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7837 アールシーコア

東証S
473円
前日比
+3
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PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
0.9 0.54 13.08
時価総額 21.5億円
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決算発表予定日

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アールシーコア CORPORATE RESEARCH(3/10):「単独展示場形式」と「農耕型営業」が特徴


事業の特徴
アールシーコア<7837>(以下「RCC社」、「同社」)の住宅販売会社としての同業他社比較による相違点、または、特徴でもある点は、(1)単独展示場形式によるモデルハウス出展、(2)契約までのリードタイムの長い(同社が自らそう呼ぶ)「農耕型営業」、(3)販社形式の採用(同社の高い利益率の源泉であるとともに、その契約成果が同社の経営指標に大きく影響を与える)の3点に集約される。

単独展示場形式による出展
拠点(展示場)は全て単独展示場であり、他メーカーと合同で出展するいわゆる総合住宅展示場、住宅公園などに「BESS」の家はない。

2015年9月末時点での拠点(展示場)数は43。内訳は、同社の直販部門(後掲「セグメント」項で説明)が運営する拠点(展示場)が、「BESSスクエア」、「BESS藤沢展示場」の2つ、BP社(後掲「セグメント」項で説明)が運営する拠点が、札幌、岐阜の2つで、残りの39が販社(後掲「セグメント」項で説明)の拠点である。14年度は販社拠点の4ヶ所(所在地:香川県高松市、千葉県柏市、新潟県新潟市、静岡県吉田町)が新設されたが、今年度は現在のところ新設展示場は無いものの、2016年春の開設に向けて、埼玉県川口市、長野県松本市、京都府久御山町の準備がすすめられており、この開設により、拠点数は46、展示棟数は187(1拠点あたりの平均展示棟数は4.1棟)となる予定である。

「単独展示場形式」と「農耕型営業」
この「単独展示場形式」と「農耕型営業」は深く結びついている。

ログハウスなどBESSの自然派個性住宅を木々や草花が取り囲む拠点(展示場)は、テーマパークのような趣(おもむき)があり、営業における最も重要なポイントは、その中に建つBESSの提唱する家を来場者が好きになれるか、その中で自らが営む「暮らしぶり、生活ぶり」というものをイメージしてそれを好きになれるかどうかという「感性」の判断であると同社は考えている。

総合展示場とはつまるところ、「住宅の比較をしに行く場所」である。そのため、営業担当者はその機能性、細部にわたる他社との差別化をアピールすることに注力する。しかし、RCC社は他社との相対的な比較や細部の機能説明というアプローチを行うことが、同社の営業スタイルではないということを、教育を通じて営業員に教えている。単独展示場は比較をする場所ではない。そこに流れる全体的な雰囲気・時間を訪問者が好きになれるかが全てである。

この「単独展示場」出展の有効性を裏付ける数字を紹介すると、14年度の同社の調査によると、同社のログハウス・住宅を契約した約6割の人が、「(住宅購入に際して)他社と比較しなかった」と答えている。

また、契約者の42%が同社の展示場を訪れた時点では「(住宅購入の)計画はあるがかなり先」と考えていたという。また、「計画はないが関心あり」も18%、つまり、およそ6割の契約者は具体的な購入計画のないままに“展示場に遊びに来た人”が、「BESSの提唱する暮らし、生活」に共感し、契約に結びついたことになる。

その為、同社の契約に至るリードタイムは平均して長い。同調査によると、初めて展示場を訪れてから成約までに至るリードタイムが2年以上かかった契約者が21%、1年超~2年以内の契約者が14%いたという。「初めて展示場を訪れてから1ヶ月が勝負」と考えている他社では考えられないこのリードタイムの長さをRCC社自身は何も問題としていない。「感性」がBESSの住宅を好きになり、それが、「住宅を持つ」という具現性を持ち、実際の契約に結びつくまで、サポートや提案はするものの、過剰な訪問セールスなどは行わない「農耕型営業」が、結局は、実際にBESSの家に居住してからの満足度の高さに結びついていることを同社は認識しているのである。

この「感性」の成熟はすぐにできるものではない。同社の別の調査によると、初めて単独展示場を訪れた人に対して具体的な商談を行うよりも、2回目以降に訪れた人に対して行った方が契約率で2.5倍も高かったという。このことを踏まえて、同社は14年度より、展示場を訪れる新規来場件数に加えて、再来場件数を強化ポイントとして据えている。今年度第2四半期(以下、「今年度上期」)決算短信によると、今年度上期の再来場件数は、前年同期比で9.2%の増加となっており、今後に向けた明るい材料の一つと考えられる。

販社形式の採用
前掲のように、現在、43拠点のうち39拠点が販社の拠点である。また、後掲する「セグメント」でも説明しているが、全社ベース売上高に占める販社部門の比率も高い。RCC社は販社と契約を結ぶ際に、多くの一般的なフランチャイズ制度で求められる初期契約時加盟金の類いを一切取らず、その代わり、単独展示場(拠点)と専任の営業体制を作ることを条件としている。また、13年度にそれまでの小規模販社を意味した特約店制度を廃止し、特約店についても拠点における棟数増加などを条件に販社への格上げを推進してきた。これは、販社の営業体質強化、効率強化を意図した取組みである。

しかし、販社はRCC社の子会社、関連会社、資本提携先ではない。それぞれの地域で工務店や住宅販売業を営む独立した会社である。無論、営業員についても販社の社員であり、その人件費は販社の負担である。このように、販社がそれぞれの有限資源のなかで経営を行っているということは同社を理解するために知っておかなくてはならない必須事項である。また、販社が顧客と契約した際に、同社にはその契約に基づきブランドロイヤリティ収入が発生し、併せて、販社がBESSの家を建築する際に、販社に対して部材キットの販売を行うこととなる。この両者が同社の販社に係る売上の大きな部分である。この、販社組織との深い結びつきが、これまでの同社の高い利益率の大きな源泉でもある。

また、2014年4月の消費増税後、住宅販売会社は各社消費税引き上げ前の駆け込み需要の反動減に見舞われたが、同社においては、直販部門ではなく、販社部門にこの影響が色濃く出た経緯がある。そのため、同社は販社の営業員の数、質の向上、また、同社と販社の結びつきの一層の強化が喫緊の課題であると認識している。

スプリングキャピタル株式会社 井上 哲男

《HN》

 提供:フィスコ

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