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8101 GSIクレオス

東証P
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時価総額 306億円
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相次ぐ急動意株、「廃プラ関連」に流れ込む投資マネーを追え <株探トップ特集>


―亜臨界融合技術導入でストップ高を演じたエンビプロ、これに続く次の銘柄は―

 ■まずは「廃プラ」、アジア輸入規制強化で「廃棄物処理施設」関連に脚光

 今年前半のビッグイベント「20ヵ国・地域首脳会合(G20大阪サミット)」が無事通過した。注目された米中首脳会談は、貿易協議の再開と中国への関税引き上げを見送ることで合意、きょうこそ軟調展開だが、株式市場はこれを好感し7月に入ってからはしっかりとした動きが続いている。ただ、米中首脳会談の行方だけに関心が傾くなか、重要テーマの一つだった海洋プラスチックごみ問題などは影が薄くなり、株式市場での「脱プラ関連株」への注目度もやや冷めた感じだ。こうしたさなか、サミット開催直前にインドネシアが先進国から流入する廃プラスチックの輸入禁止方針を打ち出したことで、じわり「廃プラ関連」への関心度が高まっている。もちろん脱プラ対策は大きな課題だが、足もと廃プラ問題を解決しなければならない状況だ。関連銘柄の動向を探った。

●トランプ劇場に、かすむ脱プラ

 インドネシアが廃プラ受け入れ禁止を打ち出した背景には、先に輸入規制に動いた中国の影響がある。最大の輸入国だった中国が規制に動いたことで、アジア各国で輸入規制が広がるなか、インドネシアも押し寄せる膨大な廃プラに業を煮やした格好だ。今後、更に日本を含め先進国は自国での廃プラ処理を進めることが求められる。ただ、米中首脳の会談に関心が集中したG20大阪サミットに加え、電撃的な北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長との首脳会談など、まさにトランプ劇場ともいえる政治ショーにスポットライトが当たったことで、脱プラをはじめとする地球規模の大きな問題への取り組みがかすんでしまった感は否めない。

 G20大阪サミットでは海洋プラスチックごみ問題などを重要課題として取り上げるとしたことから、開催に向けてはカネカ <4118> 、ユニチカ <3103> 、三菱ケミカルホールディングス <4188> 、GSIクレオス <8101> など脱プラに絡む銘柄を中心に注目が集まっていたものの、多少動意する銘柄が散見される程度で、耳目を集めるほどの大きな動きはなかった。現在、株式市場においては、イベント通過ということもありプラスチックごみに対する関心度は薄れてはいるものの、直近も新たに急騰する銘柄が登場するなど“感応度”はいまだ健在だ。

●エンビプロは亜臨界融合新工場で一時S高

 エンビプロ・ホールディングス <5698> は2日取引終了後、プラスチックごみ問題に対応する亜臨界融合技術・装置を導入した新工場を開設したことを発表。プラスチック使用量を大幅に削減し、廃棄物を活用したプラスチック製品を製造するという。これを受け3日の株式市場で株価は一時ストップ高の716円まで買われた。ただ、翌日には急反落したものの持ちなおし現在は670円近辺で推移している。同社は金属やプラスチックなどの リサイクル事業、リユース事業を手掛けるが、今年2月後半には子会社が「焼却灰からの貴金属回収方法及び装置」に関する特許を取得したと発表し株価は急騰、500円台後半から一気に900円台まで駆け上った経緯がある。急騰習性は折り紙付きだが、加えて廃プラに関心が高まるなか、今後の展開に注目が集まる。

 G20大阪サミット終了後の6月29日、安倍首相は海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を表明し、日本は途上国の廃棄物管理に関する能力構築及びインフラ整備などを支援していくとしている。

 同日「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン実現のための日本の『マリーン(MARINE)・イニシアティブ』」を発表しているが、そのなか注目したいのが「廃棄物処理関連施設などのインフラ輸出」について「産業界と連携した国際ビジネス展開や、NGO・地方公共団体との連携を推進する」としている点だ。また「リサイクル施設や廃棄物発電施設を含む廃棄物処理施設などの質の高い環境インフラ導入支援」にも言及しており、 廃棄物処理施設に絡む関連銘柄には追い風になりそうだ。

●日立造船は「ビジネスチャンス」

 こうした状況下、日立造船 <7004> は3日にタイのラヨーン県で建設されるごみ焼却発電プラント(ストーカ式焼却炉)の設備工事を受注したと発表した。同社では「東南アジア、中国など経済成長が進むなか市場も大きく伸びている」(経営企画部広報・IR)とし、廃棄物処理関連施設などインフラ輸出推進の動きについて「こうした動きは、ビジネスチャンスと捉えており積極的に取り組んでいく」(同)と期待感をにじませる。アジアでの廃プラ受け入れ禁止が拡大するなか、同社はごみ焼却発電施設などで多くの納入実績を持っているだけに、更なる活躍期待が高まる。株価は6月中旬の350円近辺から上値を追い、先週末5日に419円まで買われ年初来高値を更新している。

●納入実績豊富なタクマ

 廃棄物処理関連施設ではタクマ <6013> の存在も忘れてはならない。同社は各種ボイラー、機械設備などを手掛け、長年にわたる数多くの実績により燃焼に関するノウハウを蓄積しており、ボイラーの要となる燃焼装置では多様な燃焼方式を保有している。なかでも、廃プラや古紙を主な原料とした燃焼効率が高い固形燃料「RPF」を使用した階段式ストーカ炉では納入実績が豊富だ。同社では「中国、インドネシアなどアジアでの廃プラ輸入規制の広がりは、国内市場において追い風と考えている。現在のところ(廃棄物処理関連施設の)海外輸出は行っていないが、今後の需要拡大に期待している」(企画部)と言う。株価は6月24日には直近安値1291円まで売られるものの、ここを底に切り返し現在は1400円台半ばで推移。

●サニックス、一気通貫の「資源循環型発電事業」

 当然のことながら、廃プラリサイクルに絡む銘柄にもスポットライトが当たる可能性がある。サニックス <4651> は、廃プラの回収、燃料化から発電まで一気通貫で行う「資源循環型発電事業」を展開しており、廃プラ関連の一角として注目度が増しそうだ。同社では、早くからプラスチックの燃焼カロリーの高さに注目し、全国15ヵ所の工場で、製造工場などから排出される廃プラを加工して燃料化、サニックスエナジー苫小牧発電所(北海道・サニックス子会社)などで発電用燃料として使用し、エネルギーとして再生している。会社側では「問い合わせは、以前よりも増えている」(経営企画部)と話す。

●目を配っておきたいイボキン、タケエイ

 そのほかでは、昨年8月にジャスダック市場に上場した廃棄物リサイクル企業のイボキン <5699> [JQ]にも注目。株価は、昨年末を底に順調に下値を切り上げ、現在は3800円水準で上場来高値圏を舞う。同社は、解体・撤去技術、回収・輸送技術の強化に取り組み、解体から最終処分までを自社で完結する「ワンストップ・サービス」を行っている。そのなか、廃プラのリサイクル処理も展開しており注目。また、産業廃棄物のリサイクルなど中間処理、最終処分まで行うタケエイ <2151> にも目を配っておきたい。

 加速する脱プラへ向けての動きだが、目先は拡大する輸入規制に廃プラ問題の解決が喫緊の課題となる。脱プラは重要、廃プラ処理は待ったなし。プラスチックによる環境汚染が焦点となるなか、関連銘柄は折に触れて物色されそうだ。

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