貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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8015 豊田通商

東証P
10,265円
前日比
-65
-0.63%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.3 1.60 2.44 4.08
時価総額 36,344億円
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決算発表予定日

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IoT化・一括制御で“発電所”もバーチャルに VPP関連株に活躍の時<株探トップ特集>


―「ブラックアウト」発生でにわかに関心高まる、相次ぐ参入企業に株価再評価余地―

 九州電力 <9508> は今秋、域内の一部の太陽光発電所からの送電を一時的に止める出力制御を実施した。九州で太陽光発電を手掛ける事業者が増えた結果、今秋に幅広い地域で晴天となったことに伴い太陽光からの電力供給が需要を超え、需給バランスが崩れて大規模停電(ブラックアウト)が起きる可能性が高まったためだ。9月に起きた北海道胆振東部地震ではブラックアウトが発生。こうしたなか、エネルギー資源を統合制御できる「バーチャルパワープラント(VPP)」が注目を集めている。

●求められる電力の需給バランス最適化

 VPPとは、域内に点在する再生可能エネルギー発電設備や燃料電池 蓄電池電気自動車(EV)などの各機器をIoT化し、一括制御することで、あたかもひとつの発電所として機能させる手法。「仮想発電所」とも呼ばれ、効率的に需給バランスを最適化することができる。例えば、太陽光発電の出力が増えて電気が余った場合は、各家庭に設置されている蓄電池に充電することで電力消費を増やし、反対に供給力が不足した場合には蓄電池から放電するなどして需要側で需給を調整する。現在は出力側で需給が調整されるため、電力会社は一時的な電力需要を満たすための予備発電施設を持つ必要があるが、VPPが構築できればこうした設備はいらなくなり、建設費や整備費を抑えることが可能になる。

 政府が7月に発表した新たなエネルギー基本計画では、2030年度での実現を目指すエネルギーミックス水準として電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を22~24%(16年度は15%程度)としているが、これを達成するためには天候によって発電量が変わる再生可能エネルギーで発電した電力をムダなく使えるようにする必要がある。経済産業省では16年度から20年度までの5ヵ年計画で補助金を設けてVPPに取り組む企業を支援しており、資源エネルギー庁は補助事業となる「需要家側エネルギーリソースを活用したVPP構築実証事業」を推進。今年度はソフトバンクグループ <9984> 傘下のSBエナジーとサニックス <4651> のグループ、東光高岳 <6617> および東京電力ホールディングス <9501> をはじめとしたグループ、戸田建設 <1860> やグリムス <3150> [JQ]などのグループ、きんでん <1944> が補助事業者として採択されている。

●VPP関連事業への参入相次ぐ

 これ以外では、昭和シェル石油 <5002> が横河電機 <6841> のグループ企業などと組んで製油所のエネルギーリソースによるVPP構築実証事業に乗り出しているほか、ローソン <2651> と三菱商事 <8058> が出資するMCリテールエナジーはローソン店舗を活用したVPP事業に参入。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と日立化成 <4217> 、日本ガイシ <5333> 、日立パワーソリューションズ(茨城県日立市)はドイツで大規模ハイブリッド蓄電池システムを完成させ、11月から実証運転を開始した。

 また、リミックスポイント <3825> [東証2]は11月15日、住宅用太陽光発電の固定価格買い取り制度(FIT)契約期限切れで発生する大量の余剰電力を集約し、活用する新たなエネルギー・マネジメント・サービスの策定を開始したと発表。IoTを活用したVPPを構築し、一般家庭や電力需要家、アグリゲーター(電力会社と需要家の間に立ってバランスをコントロールする事業者)、太陽光発電メーカー、蓄電池メーカー、自動車メーカーなどを巻き込んだ「エネルギーコンソーシアム」で、エネルギー・ビジネスの創出を目指す構えだ。

 TIS <3626> は11月26日、VPP事業の立ち上げを支援するサービス「エネLink VPP+」をクラウド型で提供すると発表。このサービスは、韓国のアイオンコミュニケーションズが手掛けるリソースアグリゲーター向けソリューション「LAMS」をベースに、TISが日本市場の制度とニーズを整理し、Sassor(東京都渋谷区)の蓄電池最適化制御AI「ENES」を組み合わせることで、日本国内のリソースアグリゲーター向け機能を実装している。

●EVを有効利用するV2G関連株にも注目

 継続的な再生可能エネルギーと電力系統の安定化を低コストで両立させる新たな社会的な仕組みとしてVPP構築事業が進められるなか、EVの蓄電池に充電した電気を電力系統に供給するV2G(Vehicle to Grid)技術にも関心が高まっている。現時点では技術面や制度面など解決すべき課題が残っているものの、今後急速な普及が見込まれるEVの有効活用がVPP構築のカギを握りそうだ。

 今年に入って実証実験に乗り出す動きが相次いでおり、三菱自動車工業 <7211> と東京電力HD、静岡ガス <9543> などのグループは6月に実証環境の構築とV2Gで実現できる効果の検証を実施。日産自動車 <7201> と東北電力 <9506> などのグループは10月から実証プロジェクトをスタートさせ、豊田通商 <8015> と中部電力 <9502> は11月中旬および12月中旬の2回にわたり実証試験を行い、V2Gが電力系統に与える影響などを確認する。

 このほか、東京電力HD子会社との協業で急速充電ステーションと蓄電池設備を一体化した「V2Xシステム」を開発したダイヘン <6622> 、家庭用蓄電池とEVを組み合わせた新しい蓄電システム「トライブリッド蓄電システム」を展開しているニチコン <6996> のビジネス機会拡大も期待される。

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