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7989 立川ブラインド工業

東証P
1,486円
前日比
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“冬将軍×ウィズコロナ”で幕が上がる「ビニールカーテン関連」大相場 <株探トップ特集>


―飛沫感染防止をテーマに作り出された日常の風景、ここから要注目の銘柄群を徹底検証―

 感染シーズンの冬を前に、再び新型コロナウイルスへの警戒が高まっている。国内では、感染者数の増加ペースが一時期と比べると落ち着きをみせているとはいえ、いまだ予断を許さない状況にある。特に、ここから冬にかけては新型コロナが再び猛威を振るうとの観測もあり、一層の予防対策が必要となる。経済が疲弊し新型コロナとの共存が求められるなか、飛沫感染防止のためのビニールシートやパーティションの設置が日常生活で根付いており、その経済的な波及効果も非常に大きい。冬を目前に関連企業のいまを追った。

●一巡感あるも「防炎製品」で商機

 欧州では、冬を目前に新型コロナの感染が再び拡大傾向となっており、ここにきて外出自粛などの動きもみられている。スペインでは、首都マドリードで非常事態を宣言したことが伝わるなど警戒感が高まっている。国内においては、感染者数はピーク時からみれば緩やかな減少傾向となっているが、収束の見通しはいまだ立っていない。今年、特に不安視されているのが、新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行だ。インフルエンザと新型コロナは臨床的に鑑別することは困難といわれるだけに、発熱患者への対応によっては医療機関の逼迫を招く可能性も出てくるからだ。

 こうしたなか、飛沫感染防止のためのスーパーやコンビニにおけるレジでのビニールシート、飲食店でのパーティション設置は、もはや当たり前の状況となった。ただ、これらの設置に関しては一巡したとの見方も出ている。ある飛沫対策製品を扱う企業では「春先、感染が始まったころ、品不足もあって品質にかかわらずどんな製品でもいいから供給してくれと求められ、どんどん納入した。確かに一巡感はあるが、現在では防炎製品など高い品質へのニーズが出ており忙しい状況に変わりはない」という。消防庁は6月、「飛沫防止用のシートに係る火災予防上の留意事項について」の通知を出している。実際の火災発生を受けてのものだが、このなか「火気使用設備・器具、白熱電球等の熱源となるものから距離をとること」、そして「必要に応じて難燃性又は不燃性のものの使用を検討すること」を求めている。

●アキレス、買い替え需要捉える

 運動靴大手で車両内装資材などを手掛けるアキレス <5142> も、飛沫感染対策用フィルムを生産・販売し防炎品需要を捉えている。同社は、4月に感染拡大を受け飛沫感染対策用フィルムの緊急増産を決定したことで株価も動意した経緯がある。会社側では、「飛沫感染対策用透明防炎フィルムについては5~6月がピークだったが、現在も活発な動きが継続している。特に従来の飛沫感染防止フィルムから、防炎フィルムへの買い替え需要が増加している。また、古くなったフィルムを新しいものに取り換える動きも出てきており、今後も堅調な状況が続くと考える。また、新商品も検討している」(フィルム販売部)と話す。業績は8月7日に発表した上期経常が94%減益見通し(通期業績は未定)となるなど、新型コロナの影響を受けて厳しい状況で株価も下値を探る展開にあるが、経済活動の再開に加えスポーツシューズも扱っていることから、再び動き出した五輪関連の出遅れ株としての側面も併せ持っている。

●ウェーブHD、意外なヒット商品輩出も

 大手複合素材加工メーカーのウェーブロックホールディングス <7940> は壁紙、防虫網大手だが、なかで子会社のイノベックスは、飛沫対策商品で攻勢を掛けている。最近でも、7月には不燃シートを活用し3メートルを超える長机やカウンターなどに設置することができ、透明度の高いパーティション「クリアセーフ スプラッシュシールド」を発売。8月には、圧倒的な透明性に加え、機能を絞ることで価格を低減した防炎透明ビニールカーテン「タフニール防炎透明フィルム」を発売している。同社では、「イノベックスは従来から透明ビニールカーテンを手掛けており、防炎品についても以前から扱っていた。これらの製品がコロナ対策として注目されたことで受注も増加した。いままでは主に工場用途向けに販売していたビニールカーテンは用途が拡大、加えて最近ではオフィス向けのパーティションも受注を開始し純増となっている。飲食店などでは防炎品のニーズが高まっており更に注力していく方針」(IR)という。また、「感染防止のための換気や巣ごもり需要の高まりから、ホームセンター向けで張り替え用の網戸の網や農園芸用品の需要が拡大した」(同)と、意外なヒット商品輩出もあったという。株価は、436円をつけた3月安値から持ち直し、700円台半ばでもみ合う展開が続いている。

