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7438 コンドーテック

東証P
1,248円
前日比
+3
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PTS
1,256.9円
13:57 04/24
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
11.0 0.97 3.21 517
時価総額 329億円
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因幡電産
決算発表予定日

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コンドーテック Research Memo(6):2020年代中に売上高1,000億円を達成することを基本方針とする


■中長期成長戦略

1. 事業認識と基本方針
当面、インバウンド向け施設や東京オリンピック・パラリンピック関連施設、企業収益改善による民間設備投資、リニア中央新幹線や整備新幹線関連工事など旺盛な建設投資需要が見込まれる。社会インフラの老朽化に伴う維持修繕工事の増加、自然災害に対する防災・減災・耐震へのニーズ、人手不足や働き方改革への対応もある。ASEAN各国の経済成長も少なからず好影響があると考えられる。しかし2020年以降は、人口減少による国内市場の縮小や財政制約による公共投資の抑制など、既存コア事業の背景となる国内の建設投資需要が減少すると予想されている。一方、維持修繕や省力化の需要増加やASEAN各国の成長本格化など、事業環境が変化していくことも想定されている。

コンドーテック<7438>は、良好な環境が見込まれている当面の間に、今後成長が期待できる、海外や維持修繕、省力化といった分野への投資を行うことで予見される事業環境の変化に対応し、持続的な成長と長期的な企業価値の向上を目指す。そのため、経営基盤の強化や適切な資金配分による成長戦略によって、近年順調に伸びている業績を、今後も維持、拡大していく考えである。その結果として、2020年代中に売上高1,000億円を達成することを基本方針とした。基本方針に沿って、同社は現在、既存コア事業の一層の収益力強化を目指すオーガニック成長戦略と、今後成長が見込まれる分野への進出を図るノンコア成長戦略を展開している。


オーガニック成長戦略とノンコア成長戦略で攻める
2. 成長戦略
(1) オーガニック成長戦略
オーガニック成長戦略は、4つの施策、自然災害への対応、拠点展開の3つから成る。4つの施策とは、販売基盤の拡充、新商材の提供、売り方の工夫、販売ルートの開拓である。販売基盤の拡充では、営業担当者が毎月1件の新規販売先を開拓するとともに、休眠顧客の掘り起こしを含めて、単体売上高の10%を目標に毎期行っている。新商材の提供では、営業部門と製造部門が合同で開催する新商材委員会による新商材の開発を加速する。既に角フックボルトやコンベース・エコ、イエローポイントシリーズ、アルプス印鉄滑車などヒット商品の実績は多い。売り方の工夫では、例えば、アンカーボルトの納入時に施工も実施することで販売領域を開拓する、吊り具アドバイザー制を導入することで専門性を高めサービスの差別化を図るなどである。販売ルートの開拓では、ホームセンターや鉄道会社など比較的新しい取引先との関係を深化させるとともに、首都圏専任担当者を設置してゼネコン商社などの集中購買に対応する。

自然災害への対応では、異常気象の常態化を想定することで、ブルーシート・土のう袋類や防災シート、コンテナバッグ、ネット・シート類など、災害の現場で使用される資材を各販売拠点に在庫として十分備蓄する。また、被災地の早期復興のためインフラ整備にも注力し、緊急時のクイック・デリバリーの体制をさらに充実させる方針である。拠点展開では、特に東日本大震災以降、年に1つ以上のペースで販売拠点を新設しており、地域の顧客により近づくことでクイック・デリバリーの能力を向上させる考えである。とはいえ、省力化も視野に入れねばならず、2017年にeコマースグループを設置し、ネット通販の可能性を検証していく方針である。

(2) ノンコア成長戦略
ノンコア成長戦略では、海外展開によるエリアの拡大とM&Aなどによるカテゴリーの拡大を目指す。海外展開では、経済発展が著しいタイ、インドネシア、ベトナムといったASEAN諸国との海外取引を強化すべく、2012年にタイに現地法人を設立した。ASEANにおいては中長期的に建設資材などの需要拡大が期待されていることから、現在、事業拡大に向けて販売基盤の強化を図っているタイを、ASEANへの橋頭堡とする考えである。

M&Aでは1)船舶造船、運送、陸海荷役、製造生産設備、漁業、養殖、農業などの隣接する業界、2)建築物・構造を支える部材の強化など事業の深掘り、3)ASEAN事業を本格展開するためタイ・インドネシア、4)販売経路の拡大や店舗・カタログ通販・ネット通販への進出による販売形態の拡充??という4つの視点を重視している。1)においては三和電材(株)、2)においては中央技研(株)という実績がある。2018年に入って、同社はエヌパット(株)と業務資本提携契約を締結、同社がエヌパット(株)の株を5%取得することになった。エヌパット(株)は、「あと施工アンカーボルト」や「インサート」を中心に、「N-PAT」のブランド名で建築用金物の開発や製造、販売を行っており、2)と4)の視点での業務資本提携ということになるだろう。


2021年3月期の売上高58,674百万円、営業利益4,089百万円を目指す
3. 中期計画
同社は長期目標に向けて毎期ローリングした中期経営計画を公表している。2019年3月期-2021年3月期については売上高58,674百万円、営業利益4,089百万円を目指す。中期経営計画を達成するため同社は、SDGs(持続可能な開発目標)とESG(環境・社会・ガバナンス)を意識し、事業活動を通して社会的責任を果たすことで経営基盤を強化、持続的な成長と長期的な企業価値向上を達成する考えである。また、資本効率と株主還元の目標を設定することで、効率的経営と安定継続的な利益還元の両立も目指す。具体的には、自己資本当期純利益率10%以上を目標に設定することで、M&Aや事業拡大など積極投資による成長性と資産の効率的使用による収益性をともに向上させ、一方で連結純資産配当率2.5%以上を目標に、株主還元の責も果たしていく方針である。

キャッシュ・フロー面では、手元資金9,893百万円と今後3年間で得られる営業キャッシュ・フロー8,400百万円を効率的・効果的に配分していく方針である。配分の内容は、M&Aに3,600百万円、設備投資に2,800百万円、人への投資(退職金制度変更)に1,200百万円と成長投資に7,600百万円を振り向け、一方、株主還元に2,300百万円を振り向ける予定である。ちなみに、株主還元に振り向ける予定になっている額は、年2円以上の増配が可能になるという単純計算が成り立つ額である。

中期経営計画の間、2020年7月~9月に東京オリンピック・パラリンピックが開催される。それまでは建設業界も特需的な景気が見込まれるが、その後は反動が懸念されている。このため、同社の2021年3月期の業績は相対的に低い伸びになっている。同社は2020年以降、容易に国内需要は改善しないと想定しているもようである。従って、そうしたタイミングで、オーガニックな成長からノンコアの成長へと同社の戦略が切り替わっていくと推測される。その際、合理化投資による収益性改善とM&Aや海外展開による成長性確保が戦略目標になっていくと思われるが、自動化やロボットの研究を進めている中央技研(株)の買収は、そうした環境への布石であるかもしれない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《MW》

 提供:フィスコ

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