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8038 東都水産

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東都水産 Research Memo(12):中期経営計画は豊洲移転後に改めて策定する考えだが、アイデアは色々ありそう


■中期経営計画

2. 中期成長イメージ
東都水産<8038>のターニングポイントは近年でも大きなものが2つあり、1つは東日本大震災、もう1つがまさに足元の築地市場から豊洲市場への移転である。同社は、東日本大震災の影響がほぼなくなってきたことから、豊洲市場移転を踏まえて中期経営計画を策定しようとしていた。ところが、豊洲市場移転が延期になったことで、中期経営計画の策定がペンディングとなった。中期的にアイデアが色々あったとしても、豊洲市場への移転という大前提が延期となったため論理構成しづらくなったことがペンディングの背景と思われる。同社は豊洲移転後に改めて中期経営計画を策定する考えのようだ。

ちなみに、豊洲市場移転は2019年3月期中に行われる可能性が強まった。このため2019年3月期は、引き続き外部環境が厳しいなか、移転で従来どおりの収益を確保できるか始まってみなければ分からない上、多額とは言わないまでも引っ越し費用がかかり、重装備施設のため家賃も上がる見込みである。移転のメリットでカバーできるかが短期利益のカギとなるだろう。

ただし、豊洲市場移転を弾みに、同社の収益構造に変化が生じる可能性が出てきた。厳しい環境ながら、グループのネットワークを背景に新たなトライを開始したのである。2017年4月に事業開発統括本部を設置し、新規の海外事業や加工事業などをグループ横断的に推進することになった。キーになるのが2017年6月の総会で就任した久我勝二(くがしょうじ)取締役と長谷幸一郎(ながたにこういちろう)取締役、そしてAERO TRADINGである。

まず、大手量販店などによる市場外流通の増加に対しては、市場外流通にも積極的に取り組む方針に転じる見込みである。担当の久我取締役はもともと鮮魚畑で量販店の担当が長かったが、その経験を生かして鮮魚部と物流事業部を担当、消費者が大手量販店で魚を買うのなら大手量販店に売ればいいと、市場外流通に対し積極的に仕掛けていく方針である。その他の内外の難しい課題には、加工と輸出に経営資源を集中させて対応する考えである。長谷取締役は九州の卸売会社(株)三陽の代表取締役であり、三陽は同社と20数億円規模の商売がある大株主でもある。三陽は子会社に仲卸があり、アジフライやアジのたたきなど加工を得意にしている。さらに九州から中東への輸出も行っている。そして、輸出や加工と言えば同社子会社のAERO TRADINGにもノウハウがある。こうしたノウハウを同社が取り込むことで、多角化を進め新たな成長のシーズとしようという考えである。

豊洲市場は、開設者への市場使用料の増加や市場内物流の変化などにより、高コスト型の市場に変わることが想定される。しかし、それ以上に豊洲市場を使うメリットが大きいと言われる。特にコールドチェーンによる鮮度保持、物流動線の効率化、量販店対応の専門のピッキングヤードなどである。豊洲市場は同社の新たなトライに非常に好都合な場ということができる。豊洲市場移転は、きっかけ以上のビッグチャンスかもしれない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《MH》

 提供:フィスコ

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