株価20分ディレイ → リアルタイムに変更

7889桑山

業績
単位
-株
PER PBR 利回り 信用倍率
時価総額

銘柄ニュース

戻る
 

桑山 Research Memo(11):国内市場は製品力でシェアアップ、中国市場は嗜好変化に対応して成長加速


■業績動向と今後の見通し

3. 市場別の戦略対応と見通し
(1) 国内市場の現状と見通し
国内市場は2017年3月期も横ばい圏だったもようである。このため、より重要になるのが、桑山<7889>が強みとする製品力によってブライダル、ファッションジュエリー、喜平チェーン、パールの各市場でのシェアアップを目指すことである。その結果、高品位リングのヒット商品が登場したブライダルは5%増と販売本数を着実に伸ばした。ファッションジュエリーにおいては、3D技術を使ったデザインや水溶性ワックスを利用した製造を進めた。また、留め金具「輪王」がデザイン・機能両面において好評で、これを装着したペンダント用チェーンの販売本数が42%増と大きく伸びた。安値推移のプラチナ製品も、資産性や落ち着いた輝きから男性に人気となり、販売本数が25%増加した。

小売店はどこも厳しい競争で苦戦しているが、当用買い中心の市場であるため同社も小売りの厳しさを直接受ける可能性がある。このため、2018年3月期はシルバーアクセサリーやアパレル・eコマースなど新しい領域・取引先の開拓を進める考えである。また、パールは内外展示会出展回数を2017年3月期の3回から2018年3月期には5回へと増やすほか、中国宝飾チェーン大手への提案も強化し、輸出事業の拡大も進める方針である。

ところで、近年増えてきた貴金属リユースの影響は少なからずあると考える。地金は溶かして精錬すれば新品になるので、ダイヤモンドや色石のリユースのことである。同社は国内大手ブライダル向けにフレッシュダイヤモンド(バージンダイヤモンド)を直接納品している。縁起を担ぐブライダル客の中古嫌いは強いので、同社は当面リユースを扱わないことにしている。しかし、価格の安さは脅威であり、ダイヤモンドの苦戦の一因にもなっていることから、今後顧客ニーズを見ながら対応する考えである。

(2) 海外市場の対応と見通し
2017年3月期の中国向け製品売上高は38%と大きく伸びた。これは市場開拓が進み中国2番目の広州工場が稼働したことが理由である。2016年3月期は無錫・富山・タイの3工場から中国に供給していたため、ロットやカテゴリー面でボトルネックを起こしていたが、これで十分供給できる製造体制が整ったと言える。

したがって、2018年3月期も中国市場でのシェア拡大を目指すことになる。香港は景気悪化が長引いているため市場が縮小し引き続き苦戦している。中国も成長が減速しているが、中国で昔から人気の資産性の強いK24の競争が激しいためで、同社が得意とする標準素材K18やpt950を使った、品質・デザイン・技術力で差別化された高付加価値のファッションジュエリー人気は、むしろ高まるばかりである。

さらに2018年3月期に香港の営業所を格上げし、本社機能を持たせ桑山中国本社を設立する計画である(本格稼働は2019年3月期になる見込み)。現地で製販一体化することは意思決定の迅速化と納期短縮化、商流・資金の一元管理などメリットが多く、営業も積極展開できるようになる。なお、企画デザインの機能は東京本社にあるが、中国本社にも日本語の分かるスタッフを置くことで日本同様の製品開発を進める考えである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《TN》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均