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7521 ムサシ

東証S
1,814円
前日比
-5
-0.27%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
18.3 0.42 1.98
時価総額 144億円
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決算発表予定日

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ムサシ Research Memo(4):選挙関連機材を総合展開、圧倒的なトップシェアを誇る


■中核事業の動向

(1)選挙システム機材事業

1)概況
ムサシ<7521>は選挙関連機材を総合的に展開するトップ企業だ。開く投票用紙や投票用紙交付機・計数機、投票用紙記載台、投票箱など投開票作業で使用される各種機材を、選挙の入口から出口まで、一連の流れに必要なほぼすべてのアイテムがラインアップされている。

なかでも“選挙のムサシ”を象徴する最も重要な製品は「投票用紙読取分類機」だ。これは本体とオプション装置を含めた一式の価格が500万円前後と高額なシステムとなる。日本の選挙では開票作業を正確かつ迅速に行うことが求められており、また、最大の費用が人件費であるため、作業効率を大幅に向上させる投票用紙読取分類機へのニーズは非常に強い。過去、全国約1,700の地方自治体のうち、900以上の自治体に累計約3,000台の納入実績を有し、同社はこの分野でシェア80%超を握る。

2)業績インパクトの構造
同社は証券市場において「選挙銘柄」として広く認知されている。それは選挙システム機材の売上高の動向が、国政選挙の有無と高い相関性を有するからである。地方選挙においても一定の需要は出るが、国政選挙と地方選挙では規模がまったく異なり、収益インパクトは比較にならない。

過去の経験則からは、国政選挙がない年の売上高は2,000百万円前後であった(後述するが、2016年3月期はこれを破って2,518百万円と予想されている)。それに対して国政選挙が実施された年は4,000百万円前後へと明確に水準が上昇する傾向が読み取れる。加えて、年々、売上高が右肩上がりのトレンドを歩んでいることが見て取れる。

今後の選挙スケジュールでは、2016年3月期中は国政選挙が予定されていない。政治情勢も安定しているため、年度内の衆院選は想定しにくい状況だ。しかし2017年3月期においては、7月に参院選が予定されている。ここからの収益インパクトは、過去の例にならえば、同社の業績を前期比増益へと押し上げるのに十分なものを期待できよう。

加えてここ最近は、2016年7月の衆参同日選の可能性や、2017年4月の消費増税に絡んだ衆院総選挙の可能性が取り沙汰されている。衆院選実施の有無は誰にも予想できないが、仮に実施された場合の収益インパクトについては、以下のように弊社では考えている。同社にとってのベストシナリオは衆院選が参院選とは別日程で行われることである。参院選単独実施の場合に比べて、売上高が2倍近くに膨らむ可能性があると弊社では考えている。一方、衆参同日選の場合は、参院選単独実施に比べて、売上高は1.3倍程度にとどまると考えている。需要が重複して同社の売上高に結びつきにくくなるためだ。

同日にしても別日程にしても、同一期に衆参両院選挙が行われると、翌期の業績の谷がそれだけ深いものになるという点は留意すべきであろう。

3)今後の注目点
同社の選挙関連のトップ企業としての地位は今後も揺るがないと弊社では考えている。それは同社の中長期の業績に一定の安心感を与えることは疑いないが、国政選挙の有無による業績変動性もまた続くことになる。そこで、選挙事業の収益安定性をどう高めるかという点でいくつかの視点を提示したい。

a)選挙年齢の18歳への引き下げ
選挙年齢の引き下げは有権者数の増加となる。2016年7月の参院選においては有権者数が約240万人増加する。これによる同社への恩恵は直接的には投票用紙枚数の増加だが、この収益インパクトはごく限定的なものと言えよう。むしろ、同社がビジネスチャンスとして考慮するべきは、教育事業ではないかと弊社では考えている。同社に対しては既に、学校から模擬投票のための資材について協力が寄せられているもようだ。こうしたニーズが他にもあるのは確実なので、同社は各県の教育委員会に対して公立高校に対する選挙教育実施事業を売り込んではどうだろうか。1都道府県当たり20百万円の予算がついて47都道府県で実施できれば10億円近い売上高になるとの試算が可能だ。

b)民間選挙需要の取り込み
同社の強みは選挙関連機材の販売のみならず、選挙システムの構築・運用のノウハウを有している点にある。これらは公的な選挙にとどまらず、民間における選挙にも転用可能なものだ。過去にも労働組合や健保組合の選挙などの運営受託の実績がある。民間における選挙は数多く実施されており、実施規模や予算規模においても公的な選挙に引けを取らないものも数多くあると考えられるため、民間選挙需要の取り込みを積極化してはどうであろうか。

c)ソフトウェアの販売強化
同社の商品ラインアップには選挙関連ソフトウェアが数多く含まれている。これらは選挙実施の前に先立って整備されるべき項目であり、国政選挙の未実施年においては相対的に重要性が高まる商品と言える。この販売強化は大きなテーマでないかと弊社では考えている。また、これらソフトウェアは民間の選挙向けにも販売が可能であると考えられる。民間での選挙運営受託まで至らない場合でも、ソフトウェア販売においては実現性が高いのではないかと考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川 裕之)

《SF》

 提供:フィスコ

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