タカショー Research Memo(11):製販一貫のビジネスモデルやグローバル展開、トータル化などで成長図る
■成長戦略とその進捗
タカショー<7590>は、「ガーデン&エクステリア ライフスタイル メーカー」として更なる成長を実現するため、a)垂直ビジネス、b)グローバルビジネス、c)トータル化ビジネス、d)近代化ビジネスの4つの方向性を掲げている。
a)垂直ビジネス
同社の特徴である「企画から製造、販売、卸、サービス(メンテナンス)までの一貫したビジネスモデル」をさらに進化させ、現場視点による価値創造とコスト競争力を高めていく方針である。
b)グローバルビジネス
同社は、ガーデニング及びエクステリア分野における幅広いソリューションを世界規模で提供できるオンリーワンとして、海外展開にも注力する。中国での生産能力及び生産効率を高め、ホームユース向けを中心に、欧州、米国、オーストラリアのほか、韓国や中国現地への販路拡大を進めている。欧州では、英国子会社ベジトラグの開発商品である「ベジトラグアイテム」が好調であるが、2015年2月にはベジトラグを通じて米国ペンシルベニア州に販売子会社を設立し、市場の大きな米国での更なる販路拡大を進めている。一方、生産拠点である中国には約2万坪の工場を擁しているが、稼働率はまだ30%程度と推定される。したがって、米国市場からの受注拡大にも対応可能であるとともに、稼働率の向上により損益改善の余地もあるとみられる。
同社はホームユース向けについては、ガーデニングの本場である英国で企画・ブランド化した定番商品を中国で大量生産し、日本を含めた世界各地に提供するグローバル展開を目指している。また、国内で生産しているプロユース向け(エクステリアやコントラクト分野)の販路拡大についても視野に入れているが、最近では海外からの引き合いが増加しているもようであり、新たな展開として期待ができそうだ。
c)トータル化ビジネス
同社は、ガーデン及びエクステリアの住宅領域に加え、市場規模の大きな非住宅領域であるコントラクト分野にも本格参入した。ソリューション領域の更なる拡大を図るとともに、そこから派生する様々なニーズに対して、業態にとらわれることなく、国内外のグループが一体となった価値提供を行っていく方針である。なお、コントラクト分野では、需要が拡大している景観建材として「エバーアートボード」や「エバーバンブーR」などの提案を強化していく。また、同社のコンセプトである「5th Room」(庭をリビング、ダイニング、キッチン、ベッドルームに次ぐ5番目の部屋とする)に共感するメーカーや卸、設計事務所、施工業者との連携強化を図るとともに、現場に合ったものを必要な分だけ一括で供給できる体制など、現場の価値を高める仕組みを構築することで、他社との差別化を図っていく。
d)近代化ビジネス
同社は、「庭からできる省エネ・節電」と銘打って「スマートリビングガーデン」を提唱している。その一環として、LEDのイルミネーション、ソーラーライト、ローボルトライトなど、自然エネルギーの利用や省エネタイプの商品開発を通じて、庭でできる省エネ・節電をテーマに庭からのエコを提案している。最近では、ハウスメーカーが注力している健康住宅や、注目が集まっている庭園療法(ガーデンセラピー)などのライフサポート分野へも積極的に取り組む方針である。
弊社では、好調なエクステリア分野に加え、市場の大きなコントラクト分野と海外事業の拡大が同社の中期的な成長をけん引するものとみている。特に来期以降は、米国の販売子会社が本格的に稼働し始める海外事業が大きく伸びるものと予想している。また、コントラクト分野については、大手同業他社による参入の動きもみられるが、それだけ市場の魅力や可能性が大きいことの証左でもあり、むしろ市場開拓に向けて追い風となるとの見方もできる。順調に拡大してきたエクステリア分野についても、開発メンバーの増強などにより、素材を生かしたデザイン性や機能性の更なる向上を図るとともに、パッケージ化による販売促進にも取り組む方針であり、国内でのシェア拡大の余地は大きいと考えられる。
一方、業績の足を引っ張っている要因への対策にも注目している。国内のホームユース向けについては、新たな販売チャネルの開拓のほか、既存チャネルに対する売場提案や英国子会社(ベジトラグ)ブランドの投入などを通じて立て直しを図る方針である。メーカーとしての立ち位置をより明確に打ち出すことにより、本場英国発のトレンド発信機能を強化するとともに、製造工程の内製化を進めることで利幅の拡大にもつながるものと考えられる。また、同社がシェア70%程度を占める人工強化竹垣(プロユース向け)についても和風住宅の減少などから足元では縮小傾向が続いているものの、インバウンド(外国人旅行者)向けの対応を図る旅館や飲食店向けに需要の掘り起しを行う方針であり、これらの今後の進捗と業績回復に向けた道筋をフォローしていきたい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
《HN》
提供:フィスコ