貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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7731 ニコン

東証P
1,526.5円
前日比
-40.0
-2.55%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
19.6 0.81 3.28 3.49
時価総額 5,365億円
比較される銘柄
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決算発表予定日

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C&GSYS Research Memo(2):主力事業は「CAD/CAMシステム等事業」と「金型製造事業」の2つ


■会社及び事業の概要

1. 会社概要
C&Gシステムズ<6633>の主力事業は金型用CAD/CAMシステムの開発・販売・保守等。これらの国内シェア(推定)は20%を誇る。顧客数は大手メーカーから従業員20人未満の中小金型メーカーまで約7,000事務所に上る。

2. 沿革
同社の起源は、主にCAD(コンピュータ支援設計:Computer Aided Design)を事業の主体とするコンピュータエンジニアリング株式会社とCAM(コンピュータ支援製造:Computer Aided Manufacturing)を事業の主体とする株式会社グラフィックプロダクツという2つの会社に由来する。当初はそれぞれ別々に企業活動を行っていたが、CADとCAMを融合することによるユーザビリティの向上や、将来の海外展開を見越して、両社は2007年3月に株式移転方式による経営統合に合意。2007年7月には純粋持株会社であるアルファホールディングス株式会社を設立してその株式をJASDAQ証券取引所(当時)に上場した。その後、純粋持株会社であるアルファホールディングスが2010年1月に両社を吸収する形で新たなスタートを切り、社名を現在の株式会社C&Gシステムズに変更し現在に至っている。

3. 事業内容
同社の事業セグメントは、金型設計・製造用のCAD/CAMシステムの製造、販売、保守サービスを行う「CAD/CAMシステム等事業」と金型製造を請け負う「金型製造事業」の2事業。2016年12月期のセグメント別売上高比率は、CAD/CAMシステム等事業が79.2%、金型製造事業が20.8%であった。

(1) CAD/CAMシステム等事業
さらにCAD/CAMシステム等事業は3つに分類され、2016年12月期の実績ではCAD/CAM製品の販売が連結売上高の30%、保守サービスが46%、開発サービスが3%に分けられる。

a) CAD/CAMと同社の領域
CADとはコンピュータを利用して各種製品や部品などの設計を行うシステム(ソフトウェア)のことである。自動車のボディや各種製品の形状設計、部品設計、金型設計、電子回路設計等に利用される。この中で同社が扱っているのは、「金型設計用」であり、同じCADであっても車体デザイン用や電子回路設計用などとは領域(市場)が異なる。

上記のCADで設計された製品や部品の多くは、最終的にはNC(Numerical Control)工作機械を使って製造されるが、そのためにはあらかじめCADで設計されたデータをNC工作機械用の数値データに変換することが必要で、これを行うのがCAMである。このため、通常はCADとCAMは一体で使用されるが、別々に利用される場合もある。同社においても、CAD/CAM一体で販売するケースとそれぞれ別々に販売するケースがあるが、CADとCAMの売上高内訳は公表されていない。

製品価格はオプション追加の有無等により150万~600万円ほどになるが、平均では1システム当たり300万円ほど。CAD/CAMシステムは一種のパッケージソフトであるが、ハードウェアについては特別の制限はなく、一般のPCでグラフィックス機能が強化されたものであれば使用が可能。顧客の買い換えサイクルは、リース期間との関係もあり平均で5年ほどであるが、特別な技術革新が進んだ場合やハードウェアの陳腐化などによって、サイクルが早まる場合もある。

b) 主要ユーザー
主要ユーザーはトヨタ自動車<7203>、アイシン精機<7259>、ヤマハ発動機<7272>、パナソニック<6752>、オムロン<6645>、アルプス電気<6770>、ニフコ<7988>、TOTO<5332>、ニコン<7731>、キヤノン<7751>、オリンパス<7733>などの大手メーカーから中小金型メーカーまで幅広く、総ユーザー数(事業所数)は7,000を超えている。ただし、これらの顧客のうち約5,500事業所は従業員20人未満の中小メーカーとのこと。販売は約80%が代理店経由(大手代理店5社、主要1次代理店約30社)、約20%が直接販売となっているが、代理店販売であっても同社の技術スタッフが同伴するケースが多く、顧客ニーズを細かく汲み取っている。

c) 市場シェア
国内の金型設計用CAD/CAMシステム市場における同社のシェアは約20%で、国内では日本ユニシス<8056>グループに次いで第2位となっている。ただし同データに掲載された他社の売上高の中にはCAD/CAMシステム及び金型向け以外の売上高も含まれていることから、純粋にCAD/CAMシステムだけの市場シェアで考えれば、同社の実質的なシェアは40~50%前後と推測される。

d) 特色と強み
同社は金型設計用CAD/CAMシステムの専門メーカーであるが、強みの1つが2次元/3次元両方に対応した高機能なCAD/CAMシステムをラインナップしていることである。また、同社製品は大小さまざまな金型への対応が可能であり、付加価値の高い0.2ミクロンほどの微細品用や自動車のバンパー向けの大きな金型などに対応できることも同社の特色、強みである。このように専業メーカーとして幅広い対応が可能なため、顧客はワンストップで様々なニーズを満たすことが可能になる。

