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7856 萩原工業

東証P
1,593円
前日比
+17
+1.08%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.7 0.79 3.14 16.88
時価総額 237億円
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萩原工業 Research Memo(9):売上高拡大に、市場浸透、市場開拓、製品開発の3つの戦略で取り組む


■萩原工業<7856>の中長期の成長戦略

3. 成長戦略
(1) 市場浸透戦略
2017年10月期は、市場浸透戦略の一環として、一部製品で製造コストの削減を販売数量増につなげる戦略によりシェア拡大を図った。

現中期経営計画では、3ヶ年で通常の設備投資約25億円に加えて50億円の積極化投資を計画していた。工場間の動線改善を目的の1つとして工場の再編を検討しているが、用地手当て等の事情で計画よりも遅れているもようである。積極的な設備投資により、生産の省力化・自動化を進めてコストダウンを図る。また、製品のラインナップの拡大を図り、ターゲットとする顧客層を広げ、売上高増加と利益率の維持を目指す。

ターピーシートのコストダウンの一環として、既存の設備よりグレードの高い織機を導入した。新しい機械のオペレーションスキルを習得したため、さらに最新鋭機への更新を促進する。

機械製品事業では、中国のリチウムイオン電池のセパレータフィルム用スリッターが旺盛な需要により、納期が半年に延びている。生産財のビジネスでは、現在の旺盛な需要に合わせて安易に工場を拡張することは適切でないと判断し、生産性の向上により生産期間の短縮を図る。数年前からユニット化を進めており、設計コストを下げている。

同社は製品を売ることにより本質的な顧客ニーズを充足するというビジネススタンスを取っている。人手不足と人件費の高騰を背景に、最近のキーワードとして「時間短縮」と「省力化」が挙げられる。バルチップの使用は、建設現場における土間用コンクリート打設のための作業工程を減らし、工期を短縮する。新製品の3軸シャフトレス・センタードライブスリッターは操作性を改善し、切断するフィルムの入れ替え作業を、1人で短時間に行えるよう設計した。

(2) 市場開拓戦略
海外売上高比率が26%へ上昇しており、海外市場の開拓余地が大きいと感じている。機械製品事業では、国内外の展示会に積極出展することで、新市場における顧客獲得につながった。製造機能だけであった中国の子会社に営業機能を持たせるなど、海外営業を強化している。今後についても、多くの日系企業が進出しているタイでは、食品包装フィルム用スリッターの引合いが多く、販売拠点を設けることを計画している。

合成樹脂加工製品事業は、海外向けは競争力の強い製品をピンポイントで販売し、拡販に努めている。鉱山掘削や各種インフラ整備で世界的に使用されているコンクリート補強繊維であるバルチップでは、最近、新たな展開が起きている。同製品の海外販売は、日本、韓国、中国(香港含む)及び台湾向けを同社が、それ以外の地域はシンガポールを所在地とするEPCグループが担当していた。EPCグループは、オーストラリア、欧州、北米、中南米に販売子会社14社を有する。同社は、2017年12月にEPCグループの持株会社の株式を取得し、子会社化することを決議した。EPC社の販売機能を取り込むことで、顧客情報を入手し、ユーザーニーズを踏まえた迅速な新製品開発ができ、製販一体化した自由度の高い営業戦略の遂行が可能となる。また、EPCグループの販売網を拡充して他の同社製品を販売チャンネルに乗せるなど、海外販売拡大のための選択肢が増えることになる。

(3) 製品開発戦略
生産技術の改善による製造コストの削減だけでなく、新製品開発にも注力している。同社製品の強みは、素材となるフラットヤーンから中間材及び最終製品まで一貫生産をしていることにある。現在、次世代素材となるスーパーフラットヤーンの開発に取り組んでいる。創業者の「おもしれえ 直ぐやってみゅう」精神を実践できるよう、耐候性試験など外部委託していた検査工程を自前でできるよう分析機器を揃えて、開発スピードを上げるようにしている。また、従来の研究開発部署に加えて、選りすぐりの人材で構成された「新規製品企画部」を新設し、自社が持つ技術、材料、サービスなどのシーズと顧客ニーズのバランスの中で、より顧客ニーズに重きを置いた新製品開発を立案する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《HN》

 提供:フィスコ

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