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7856 萩原工業

東証P
1,563円
前日比
-30
-1.88%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.4 0.78 3.20 16.88
時価総額 233億円
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萩原工業 Research Memo(3):合成樹脂加工製品事業と機械製品事業の2本を柱とする


■会社概要

(2)事業内容

萩原工業<7856>の合成樹脂加工製品事業の市場は、「生活・レジャー」「農水産」「梱包・物流」「産業資材」「建築・土木」をカバーしている。生活向け製品は、レジャーシート、人工芝、木目調マットなどがある。また、ノンスリップフィルム+ポリエチレン発泡体+ノンスリップフィルムの三層構造で、滑り止め効果があり、防音、断熱に優れたシート「ひびかん象」を販売している。ホットカーペットの下に敷くと、熱効率が格段にアップする。

売上依存度はBtoCよりもBtoBの方が大きい。新規参入者がないニッチ市場で、トップシェアを維持することで高収益を上げている。トップシェアを持つのは、人工芝用パイルヤーン、多機能化したブルーシート、土のう、カーペット芯地などである。後述するセメントコンクリート用ポリプロピレン補強繊維では、世界的にもトップにある。競争の激しい大きな市場ではなく、残存者利得が得られる、同社が強みを発揮できるニッチ市場をターゲットとするブルーオーシャン戦略を取っている。

農水産向け製品は、UVシート、機能品、鶏舎用カーテンクロスなどがある。機能品は、遮光性・採光性、防水性・浸水性、防風性・通気性、遮熱性などいくつもの機能を用途に合わせてデザインする。機能品の「スノーテックシリーズ」の反射用シートは、作物の光合成、色付け促進、遮熱などの用途に使用される。ミクロボイド(微細孔)の乱反射特性を生かしたムラの少ない、直反射に比べ柔らかい光で、強光による日焼けが起こりにくくする。サクランボやリンゴなどの果樹園等で使用されている。

梱包・物流市場向けは、粘着テープクロス、コンテナーバッグ、トラックシートなどになる。トップシェアを持つ粘着テープクロスでは、テープの手切れが良い上、タテにもヨコにも用途に合った大きさにカットできる。

産業資材は、UVクリアシートやフラットヤーン、モノフィラメント原糸などになる。

建築・土木向けは、防炎シート、ソフトメッシュシート、大型土のう、デザインシートなどがある。PE(ポリエチレン)防炎シート・クロスは、塩ビ品に比べて軽量で、強度及び光透過性に優れる。工事現場で使用されるため、軽量なことが作業効率を向上させ、工期の短縮化に貢献する。作業員の労力を低減し、運搬コストも削減する。防炎物質であるとともに、焼却時には塩素化ダイオキシン類の発生がない。解体工事などに使われる防音シートには、塩ビ品に比べて物性強度が強く、寒冷地などの現場でも劣化や硬化が起こりにくいオレフィン系素材を使用している。塩ビシートに比べ軽量であることから、作業軽減効果がある。土のうは、国産最高峰の約3年の耐性を実現した製品をラインアップしている。また、紫外線劣化防止剤を添加した中期的な(約2年)耐候性機能を有した土のうには、白地に黒い横線を入れることで、誰でも均等量の土を充填できる工夫が施されている。また危険箇所表示認識大型土のう袋は、黄色と黒色の縦じま模様のうえ、反射テープを縫い付けてあるので、夜間の視認性が高い。

同社は常に、従来の製品ラインアップに機能性を高めた新製品を投入している。通気性、透水性を兼ね備えた土木クロス「グランドバリアクロス」は、雑草の育成・成長を抑制し、草刈作業を軽減する。新製法により強度と耐候性を高めた新製品のカタログには、地上に設置される太陽光発電システムへの施工例が掲載されている。

同社のビジネスのスタンスは、製品の機能を売るのではなく、本来の役割を提供することにある。例えばレジャーシートであれば、その機能が汚れ防止や保温、防水になるが、本来の役割は楽しい場や安全の提供になる。運送会社にとってより重要なのは、粘着テープのコストよりも作業者の人件費であり、梱包作業時間の短縮である。顧客が本来的な役割として求めるものに適合させた製品は、汎用品に比べて2~3割高い値付けが可能となる。この製品機能の先にある顧客が求める本来の価値を志向することで、価格競争に終始しない、高収益のビジネスモデルを構築している。

○ブルーシートの一貫製造工程
同社は、日本においてフラットヤーン関連製品のほとんどを開発してきた。これを可能にしたのは、同社がエンジニアリング部門を持ち、原料から製糸・紡織まで手掛けているためだが、それ以上に、常に自己革新を図る社風に負うところが大きい。ブルーシートも同社が国内で初めて製造した。ブルーシートは和製英語であり、アメリカではタープと呼ばれている。最近では、耐用年数に応じた性能を持つシートを取りそろえて、人気を得ている。

次に、ブルーシートの一貫生産工程をたどる。原料は、ポリエチレンの小さな粒になる。それを溶かし、薄い筒状に伸ばしてフィルムにしてから、短冊状に切って伸ばす。伸ばすことで強い糸(フラットヤーン)になる。糸を機械で巻き取る。原料に顔料を混ぜることで、白だけでなく様々な色の糸をつくることができる。糸を織機で織物にするが、完成品の幅は約3.7メートルもある。織物にコーティングをし、カットして折りたためば出来上がる。ブルーシートの場合、青くコーティングをする。

ブルーシート市場は、トップ・ミドル・ボトムの3層に分けられる。同社は、日本のトップブランドとして高価格帯ではNo.1のシェアを持つが、低価格帯は中国製などの輸入品が市場を席巻している。そこで今中期経営計画では、生産体制を抜本的に見直すなどして、ミドルゾーンへの取り組みも強化していく。

同社は、製造設備を自社で設計するものの、製造は外部企業に外注している。設備を分割し、複数企業に発注するなどで技術の流出を防いでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《HN》

 提供:フィスコ

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