貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

8001 伊藤忠商事

東証P
6,885円
前日比
+1
+0.01%
PTS
6,884.1円
14:38 04/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.4 1.94 2.32 10.38
時価総額 109,120億円
比較される銘柄
三菱商, 
三井物, 
住友商
決算発表予定日

銘柄ニュース

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Eギャランティ Research Memo(2):企業が抱える売掛債権等の未回収リスクを保証


■会社概要

1. 会社沿革
イー・ギャランティ<8771>は、現代表取締役社長の江藤公則(えとうまさのり)氏が伊藤忠商事<8001>入社3年目の2000年9月に、社内カンパニーの子会社として立ち上げたのが始まりとなる。当初はインターネット上でのBtoBビジネスにおける売上債権(受取手形、売掛金等)の未回収リスクを保証するサービスを目的に事業化したが、想定よりも需要が少なかったため、インターネットを介さないリアルな企業間商取引における売掛債権等の信用リスク保証サービスへと展開していった。

2007年3月にJASDAQに株式上場を果たし(2012年12月に東京証券取引所第1部に市場変更)、上場により調達した資金を使って企業の信用リスクに投資するファンドを2008年に初めて組成し、子会社で運用を開始した。それまでは引き受けた信用リスクに関してはリスク度に応じて細分化し、すべて金融機関に移転しリスクヘッジを行っていたが、新たにファンドを組成することで収益機会の多様化と受託リスク力の強化を図り、成長を加速化していった。2021年3月時点でファンド組合は連結子会社6社、持分法適用関連会社1社を有する。

2012年1月には輸出債権保証に関するノウハウを吸収し、経営基盤の拡充と商品開発力強化を図るため、フランスの大手信用保険会社であるコファスグループ・日本支社(コファス・ジャパン・ファイナンス(株))のファクタリング事業を買収した。この買収で得たノウハウを生かして、2013年12月に韓国、2014年6月に中国でそれぞれ現地金融機関と業務提携し、輸出債権保証サービス事業をスタートしている。

また、業容の拡大に合わせて、2013年に社内のシステム開発や営業関連の事務業務(契約関連業務やデータ登録業務)を行うイー・ギャランティ・ソリューション(株)を、2014年には小口債権保証サービスを専門に行うアールジー保証(株)を子会社として設立している。2017年にはイー・ギャランティ・ソリューションから営業関連の事務業務を切り出して、新たにイー・ギャランティ・シェアードサービス(株)を設立している。さらに、2019年10月にはベンチャー企業に対する投資、有価証券の取得・保有・運用を行うイー・ギャランティ・インベストメント(株)を設立している。


「保証残高×保証料率」で売上高を積み上げていくストック型ビジネスモデルを構築
2. 事業概要
(1) 事業内容
同社は企業間取引の際に発生する売上債権等の信用リスクを保証するサービスを手掛けている。以下に事業の流れを説明する。

まず、同社は企業間取引で発生した売掛債権等に関する未回収リスクを「保証」という形で事業会社または金融機関などから受託契約し、債務不履行が発生した場合に契約時に定められた保証額を限度に契約企業に支払う格好となる。契約企業にとっては、売掛債権等の未回収リスクを一定の保証料を支払うことで最小限に抑えることが可能となる。契約期間は大半が1年契約となっており、保証料は原則として保証開始日の前営業日に一括徴収し、これを月分割して売上計上している。このため、月ごとの売上変動は比較的小さく、ストック型のビジネスモデルとなる。

売上高は「保証残高×保証料率」で決まるため、信用保証残高をいかに積み上げるかが、売上成長の鍵を握ることになる。保証料率に関しては日々発表される経済指標や企業倒産件数の動向、過去の経験則に基づいた未回収リスクの発生確率などの様々なデータを参考にして、毎月見直しを行っている。企業の倒産件数が増加傾向にあるときは信用リスクも増加するため、保証料率は上昇する。また、実際の保証料率に関しては個々の契約内容や保証対象企業ごとにリスク審査を行った上で決定している。業界内で規則がないため自由に設定できるが、リスクヘッジに見合った保証料率で設定している。

また、引き受けた信用リスクに関しては、リスク度合いに応じて細分化し、金融機関やファンド等の金融リスク商品としてポートフォリオを再組成して移転(流動化)している。信用リスクの移転に伴って発生する支払保証料や支払手数料等が売上原価の大半を占めることになる。

このため、同社が顧客と契約する保証料率と同社がリスク移転先に支払う再保証料率のギャップが売上原価率の変動要因となる。同社ではリスク移転手法の多様化、高度化を進めることで再保証料率の低減を進めているほか、子会社でファンドを組成することでリスク受託力の強化を図ると同時に、支払保証料等の社外流出を抑えることで低コスト化を実現している。ファンドは1本当たり200~1,000億円規模でリスクを引き受けており、金融機関等から資金を調達している。ここ数年は超低金利が続いており、運用パフォーマンスの維持・向上が難しくなっているなかで、同ファンドに対する需要は強く、有利な条件で資金を調達できているようだ。2021年3月期の売上原価率は25.2%とここ数年では最も高い水準となった。これはコロナ禍で信用リスクが上昇したことで、保証料率の引き上げを実施したが、それ以上に支払保証料率が上昇したことが要因となっている。

(2) 営業体制
同社は全国展開するに当たって、東京本社のほか大阪、福岡、愛知、北海道に支店を開設している。自社の営業拠点としては当面、現状の体制を維持していく計画だ。顧客開拓に関しては地方銀行を中心とした金融機関や商社、リース会社などと業務提携を結び、効率的に進めている。とりわけ、地方銀行については2021年4月末時点で50行と業務提携を結ぶなど、ほぼ全国にネットワークを確立している。顧客の紹介案件数の内訳を見ると、地銀からの紹介案件が全体の約7割を占めており、重要な顧客開拓ルートとなっている。また、2016年3月期からは中小企業の顧客を多く抱える信用金庫との提携も進めており、2021年4月末時点で9つの信用金庫と提携している。

顧客数は中小から大企業まで合計3,500社を超え、卸売業、小売業、製造業など幅広い業種にわたっているため、特定業種の景気変動に業績が影響を受けることはない。同社はこれら顧客からサービスの審査対象となる企業の情報を収集し、データベース化している。審査企業は毎月2.5万社を超えており、経営情報だけでなく経営者の属性データや周辺情報なども含めてデータベース化し、リスク度合いを分析して最適な保証料率を設定している。データベースには経営者の性別や年齢層別、外部口コミサイトの評価状況などの情報も入っており、最終的には審査担当者の経験等も加味した上で最適な信用保証率を設定している。ここまで徹底した分析を行う企業は他にはなく、同社の強みともなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《NB》

 提供:フィスコ

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