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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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7599 IDOM

東証P
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ハウスドゥ Research Memo(5):経営資源をフランチャイズ事業とハウス・リースバック事業に傾注(2)


■経営戦略

(2)買取専門店?業界の先駆けとなる展開

他業界では、買取専門店がトレンドとなっている。中古車買取りの「Gulliver」(ガリバーインターナショナル<7599>)は言うに及ばす、バイクでは「バイク王」(バイク王&カンパニー<3377>、貴金属は「ダイヤバンク」(フィッシュランド/ドクターアイズ/ジャフサ)、本は「BOOKOFF」(ブックオフコーポレーション<3313>)、ピアノは「タケモトピアノ」、パソコンは「ソフマップ」などが活躍し、買取専門が常態化している。不動産業界では、同社が先駆した。大手仲介会社は、テレビCMは流すが、仲介がメインで買取りはあまりしない。一方、地場仲介会社は、仲介も買取りもするが、テレビCMを放映するほどの事業規模ではない。売り案件がブランド力のある大手に持ち込まれる傾向にあるため、地場仲介会社は仕入案件の減少が問題となっている。同社のFCチェーンは、不動産売買仲介事業で全国チェーンのブランドを築いている上、テレビCMも放映している。広告宣伝活動は、テレビやラジオなどのマスメディア、ネット(ホームページ)、リアル店舗、チラシのメディアミックスが行われている。また、直営店5店舗を運営してきたことで、買取専門店のノウハウを蓄積してきた。2015年6月期末の「家・不動産買取専門店」の総数は31店舗になった。

ハウスドゥ<3457>の買取専門店は、売買仲介・買取りをメインとし、少人数で店舗運営する。基本的には、店長1名に、事務1名、アシスタント1名+パート2名、パンフレット配布員2名で構成される。買取専門店の加盟店に対し、本部費が売買仲介店舗の半額の水準に抑えられている。地場の不動産売買仲介業者にとって、月会費が固定で、加盟金が安く、ポスター、チラシ、DMなどにイメージキャラクターが使えることが魅力だ。テレビCMの効果も大きい。加盟店は、年間2件の買取りで初期費用と月会費を回収できる。それ以上の案件獲得は、すべて利益となる。また、「ハウス・リースバック」案件に関しても多くの反響がある。

買取専門店の加盟メリットは、ブランド力だけでなく、資金面での支援が得られることである。資金力がない加盟店に対し、本部がJVパートナー(共同買取り)となり、買取りを可能にする。買取りの事業利益も、分担に応じて得られる。

買取業務でもスピードを重視している。売主に対する価格提示は、「3ヶ月程度で売却できる金額」、「1ヶ月程度で売却できる価格」、「すぐに売却できる買取価格」の3段階で提示する「即価格提示宣言」を行っている。そのため、加盟店に対し、直営店で実践している査定内容を研究会で詳しく教えている。

買取専門店のオーナーには、サテライト店への業態変更のルートも用意している。小規模な買取専門店から始め、将来、売買仲介、リフォームや建築提案などの不動産・建築のワンストップビジネスへ事業領域を拡大することが可能になる。同社のフランチャイズシステムはエリア制になっているため、サテライト店があるエリアに新規のサテライト店舗が開設されることはない。しかし、買取専門店が進出したエリアには、他のオーナーがサテライト店を開設することはある。買取専門店がサテライト店に業態チェンジをすれば、そのエリアを占有することができる。

(3)ハウス・リースバック事業?圧倒的No.1を狙う

ハウス・リースバックは、持ち主が自宅を売却後も住み続けられる、新しい住まい方の提案である。同社が住宅を買い取り、売主とリース(賃貸)契約を結ぶことで、売主は家賃の原資を含む現金を得られると同時に、愛着のある自宅、地域に住み続けることができる。同社が発案し、同サービスについてラジオCMを流したところ、予想以上の反響があったことから事業化に踏み切った。「ハウス・リースバック」の商標登録は、2013年に出願し、2015年7月に取得した。この事業で、圧倒的ナンバーワンの座を獲得することを狙う。サービス開始2年目となる2015年6月期の実績は、56戸の取得、累計ストックは68戸、売上高が202百万円であった。