特に同社製のCAMは、独自の演算プログラムにより、高精度加工※を実現し、世界でもトップクラスの高い評価を得ている。また、金型の設計段階から加工設定を行え、効率的な金型製作を実現している。多くの製品が「自社開発品」であるため、顧客ニーズをすぐに次の製品にフィードバックすることもできる。

※最終製品である金型の精度は、切削や加工を行う工作機械の精度に左右されると思われがちだが、実はCAMの精度が低いと工作機械の性能が十分に生かされない。精巧な金型を製造するためには、高性能な工作機械だけでなく高精度のCAMが重要な役割を果たしている。

そのため同社の顧客(事業所)数は、前述のような自動車、電機、精密等の大手メーカーや各種部品メーカーを中心に7,000以上に上っている。これらのユーザーの多くは、継続的に同社と保守契約を結び、新製品購入の場合でも同社を優先することが多い。その結果、ここ数年間の既存顧客の保守更新率は常に90%前後(2016年12月期は94%)となっており、業界標準を大きく上回っている。この事実が同社の収益基盤を安定的なものとしており、堅実経営を可能にしている。

また、同社の販売は約80%が代理店経由となっているが、主要代理店とは30年以上の協力関係があり、この間に培ってきた代理店との強いパートナーシップも同社の強みと言えるだろう。さらに海外の主要拠点に、CAD/CAM販売子会社、テクニカルセンター及び総代理店があり、国内外で同レベルの製品・サービス・支援を提供している。これにより海外市場へ水平展開を図る顧客の囲いこみが可能となっている。つまり、同社は顧客の水平展開への適応力を備えたCAD/CAMシステムメーカーであり、これも同社の強みの1つだろう。

以下は、同社製品の主な導入事例である。

1)オムロン
制御機器や電子部品の大手であるオムロンは、同社が提供するCAD/CAMシステムの導入によって、3次元設計、CAM、3次元ビューワー(閲覧ソフト)を構成し、これによってデータ連携が可能になり金型製作工程全体の効率化に成功した。

特に3次元ビューワーによって図面レス化が進み、図面製作時間を約30%削減した。将来的には部品の標準化や設計の自動化などの改良をさらに進めて、金型設計の納期を70%まで削減する計画とのことである。
(参考:「CGS-LETTER Vol.33 2013年7月1日号」)

2)昭和精機工業(株)
徳島県に拠点を置く自動車部品(インストルメントパネル、ドアパネル、バンパー等)や金型設計・製造企業。プロセス改革の一環として、同社の「CAM-TOOL」を導入した。

その結果、それまで放電加工機に頼っていた直彫りが難しい箇所も、「CAM-TOOL」によって直彫りが可能となり、電極作成に関連する多くの工程で時間短縮、コスト削減を実現した。昭和精機工業の某役員は、「プロセス改革は『CAM-TOOL』と一体になって推進されたと言っても過言ではない」と述べているそうだ。
(参考:「CGS-LETTER Vol.31 2013年5月15日号」)

さらに同社は、話題となっている3Dプリンタ関連ソリューションの分野でも積極的に研究開発を進めている。ただし、同社が開発を進めているのは樹脂の積層による従来型の3Dプリンタ技術ではなく、高精度な工作機械(マシニングセンターやNC旋盤)と組み合わせ、同社が開発する同時5軸制御技術によって積層造形と切削加工を同一の機械で行うという非常に高度な(3Dプリンタ+工作機械)の分野である。まだ初期段階ではあるが、将来的には有望な分野であり、CAD/CAMソフトウェアのノウハウを有する同社だからこそ実現可能な分野だと言える。

(2) 金型製造事業
金型製造事業は、北米の自動車部品メーカー(日系及び米系)から金型の製造を受注し、これを同社がアジア(主に韓国)の金型メーカーへ発注、そして同社経由でユーザーへ納入するもので、すべて米国向けである。売上金額は2016年12月期で連結売上高の20.8%を占め、利益を計上している。また、為替変動の影響を受けるが、収益への影響は軽微である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《NB》

 提供:フィスコ

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