●ナカバヤシは「折りたたみモバイルパーティション」

 ナカバヤシ <7987> もここ感染防止対策製品で頭角を現している。さまざまなパーティションを手掛けるが、9月には飛沫感染リスクを低減する「折りたたみモバイルパーティション」の小さめサイズを発売。折りたためば約B4サイズになる「折りたたみモバイルパーティション」を更にコンパクト化したことで約A4サイズになり、かばんに入れて気軽に持ち運びができるという。また、同月には店舗向け飛沫対策用透明アクリルパーティション2種を発売するなど積極的にニーズを捉えている。同社では「アクリルパーティションについては、急遽国内で製品化したものだが非常に好調だ。現在は生産能力を上げて対応しているが、それでも多少待っていただく状況だ」(広報IR室)。また、ペダルを踏むと消毒液が出る衛生的な「足踏み消毒ポンプスタンド」も引き合いが旺盛だという。「今後も工夫を凝らしながらさまざまなニーズに応えていきたい」(同)と意気込む。株価は3月中旬に429円まで売られ年初来安値を更新した後反転し、現在は650円近辺で推移している。

●三和HD、立川ブラインドにも注視

 そのほかでは、三和ホールディングス <5929> 傘下の三和シヤッター工業が、組み立てが簡単なプラスチック製ダンボールのパネルを採用した「ファミプラ」に透明パネルを追加して7月からリニューアル。新型コロナ感染拡大に伴い、病院の待合室での密集・密接防止、オフィスの打ち合わせスペースでの飛沫対策など、様々な用途に対応できるようにアクリルの透明パネルをバリエーションに追加している。立川ブラインド工業 <7989> は6月から飛沫感染防止対策として、防炎性能を有した「透明ロールスクリーン」と「透明タペストリー」を発売している。「透明ロールスクリーン」は、スクリーンの高さを自在に調整でき、使用しない時は生地を巻き上げて収納できる、まさに同社ならではの製品だ。両銘柄とも決算を手前にして株価は高値圏でもみ合っているだけに、ここからの動きを注視したい。

 当然ながら、こうした飛沫対策製品市場の急拡大は素材メーカーにとっても好影響を与えることになる。三菱ケミカルホールディングス <4188> やAGC <5201> など素材大手にも注目したい。

●AMI、アクリル板越しの接客を音声認識で可視化

 新型コロナとの共存は、新しい日常につながり、また新しい技術を生んでいる。ビニールカーテンやパーティションの設置が常態化するなか、アドバンスト・メディア <3773> [東証M]は9月3日、マスク越し、アクリル板越しの接客・商談を音声認識で可視化できる対面用小型2chマイク「AmiVoice Front FF01(アミボイス フロント エフエフゼロワン)」を今冬に、会話解析ソリューション「AmiVoice SF-CMS(アミボイス エスエフシーエムエス)」を11月上旬にリリースすると発表。独自技術で顧客と担当者の音声を分離し、音声認識で文字化する。接客・商談・対面販売などの窓口での会話を記録・可視化することで、コンプライアンスチェックや証跡記録の確認、データ分析や教育などに活用できるという。株価は6月4日に高値1234円を付けた後調整局面入りし現在は900円近辺でもみ合っており、ジワリ値ごろ感も出始めている。業績はコロナ禍を背景に厳しいが、新型コロナに起因する「新たなビジネス様式」に、AI音声認識技術を活用する新たな需要が顕在化している点に注目。

 前出の飛沫対策製品を扱う企業の関係者は「いまは値崩れが激しいマスクだが、この二の舞いにならないよう注意は払っている。最近では、安価な海外製品も数多く入ってきているものの、ここからは防炎商品など品質勝負に入るとみている」と話す。新型コロナの感染爆発が懸念される今年の冬だが、火器を頻繁に使用するシーズンに入るだけに、防炎加工が施されたビニールカーテンやパーティションへのニーズはこれからが本番といえそうだ。

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