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7813 プラッツ

東証G
724円
前日比
-10
-1.36%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
21.4 0.82 1.93
時価総額 27.0億円
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決算発表予定日

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プラッツ Research Memo(6):高品質、高機能、低価格の3点に特に注力


■強みと注力点

プラッツ<7813>は介護ベッド事業に参入以来、“高品質”、“高機能”、“低価格”の3点に特に注力してきた。現在ではそれが同社の強みとなって、市場において同社独自の戦略的ポジショニングを獲得することにつながっている。

(1)“高品質”への取り組み

高品質の定義は製品によって様々だが、介護ベッドにおいては安全性や信頼性ということになるだろう。介護ベッドの利用者が高齢者や身体に不自由がある人が中心であるためだ。同社の製品はフレームの強度や末端部分の加工、可動部分での事故防止等に十分な配慮が成されている。

生産する側からの視点では、そうした高品質な製品をロスなく安定的に、すなわち高い歩留まりで生産することが重要だ。この点は後述する低価格へもつながるポイントだ。同社はファブレス企業であり、従前からベトナムにおいて生産してきた。いくつかの変遷を経て、2012年から2016年までは同社が48%出資する合弁会社SHENG BANG METALにおいてパーツ加工し、連結子会社のPLATZ VIETNAMでアセンブリ(組み立て)と品質検査という体制が続いている。

同社は生産工程の集約によって、更なる品質向上と生産効率の向上を目的に、これらの2社を統合することを決定した。具体的には、PLATZ VIETNAMの全事業を2016年12月をめどにSHENG BANG METALに譲渡し、一方で同社はSHENG BANG METALへの出資比率を50%(持分法適用会社)に引き上げるというものだ。PLATZ VIETNAMは清算される。

(2)“高機能”への取り組み

介護ベッドは要介護者が失った身体機能の一部をサポートする道具であり、その意味で機能性は介護ベッドの本質と言える部分だ。介護ベッドが提供するサポート機能は、背上げ(背起し)、足上げ、高さ調整が基本的な3機能となっている。これを基本に、機能を省略または付加をして要介護者のニーズに合わせた商品ラインナップが展開されている。機能を実現するパーツは電動モーターであるが、使用するモーターの個数(1モーター型、2モーター型など)で少機能型と多機能型を区別することが多い。

上記3機能は各メーカーともすべて備えているが、同社はさらに佐賀大学医学部の松尾准教授との共同開発で、ランバー機構を備えて背圧軽減を可能にした介護ベッドや、ベッド付属品の自動ロック式ベッド用グリップなど商品化している。また、3大機能以外でも、宮付介護ベッド(1998年)や木調介護ベッド(2001年)を業界で初めて発売し、使い心地や使い勝手という精神的機能性に配慮した製品づくりを行っている。

さらに、同社の直接の顧客であるレンタル事業者にとっての機能も重要な視点だ。実際の現場ではレンタル事業者が利用者宅にベッドを搬入して組み立てる。したがって組み立てやすさや各パーツの重量は重要な要素だ。また、次のレンタルに向けて清掃・洗浄のしやすさや、共通パーツの多用による修理の容易さや修理コストへの配慮も同様だ。同社の製品はこうした点にも十分な対応が成されている。

(3)“低価格”への取り組み

低価格は同社の強みが最も際立つ部分と言える。単なる低価格品ではなく、前述のように高品質と高機能を兼ね備えながらも低価格という点が重要で、これが後発組の同社を台数シェア2位に押し上げた原動力であると言える。

同社が高品質と高機能を確保しながらも低価格を実現できている理由は大きく3つある。1つ目は、生産拠点がベトナムである点だ。ベトナムの人件費は中国と比べても約半分の水準であることが大きく貢献している。2つ目は自社工場と協力工場の協力関係に基づいたファブレス体制の採用だ。自社工場は組み立てと品質検査に特化することで、設備投資や生産面での負担の軽減と高品質の確保を両立させている。3つ目は顧客・利用者が求める機能に的を絞った商品バリエーションだ。過剰な機能を排することで低価格を実現している。

前述したように同社は、2016年12月にベトナムでの生産体制を見直し、SHENG BANG METAL CO., LTD.に生産を集約する計画だ。これは生産コストの一段の低下にも寄与すると期待される。同社の現在の生産体制はかなりコスト削減が進んでいる。

(4)戦略的ポジショニング

同社は、高品質・高機能・低価格の3つの要素に、さらに、要介護度のレベルに応じた最適な製品ラインナップを武器に、業界内で独特の商品ポジショニングを確立している。

ポイントは、自費で介護ベッドをレンタル利用している要支援や要介護1の介護保険適用外利用者の市場だ。この市場では必要とされる機能性は少なく、一方で低価格が求められる。その市場に対して最も積極的に取り組んでいるのが同社という状況だ。

また、より多くの機能が要求される要介護4、5の利用者向けの市場においても、同社製品は他社よりも明確に低い価格を実現している。最も典型的な2モーターの介護ベッドでレンタル価格を比較すると、同社品の最頻価格が7,500円であるのに対し、競合メーカーのそれは8,000~11,000円と差が開いている。

弊社では、同社のこのポジショニングは今後も維持されるとみている。前述のように、同社はベトナム生産やファブレス体制の確立、少人数での組織運営など、低価格対応が確立している。それに対して競合メーカーは、国内生産主体や大人数の本社機能など、同社に比して相対的に高コスト構造となっている。また、各社とも市場における立ち位置を確立しているため、低価格競争に打って出るインセンティブもないと弊社ではみている。それゆえ、今後も同社は、低価格と高品質・高機能の両立を武器に、業界内で“攻め側”のポジションをとり続けることができると考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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