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7521 ムサシ

東証S
1,827円
前日比
-1
-0.05%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.4 0.43 1.97
時価総額 145億円
比較される銘柄
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三洋貿易
決算発表予定日

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ムサシ Research Memo(3):選挙システム機材と文書デジタル化の2つの軸で成長を目指す


■中長期の成長戦略と主要事業の状況

1. 中長期の成長シナリオの概要
ムサシ<7521>の収益構造は長らく、情報・産業システム機材や印刷システム機材、選挙システム機材の収益が一定水準で安定的に推移し、国政選挙実施年において選挙システム機材の収益が急拡大して全社ベースの収益を前期比大幅増益に導くというパターンが続いてきた。それが株式市場における代表的な選挙関連銘柄としても認知度向上にもつながった。

こうしたなか同社は、選挙システム機材と並ぶ収益の柱の育成を図り、文書デジタル化(メディアコンバート)事業を2本目の収益の柱に育成すべく取り組んできた。しかしながら、東日本大震災を契機に一旦縮小した文書デジタル化事業の収益は回復が遅れ、年間売上高が40億円前後での推移が続いている。しかしながら、ここにきて文書デジタル化の事業環境に変化が出てきており、今後、成長軌道への回帰が期待される状況となってきた。この動きが本格化すれば、同社が目指してきた選挙システム機材と文書デジタル化事業の2本柱による成長というシナリオの実現に大きく前進することになる。

一方で注意すべき点もある。2018年3月期決算では、選挙システム機材は衆院選で期待以上に収益を伸ばしたものの、印刷システム機材の不振により、全社ベースの利益は想定ほどには拡大しなかった。前述のように、同社は選挙システム機材とメディアコンバート事業の2つの成長事業を抱えているが、それらの事業の収益拡大が全社の収益に確実に反映されるには、印刷システム機材をはじめとする、成長2部門以外の事業が安定的に収益を確保することが不可欠だ。攻めと守りのバランスを取りながら成長シナリオを実現できるかが注目される。


文書管理の“品質”への意識の高まりが追い風となり、官公需が復活。民需と官公需の2つのエンジンによる成長に期待
2. 文書デジタル化事業の成長戦略
文書デジタル化事業の売上高はここ数年、年間40億円前後(連結ベース)で足踏みが続いている。この状況が今後も続くのではないかと懸念する向きもあるだろうが、弊社では、文書デジタル化事業の成長性は失われてはおらず、同社にとっての成長エンジンとしての役割を果たすものと考えている。とりわけ、ここにきて官公需の事業環境に変化が出てきたことは大きな意義があると考えている。

文書デジタル化事業(メディアコンバート事業)の成長性を信じる理由は3つだ。

すなわち、1)市場の大きさ、2)民間市場の持続的拡大、3)官公需の再拡大だ。

市場の大きさのポイントは、文書デジタル化事業が、“アナログ⇒デジタル”(典型的には、手書き文書のデジタル化)だけでなく、“デジタル⇒デジタル”も需要として取り込めるということだ。“アナログ⇒デジタル”だけならば将来には需要がなくなるという見方もあるだろうが、現状はアナログ⇒デジタル市場ですら潜在市場のごく一部が開拓されたに過ぎない。一方、現代においてワープロソフト等を利用して作成される文書は既にデジタル化されており、一見すると同社の出番はないように思われる。しかしながら、そうした文書もインデックス(索引)や検索機能の付加で文書の利用価値が一段と高まる。これが“デジタル⇒デジタル”の付加価値の一例だ。つまり、様々な情報を活用するためのデータベースづくりが、同社のメディアコンバート事業である。よって、需要は年々高まりつつあり、市場は無限とすら言える。

文書デジタル化事業の需要先は、かつては官公需が約70%を占めていた。その後、官公需の競争が激化し収益性が低下するなか、同社は民需の取り込みによる成長戦略に切り替えた。民需開拓に当たっては、プロアクティブ(能動的)な姿勢と提案型営業の徹底をキーワードに臨んだ。これは案件の採算性を確保するために不可欠な取り組みでもある。そうした努力が奏功して、2018年3月期には民需が約70%と、わずか6年間で官民の構成比が逆転するに至っている。民需についてはメディアコンバートの価値を顧客のニーズに合わせて提案することで、まだまだ拡大余地が大きく、今後も成長分野として同社の成長のけん引役となることが期待される。

一方、官公需もここにきて再拡大の方向へ潮目が変わりつつある。昨今の公文書やデータ管理の状況を踏まえて、文書管理への意識が“品質”を重視する方向に変わりつつあることが背景にある。官公需市場では、最低価格落札方式が原則となり、入札参加者の資格水準も緩和される流れのなかで、収益性が低下していった。同社が民需に軸足を切り替えた背景はここにある。しかしながら現状は、総合評価落札方式への見直しや、入札資格の見直し、一貫した工程管理の重視などの動きが出てきている。こうした事業環境の変化は、同社にとっては明確に追い風と考えられる。これまでは官需から民需への移行というなかで収益の足踏みが続いてきたが、今後は、民需と官需の2つのエンジンによる成長というシナリオが期待できる状況にあると言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《HN》

 提供:フィスコ

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