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電算システム Research Memo(4):国際送金サービスは順調に送金件数や登録顧客数が伸びている


■事業セグメント別動向

(2)収納代行サービスセグメント

a)事業のポイント
収納代行サービス事業は決済サービスと決済イノベーションの2つのサブセグメントに分けられる。決済サービスの中核は払込票決済サービスである。これは、コンビニエンス・ストアにおいて払込票を用いて通信販売の代金等やガス・水道料金、税金等の公共料金を支払うサービスだ。この払込票決済サービスにおける電算システム<3630>のシェアは、銀行系決済サービス会社に次いで第2位のポジションにあるとみられる。コンビニエンス・ストアをネットワークする事業基盤は、競合企業の新規参入に対する高い参入障壁となっている。インターネット通販(eコマース、EC)市場の拡大による新規顧客の増加もあり、おおむね10%前後の成長が継続している。

決済イノベーションは、国際送金サービスと収納窓口サービスの2つからなる。国際送金サービスは順調に送金件数や登録顧客数が伸びており、黒字化まではあと一息という状況にまで成長してきた。収納窓口サービスは決済サービスにおけるコンビニ払込票サービスと同様のものを、スーパーやドラッグストアにおいても導入しようというものだ。同社が契約店舗を開拓することで、通販業者など同社の顧客企業とその利用者である一般消費者双方の利便性を高め、同社が提供するサービスの魅力度を高めようというものだ。

b)業績動向
収納代行サービスセグメントの2016年12月期第2四半期の業績は、前述のように、売上高7,414百万円(前年同期比9.6%増)、営業利益306百万円(同19.4%増)と増収増益で着地した。期初計画に対しても、売上高、営業利益ともに上回った。

売上高は期初計画を231百万円上回ったが、これは決済サービスサブセグメントが293百万円上回ったためだ。その更なる内訳として、払込票決済サービスの売上高が計画を303百万円上回ったことが貢献した。払込票決済サービスについては、ECの拡大とそれに伴うクレジットカード決済の普及で、需要が伸び悩むとの懸念があるが、高齢者層を中心にコンビニでの払込票サービスに根強い需要があることが確認された。また、後述する収納窓口サービス(コンビニ以外のドラッグストアなどでの払込票を使った決済サービス)の店舗拡大や、地方自治体の公共料金支払いにおける払込票決済サービスの利用拡大も貢献したものと弊社ではみている。

決済イノベーションサブセグメントは計画に対して61百万円の未達となった。このサブセグメントは、国際送金サービスと収納窓口サービスとに分けられる。詳細は後述するが、今第2四半期は、収納窓口サービスが順調に拡大したのに対して、国際送金サービスで足踏みがみられたことが計画に対する未達につながったものと弊社ではみている。

弊社では、2016年12月期における注目点として、電力小売全面自由化の効果に注目していた。従来の地域独占電力会社(関東圏における東京電力など)による電力供給から新電力(PPS)へと契約が切り替わることで、切り替え当初の数ヶ月は払込票による電力料金支払いが増加するのではないかとの期待がその理由だ。結果は、弊社の想定が誤っており、電力小売自由化は同社の業績には影響を及ぼすことはなかった。

代わって今第2四半期に存在感を示したのが、地方公共団体関連の払込票サービスの利用拡大だ。全国には1,800弱の地方公共団体があり、それぞれの自治体が、ガス、水道、各種税金など、複数の支払い案件を抱えている。同社はこの市場で約20%のシェアを握っているもようだ。地方公共団体関連の払込票サービスの利用拡大は、前述した払込票サービス売上高が計画比上振れとなったことの大きな要因の1つともなっている。同社にとって市場開拓の余地は大きく、今後の展開に注目したい。

c)国際送金サービス
同社は米ウエスタンユニオン(WU)と提携して国際送金サービスを提供している。同社が提供する国際送金サービスには、金額や仕組みの異なる2種類のサービスがある。

現時点で中核となっているのは「コンビニ・ウエスタンユニオン(WU)国際送金サービス」だ。これは書面やパソコンで事前登録(郵送による本人確認必要)を行えば、手数料込みで10万円未満の金額についてコンビニエンス・ストアのファミリーマート<8028>店舗に設置された端末を使って低料金で世界200ヶ国に海外送金することが可能なサービスだ。海外送金サービスはセブン銀行<8410>やSBIホールディングス<8473>、ソフトバンクグループ<9984>なども提供しているが、手数料の安さやサービス時間帯の面で銀行よりも手軽なため、同社も含めて堅実に利用者・利用件数を増やしている。

同社のもう1つのサービスは「WILL CALL」と呼ぶ店頭対面型送金サービスだ。利用者はWILL CALLサービスの契約店舗の店頭において、対面で本人確認を行うが、その不便さの代わりに1回の送金額が最大100万円に拡大されている点がコンビニWU国際送金サービスと大きく異なる。日本で働く外国人の中では、対面式にむしろ安心感を覚える利用者も多く、同社にとっても金額の大きさゆえに収益性がコンビニ送金サービスよりも高いため、WILL CALLの拡大を目指している。

しかしながら、WILL CALL事業は必ずしも順調ではない。契約店舗数の拡大が思うようにいかないためだ。2016年12月期第2四半期末の契約店舗数は、新規契約がある一方で契約解除した店舗もあり、結果的には半年前と同じ42店舗にとどまっている。この背景には提携先であるWUによるコンプライアンス強化がある。具体的には、利用者の主体が在日外国人でありながら契約店舗の経営者は日本人であることを求められていることや、経営者の経歴や人物評価などが強化されたことで、契約店舗の拡大が遅れているという状況になっている。

弊社では、同社が店舗網拡大よりもコンプライアンス遵守を優先するのは正しいスタンスであると考えている。海外送金という事業の性質上、コンプライアンス・リスクが経営リスクに直結する可能性が高いと考えるからだ。コンビニWU国際送金サービスとWILL CALLを合わせた利用件数が現状のペースで拡大を続ければ2017年12月期中に月次ベースで黒字化すると期待される。慎重な店舗網拡大策と積極的なサービスの認知度向上策を組み合わせて、堅実な事業拡大を図ることが最良の結果につながるものと考えている。

国際送金サービスに関して、今第2四半期にマイナンバー制度という懸念材料が浮上してきた。国際送金サービス利用のために事前登録を行う際に、マイナンバーを記入することが要求されるようになったが、これにより手続きの煩雑さが一段上昇し、新規利用者増にとって阻害要因となっている事象が確認されている。新規利用者の増加ペースが鈍化すれば同社が目指す月次黒字化のタイミングがずれこむことが懸念される。今下期以降の要注意点として注意深く見守りたい。

d)収納窓口サービス
国際送金サービスと並んで決済イノベーションの一翼を担うのが収納窓口サービスだ。このサービスはコンビニ払込票サービスと同様のものを、スーパーやドラッグストアにおいても導入しようというものだ。同社が契約店舗を開拓することで、通販業者など同社の顧客企業とその利用者である一般消費者双方の利便性を高め、同社のサービスの魅力度を高める狙いがある。また、同サービス利用店舗にとっては、来店動機につながる販促ツールとしての利用価値がある。

このように“三方よし”的な性質を有することから、収納窓口サービスの契約店舗数は順調に増加している。2016年12月期第2四半期末時点では、導入店舗数が1,500店舗以上に達し、2015年12月末の1,220店から大きく増加した。同社は今後も大手ドラッグストアチェーンやスーパーマーケット・チェーンなどに攻勢をかけ、効率的に契約店舗網を拡大させていく方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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