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総投資額1兆円超え、首都圏鉄道投資で急発進前夜の中小型株とは <株探トップ特集>


―2020年東京五輪を控え、ホームドアなど安全性向上で恩恵享受の関連株を追う―

 首都圏の私鉄8社とJR東日本 <9020> の2019年度の設備投資計画が出揃った。総額は約1兆340億円と、前年度の当初計画に比べ17.7%増となる見通し。各社とも20年の東京オリンピック・パラリンピック開催を見据え、「安全性の向上」や「サービスの向上」、「輸送力の増強」を最重要課題として掲げている。足もとの東京株式市場は米中通商交渉の先行き不透明感から内需株に目が向きやすくなっており、鉄道設備投資増の恩恵を受けそうな銘柄群に注目してみるのも一手だ。

●鉄道各社の旺盛な投資意欲続く

 各社の設備投資額は、東武鉄道 <9001> が397億円(前年度当初計画比10.3%増)、相鉄ホールディングス <9003> 傘下の相模鉄道が202億円(同75.7%増)、東京急行電鉄 <9005> が619億円(同3.7%増)、京浜急行電鉄 <9006> が271億円(同14.8%増)、小田急電鉄 <9007> が327億円(同2.7%減)、京王電鉄 <9008> が297億円(同25.3%増)、京成電鉄 <9009> が227億円(同12.9%増)、西武ホールディングス <9024> 傘下の西武鉄道が316億円(同27.9%増)を計画。JR東日本は連結ベースで7680億円(同19.1%増)、単体で6130億円(同16.8%増)の投資を予定している。

 各社に共通するのは、駅ホームからの転落や列車との接触による事故を防止するホームドア設置の推進だ。東武鉄道では東京五輪の競技会場最寄り駅(北越谷駅、朝霧駅)を中心に整備を進めるほか、東急電鉄は今年度19駅に設置することで世田谷線とこどもの国線を除く全線でホームドアもしくはセンサー付き固定式ホーム柵の設置が完了する計画となっている。また、駅や車内のセキュリティー向上やテロ防止を目的に防犯カメラの設置を重点項目として挙げる鉄道会社も多く、京王電鉄では駅や車両だけでなく42ヵ所の踏切にも備えるほか、京成電鉄では通勤車両及び京成上野駅や空港第2ビル駅などで増設するとしている。

 これ以外では、ラッシュ時間帯の列車運転間隔の短縮につながるデジタルATC(自動列車制御装置)の導入、駅や高架橋などの耐震補強工事、踏切事故や交通渋滞の解消に向けた連続立体交差事業、輸送力増強のための新型車両の投入、快適性向上を目的とした駅舎や車両のリニューアルなどにも資金を投入。東急電鉄は駅や車内の多言語放送装置の導入に取り組み、京成電鉄では3000形車両の車内案内装置について全編成で4ヵ国語(日、英、中、韓)対応の液晶ディスプレーに更新する計画だ。

●高見サイのホームドア受注に期待

 ホームドア関連では、20年3月期通期に営業利益ベースで6億7000万円の黒字(前期は6億1900万円の赤字)を見込んでいる高見沢サイバネティックス <6424> [JQ]に注目したい。前期には京王電鉄と都営地下鉄の共同使用駅である新宿駅4番線・5番線、京王電鉄の飛田給駅2番線などにホームドアを納入した実績があり、今期も受注獲得が期待される。加えて、主力製品の出改札機器(自動券売機、ICカードチャージ機など)の大型案件の納入が始まる見通しであることもポイントとなる。

 日本信号 <6741> と京三製作所 <6742> は今期、鉄道信号の拡販に取り組むとともにホームドアにも注力する方針。日本信号は可動式や昇降式などさまざまな種類のホームドアを取り扱い、京三製の可動式ホーム柵は2000年夏に東急目黒線で運用を開始して以来、これまで約7000開口の納入実績を誇っている。また、関連銘柄としてホームドア設置部分の床材などに利用されるMスラブ工法を手掛けるスパンクリートコーポレーション <5277> [JQ]にも注目したい。

●パナソニックは画像監視で実績

 防犯カメラ関連では、パナソニック <6752> が東急電鉄グループ向けに画像監視センターを構築した実績があり、池上通信機 <6771> はカメラをはじめ多様な監視機器をラインアップ。このほか、あい ホールディングス <3076> や、西菱電機 <4341> [東証2]、テクノホライゾン・ホールディングス <6629> [JQ]、セコニックホールディングス <7758> [東証2]、兼松サステック <7961> などの監視カメラにも商機が広がりそうだ。

 リアルタイムカメラ処理で必要なフィルターなどを提供するテクノマセマティカル <3787> [東証2]、監視カメラ用レンズを手掛けるタムロン <7740> なども要マークだ。

●ソースネクストとTOAに多言語化需要

 多言語化では、ソースネクスト <4344> のAI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」に電鉄各社が関心を寄せており、昨年末に相模鉄道が運行する相鉄線の全25駅で外国人利用客向け接客ツールとして採用され、今年に入ってからも、つくばエクスプレスの全20駅で利用が始まるなど納入先が拡大。音響システム大手のTOA <6809> は南海電気鉄道 <9044> の多言語放送サービスに関するソリューションを納入した実績があり、今後首都圏での需要増が期待される。

 このほか、鉄道工事に強みを持つ鉄建建設 <1815> 、線路メンテナンスや立体交差などの工事を請け負う東鉄工業 <1835> 、鉄道向け電気設備事業などを手掛ける日本リーテック <1938> [東証2]、鉄道電気大手の日本電設工業 <1950> なども鉄道各社の投資増の恩恵を享受する見込み。

 鉄道各社が新型車両の投入やリニューアルを計画していることから、日本車輌製造 <7102> や近畿車輛 <7122> といったメーカーのほか、車両部品を手掛けるファインシンター <5994> [東証2]、駆動装置やパンタグラフを製造する東洋電機製造 <6505> 、車両向け電装品を販売する森尾電機 <6647> [東証2]のビジネス機会も広がりそうだ。

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