利用者がハウス・リースバックで解決しようとしている問題は、子供の学校の学区域を変える引越はしたくない、住み慣れたマイホームから転居したくない、店舗として登録しているので移転できない、長期ローンの返済が苦しい、家を売却し老後の資金にしたい、買い換えたいが手付金がないなどである。利用者は、自宅に住み続けるため、売却したことが外部には知られないというメリットがある。また、資金の用意ができた段階で、同社から買い戻すことも可能だ。

これまでニーズの大半は、老後の生活資金と相続対策である。標準的な世帯の老後生活費が月間約26.9万円、年金が同20.7万円程度であることから、1,700万円の不足となる。ゆとりある老後生活費は月35.4万円とされている。住宅のリフォームや子供への援助で資金が必要になることも想定される。65歳の夫婦に支給される年金は、現役時代の報酬の63%相当であるが、現在35歳の夫婦の所得代替率は51%に低下すると推定されている。会社員の平均年収は1997年の467万円から2013年には414万円に低下し、退職金は2002年の2,612万円から2012年には2,156万円へ減少した。不動産を、所有から使用、活用する動きが高まることが予想される。

総務省の住宅・土地統計調査によると、2013年の全国の持ち家比率は6割を超え、家計主の年齢が65歳以上の場合は8割に達している。ハウス・リースバックの潜在市場規模は、極めて大きい。持ち家比率は3大都市圏でも58.0%と高く、関東大都市圏が56.5%、中京大都市圏が61.3%、近畿大都市圏が59.6%である。家計主の年齢階級別では、「25~29歳」の11.6%から、「30~34歳」で28.9%、「35~39歳」で46.1%と大きく上昇し、「40~44歳」で56.0%と5割を超える。65歳以上では8割と極めて高くなる。

金融機関が同様のニーズを取り込むために提供しているのが、「リバースモーゲージ」だ。こちらは、自宅に住み続けながら、家を担保に融資を受けられる制度になる。利用者の死亡後に自宅を売却するなどして、一括返済に充てる。現在の金利は3%程度で、月々の返済は必要ないものの、借入残高が徐々に積み上がる形になる。一方、ハウス・リースバックでは売却代金を一括して現金で受け取ることができるという違いがある。

同社の強みは、これまでの事業で蓄積した知見を生かしたスピードだ。顧客との面談、物件の査定、買取価格の提示は、買取専門店の運営で既に培われている。顧客起点を志向してきことから、顧客との面談場所は、自宅や同社店舗、指定されたカフェやレストランなどと柔軟に対応する。査定は、無料で行っている。物件の査定後、1週間以内に買取価格とリース料(家賃)を提示する。仮に契約者が死亡した場合でも、リース契約を相続できるため、残された家族が住み続けることが可能だ。

ハウス・リースバックの対象となる物件は、リース契約終了後に売却するため、不動産市場で流動性がある物件になる。戸建住宅だけでなく、マンションも対象となる。買取価格は、市場価格の7割程度を目安とし、最低ラインが500万円程度になる。年間リース料は、買取価格の8~10%としている。売買額の全額を一度に必要としない顧客は、一部を受け取り、残りを保証金とすることができる。その場合、年間リース料は保証金を除く受取金額を基に算出されるため、月額リース料を抑えることができる。リース契約期間は3年となっている。リース契約の延長は可能で、同社から一方的に打ち切ることはなく、10年、20年でも入居し続けることができる。同社が物件の売却時に負う不動産市況の変動リスクは、リース契約期間中のリース料収入と減価償却により簿価が低下するため小さいとみている。リース契約期間が終了した事例が少ないため、物件の出口戦略が固まっているわけではないが、不動産売買仲介を祖業としてきただけに、物件のリフォーム、新築への建替えなどバリエーションは豊富だ。

2015年8月より、個人事業主や中小企業の資産を対象としたサービス「アセット・リースバック」を開始した。スキームは、ハウス・リースバックと同様となる。顧客は土地や店舗、店舗付住宅、ビル、工場などの事業用不動産を同社に売却し、リース契約を結び、リース料を支払いながら利用することになる。資金繰りの改善や資金調達の手段とする。利用者のメリットは、売却時に現金を一括で受け取れる、売却資金を事業資金に充てられる、売却しても取引先や近隣に知られず、従来どおり事業・商売ができる、買換えのための事務所や店舗を用意する必要がない、再売買が可能などである。

ハウス・リースバック事業は、2018年6月期に売上高を1,547百万円、取扱件数を412件、保有資産残高70億円と計画している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)

《HN》

 提供:フィスコ

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