貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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8058 三菱商事

東証P
3,452.0円
前日比
-15.0
-0.43%
PTS
3,485円
23:57 04/19
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
14.9 1.62 2.03 6.65
時価総額 144,260億円
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飯野海運 Research Memo(3):海運業(外航海運業、内航・近海海運業)と不動産業を展開


■飯野海運<9119>の事業概要と特徴・強み

1. 事業の概要
海運業(外航海運業、内航・近海海運業)と不動産業を収益の両輪としていることが特徴だ。2020年3月期の売上高構成比は外航海運業76.6%、内航・近海海運業10.4%、不動産業13.1%、営業利益構成比は外航海運業16.4%、内航・近海海運業14.3%、不動産業69.3%、営業利益率は外航海運業1.0%、内航・近海海運業6.2%、不動産業23.6%だった。

過去5期間で見ると、売上高構成比に大きな変動はないが、営業利益率に変動が見られる。外航海運業は市況変動や入渠費用増加などの影響で営業利益率が低下している。内航・近海海運業は中長期契約に基づく安定的な売上確保や効率配船で営業利益率が改善傾向だが、2020年3月期は入渠が重なった影響で減益だった。不動産業は2020年3月期の営業利益率が設備更新費用増加で低下したが、この一時的要因を除けば30%台で推移して安定収益源となっている。


海運業は業界最大級の船隊規模を誇るケミカルタンカーやガスキャリアが主力
2. 海運業
海運業のうち、外航海運業は全世界にわたる水域において、原油を輸送するオイルタンカー、石油化学製品を輸送するケミカルタンカー、LNG(液化天然ガス)やLPG(液化石油ガス)を輸送する大型ガスキャリア、石炭・木材チップを輸送する専用船及び穀物・鋼材・肥料などを輸送する小型~中型ドライバルクキャリア(ばら積み貨物船)を運航している。内航・近海海運業は国内及び近海を中心とした水域において、LNG・LPG・石油化学系ガスを輸送する小型ガスキャリアなどを運航している。また、国内外における船舶管理業や船用品販売業なども行っている。

2020年3月期末時点のグループ運航船舶数は合計105隻(社船54隻、用船51隻、共有相手持分及び短期用船を含む)である。内訳は外航海運業のオイルタンカー3隻、ケミカルタンカー43隻、大型ガスキャリア17隻、ドライバルクキャリア16隻、内航・近海海運業の小型ガスキャリア26隻である。

主要取引先には、アストモスエネルギー(株)(出光興産<5019>グループと三菱商事<8058>グループのLPG部門が統合したLPG商社)、出光興産、王子ホールディングス<3861>、ENEOS(株)(ENEOSホールディングス<5020>グループ会社)、JA全農(全国農業協同組合連合会)、J-POWER(電源開発)<9513>、東ソー<4042>、日本ゼオン<4205>、北海道瓦斯<9534>、SABIC(Saudi Basic Industries Corporation)などがある。

ケミカルタンカーやガスキャリアなどによる資源・エネルギー関連輸送を主力として、グローバル・ネットワークを駆使した効率的な輸送で、遠洋から近海にわたる幅広い水域で海上輸送サービスを提供している。業界最大級の船隊規模を誇るケミカルタンカーや、安定収益源として中長期契約を積み上げるガスキャリアなどを特徴・強みとしている。そして特に中東積み石油化学製品の輸送量はトップクラスのシェアを誇っている。またLPG・石油化学系ガスの国内輸送シェアは業界トップクラスで、国内では数少ない内航LNGキャリアも運航している。

同社が運航するケミカルタンカーの多くはステンレス製タンクを有していることも特徴だ。ステンレス製タンクは通常の鉄製タンクに比べて耐腐食性が強いため、硫酸なども輸送できるメリットがあり、石油化学製品だけでなくパーム油などの輸送も行うことで効率的な運航を図っている。ステンレス製タンクに加えて、タンク洗浄など石油化学製品輸送に要求される高度な船舶管理ノウハウ、さらには効率的な輸送ノウハウを有していることが、同社の競争優位性につながっている。


東京都心部の一等地でオフィスビルを賃貸
3. 不動産業
不動産業はオフィスビル賃貸・管理・メンテナンスを行っている。本社ビルである飯野ビルディング(イイノホール&カンファレンスセンター含む)など、東京都心部の一等地に賃貸オフィスビルを複数所有していることが特徴だ。また、レンタルフォトスタジオ事業(広尾スタジオ、南青山スタジオ)など関連事業も展開している。

1983年竣工の東京富士見ビル(東京都千代田区)、1988年竣工の飯野竹早ビル(東京都文京区)、2006年竣工の汐留芝離宮ビルディング(東京都港区)のほか、2009年に飯野ビルディング(東京都千代田区)の建て替え工事に着手し、2011年10月に飯野ビルディング1期工事が完了して開業、2014年11月に飯野ビルディング2期工事が完了してグランドオープンした。2017年12月にはNS虎ノ門ビル(東京都港区、2016年竣工)の一部持分を取得した。また2020年3月には英国ロンドンのオフィスビルBRACTON HOUSEを取得(2020年1月設立の現地連結子会社が取得)し、海外不動産を事業ポートフォリオに加えた。

なお、事業ポートフォリオ見直しに伴い、2017年3月に笹塚センタービル(1995年竣工)を売却した。また新橋田村町地区市街地再開発事業(東京都港区、2018年4月建物着工、2021年6月末竣工予定)への参画のため、2018年3月期に東京桜田ビル(東京都港区、1967年竣工)を解体した。

この結果、2020年3期末時点の所有賃貸ビルは6棟(飯野ビルディング、東京富士見ビル、汐留芝離宮ビルディング、NS虎ノ門ビル、飯野竹早ビル、ロンドンBRACTON HOUSE)となっている。

同社にとって不動産業は長期的視野における安定収益源の柱の1つであり、従前ターゲットエリアに指定していた都心の限定的な地域に限定せず、今後は海外や地方へも目を向け、優良物件の獲得を目指す。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

《ST》

 提供:フィスコ

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