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7856 萩原工業

東証P
1,597円
前日比
-2
-0.13%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.7 0.79 3.13 8.33
時価総額 238億円
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萩原工業 Research Memo(5):2019年10月期第2四半期は大幅増収だが減益に


■業績動向

1. 2019年10月期第2四半期の業績概要
(1) 業績の概況
萩原工業<7856>の2019年10月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比16.8%増の14,788百万円、営業利益が同8.1%減の1,301百万円、経常利益が同14.7%減の1,263百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同14.5%減の867百万円となった。期初予想との比較では、売上高がほぼ予想どおりであったが、営業利益が9.0%(129百万円)、経常利益が15.2%(227百万円)の未達となった。

(2) 事業セグメント別動向
a) 合成樹脂加工製品事業
合成樹脂加工製品事業の売上高は前年同期比23.8%増の11,838百万円、営業利益が同6.4%減の932百万円となった。増収(2,272百万円)の主要要因は、単価アップの324百万円、販売数量増の1,941百万円であった。営業利益の増減要因は、増収効果が+664百万円、粗利益率悪化が-188百万円、販管費増加が-540百万円であった。前期に買収し連結対象としたEPCと東洋平成ポリマーの寄与は、利益が+711百万円、利益率の低下が-150百万円、販管費増が-412百万円となり、正味ではプラスに作用している。

粗利益率の悪化は、原材料価格の乱高下による。同社は、原材料価格の値上がりを販売価格に転嫁する基本方針を取っている。原材料価格の上昇時は、コスト増を価格に転嫁するまでタイムラグがあり減益要因となる。前期の利益率低下の主因であった。主要な材料である国産ナフサの価格は、2018年10月期の会社予算では43,900円/KLを前提としていた。四半期ごとの市場価格は、第1四半期が45,096円(前四半期比25.6%増)、第2四半期が44,830円(同0.6%減)、第3四半期が49,199円(同9.7%増)、第4四半期が52,355百万円(同6.4%増)と上昇した。前期通期では47,800円と予算を8.9%上回った。2019年10月期は、予算の前提価格を前期比5,700円(11.9%)増の1キロリットル当たり53,500円としている。第1四半期の市場価格は47,782円(前四半期比8.7%減)、第2四半期は39,886円(同16.5%減)と低位に動いた。

合成樹脂加工製品事業の四半期ごとの売上高セグメント利益率を見ると、2018年10月期通期の9.2%に対し、2019年10月期第1四半期は8.3%、第2四半期が7.4%と落ち込んだ。第2四半期末が4月であり、2019年は5月に10連休が控えていたことから在庫を厚めにしていた。本来であれば、第2四半期は価格是正が進み、原材料安でスプレッドが拡大してしかるべきだった。実際は、足元の原料価格下落に伴う在庫評価の引き下げ70百万円が発生し、収益性を悪化させた。WTIの原油価格は、2018年7月に1バレル当たり70.98ドルに達したが、12月に49.52ドルまで下落した。2019年4月に63.86ドルに戻った。同社は、2019年10月期上期中に前期から上昇した原材料コスト増の価格転嫁を済ませた。上期に評価替えを行った在庫が、下期に売上計上されれば利益を取り戻すことになるだろう。

b) 機械製品事業
機械製品事業は、売上高が同4.6%減の2,949百万円、営業利益が11.9%減の369百万円となった。利益面でのマイナス要因は、フィルムスリッターの減収が-130百万円、展示会などへの出展による販管費増加が-18百万円、紙スリッターの利益率改善が+29百万円であった。中国向けリチウムイオン電池用セパレーターフィルムに使用されるフィルムスリッターは、設備投資が一巡して動きが止まった。同社は、市場動向を察知しており、東南アジアにおける拡販を2年前から強化している。2019年10月期第2四半期末の受注残高は、前年同期比3.3億円増加した。

タイ及びその周辺の東南アジアにおけるスリッター及びリワインダーの販売台数が100台を超えた。日系企業にとどまらず現地企業向けにも食品包装用フィルムスリッターを納入している。既存顧客へのアフターサービスや定期訪問をするサービス拠点として、2019年3月に「Hagihara Industries (Thailand) Co., Ltd.」を設立した。

(3) 連結子会社の収益状況
2019年10月期第2四半期の連結売上高営業利益率は8.8%であった。同社単体と売上高が10億円超の子会社の売上高営業利益率は、同社単体の合成樹脂加工製品事業が8.9%、機械製品事業が11.4%、ハギハラ・ウエストジャワ・インダストリーズ社が3.9%、EPCが12.4%、東洋平成ポリマーが1.9%であった。ハギハラ・ウエストジャワ・インダストリーズ社は、フレキシブルコンテナバッグが低調だったが、足元では回復基調にある。東洋平成ポリマーは、原材料価格高騰の影響が残った。同社の萩原会長が、東洋平成ポリマーの社長として経営に関与しており、利益率改善の施策を打っている。

2. 財務状況と経営指標
2019年10月期第2四半期末の総資産は32,222百万円と前期末比433百万円増加した。流動資産は19,160百万円と同361百万円減少した。主要な増減項目は、現金及び預金(1,088百万円の減少)、受取手形及び売掛金(560百万円の増加)、たな卸資産(139百万円の増加)などである。現金及び預金の減少は、工業用地の取得などに伴う支出による。増収により、受取手形及び売掛金が増加した。たな卸資産は、10連休を前に積み増した。貸方では、買収子会社の借入金が加わり有利子負債が2,892百万円となった。純資産は同514百万円増加した。短期的な支払い能力を示す流動比率は209.8%、長期的な指標の自己資本比率は67.1%と、いずれも財務の安全性が高い。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《YM》

 提供:フィスコ

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