジニアリング事業の成功について、従来よりも確信度を深めている。その理由はいくつかあるが、まず挙げられるのは人手不足や人件費・労務費の高騰だ。日本では言うまでもないがこの動きは中国で深刻化しており、アジア全体に広がっていくとみられる。それへの対策として前述の産業用ロボットの導入は有効な施策の1つだ。エンジニアリング事業の実績を積み重ねてサービスの質を高めていけば、この領域では大きなビジネスチャンスを得られると弊社では確信している。

また、エンジニアリング事業ならではの新たな商流として、エンドユーザー取引の拡大に期待を持っている。これまでエンジニアリング事業の直接の取引相手は装置メーカーであった。装置メーカーはそれをエンドユーザーである企業の工場等に製造装置として納入するという流れだ。それに対して同社がエンドユーザー企業に直接、自動化装置・システムを納入することをエンドユーザー取引と称している。前期において初の事例が出現した。これが可能になったのは、同社の技術力・ソリューション力の存在は言うまでもないが、エンドユーザーの側でも工場の生産ラインについての専門家を配置していたことが大きい。エンドユーザー取引はほかの顧客へもすぐに拡大するという性格のものではないが、一度成功した“既存客”との間では他工場や他の設備等に拡大する、いわゆるリピートオーダーを期待できると弊社では考えている。

このように、同社のエンジニアリング事業は、従来の商材の単品販売に比べて、ビジネスチャンスが大きく拡大する可能性がある。また、同社が提供できる付加価値が高まり、それだけ利益率も高まると期待される。

(2) 進捗状況
エンジニアリング事業の加速を狙って、同社は必要な投資を行ってきている。前述の例になぞらえれば、惣菜や弁当を調理する役割を担う人材を外部からの採用を含めて拡充を図っている。組織体制では、2015年4月には「FAシステム営業統括部」(現・FAシステム営業部)、「産業ソリューション統括部」(現・産業ソリューション部)、「エンジニアリング部」などを設置し、3つの商材に横串を通す形での提案・営業が加速するよう、体制を整えた。

今2018年3月期においてもさらに体制の拡充を図っている。2017年4月には、メカトロニクス営業部と機械システム営業部をFAシステム営業部に統合した。狙いは、電機と機械を統合することで総合力を高めることにある。また、2017年10月にはエンジニアリング部の組織を変更し、ロボット推進課、IoT推進課、監視制御推進課、自動認識推進課、電機技術課、技術サービス課へと再編した。これは、チームごとの役割を明確にしたほうが社内連携をより有効に図れるようになり、ひいてはエンジニアリング事業の提案の積極的に寄与するとの判断が背景にある。弊社ではエンジニアリング事業推進のための体制固めはひとまず完了したとみており、後は結果を積み上げるだけという段階に至ったと考えている。

過去数年間にわたるエンジニアリング事業のための投資は、業績面でも順調に成果を上げてきている。今第2四半期決算から同社は、エンジニアリング事業の規模感を表象する指標として、エンジニアリング事業の仕入高を公表した。これに一定の利益を乗せたものがエンジニアリング事業の売上高ということになる。エンジニアリング事業の仕入高は、2016年3月期実績において約60億円、2017年3月期実績が約95億円と順調に拡大し、今2018年3月期は約88億円と予想されている。今期の仕入高が前期比減少するのは、前期においては例外的な大型案件があったためであり、商談件数では順調に拡大ペースが続いている模様だ。同社はエンジニアリング事業への本格展開に際して売上高100億円を当面の目標と設定していたが、今中期経営計画中の目標達成が視野に入ってきたと言える。

エンジニアリング事業は利益面でも業績に貢献できているもようだ。エンジニアリング事業は、商社としての販売代理業に比べて、“ソリューション”という付加価値の分だけマージンを稼ぐことができ、より高い利益率を追求することができると期待されて始まった。これまでのところは、そうした当初の狙いが着実に実現できているとみられる。前述のように、2018年3月期の業績見通しは期初予想から2回上方修正されているが、同社はエンジニアリング事業からの利益貢献もその大きな要因となっているとしている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《TN》

 提供:フィスコ

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