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7247 ミクニ

東証S
433円
前日比
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-1.14%
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単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
9.1 0.40 4.62
時価総額 147億円
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決算発表予定日

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不二精機 Research Memo(6):事業ごとに医療用精密金型、自動車関連部品にそれぞれ経営資源を集中


■中長期の成長戦略

1. 今後のビジョン
地道な人材育成と技術開発・品質管理体制の着実な整備を進め、オンリーワン(不二=2つとない)企業を目指す。

2. 成長分野への注力
不二精機<6400>は競争力の源泉である射出成形用精密金型及び成形システム事業では、売上拡大よりも収益性アップを目指し、医療用・食品容器用分野を伸ばす計画。精密成形品その他事業では自動車(2輪・4輪)関連部品に経営資源を集中し、アジア地区での生産拡大で価値の拡大を図る。この成長戦略に沿い、相次いで工場の増設、新工場開設、また工場の生産効率改善を加速させている。具体的には、タイ工場では生産能力が手一杯になっているなかで、検査などの対応が遅れがちで、これに対し検査の自動化を進めている。今後、人件費などの軽減が見込まれるほか、現状の工場を改装することで増産に対応する。またインドネシア工場においては隣接する貸工場の増床、2019年12月期は先行費用がかかり営業減益を余儀なくされたものの、2020年12月期以降の生産能力拡大が収益寄与に結び付くだろう。このほか、精密成形品その他事業の競争力の源泉となる精密金型の製造において、新たに高知県宿毛市に精密金型の新工場開設も進める。安定的な人員確保に対応し、投資総額4億円でまずはCADでの金型設計業務において2022年12月の操業開始を目指す。

(1) 射出成形用精密金型及び成形システム事業:医療用・食品容器用を拡大
射出成形用精密金型及び成形システム事業においては、医療用・食品容器用を拡大させ、その他分野はリスクも高いとして拡大路線は取らず、特に医療分野に注力する。同事業においては2019年12月期売上高実績で売上比率の59.5%まで比率が高まったが、特にPFS(プレフィールドシリンジ)の売上高拡大に期待が持てる。PFSは針刺し事故の危険性軽減や薬剤調整作業にかかる時間の短縮、さらには保管効率化や運搬の簡便化など、多くの利点を有し、各種製剤で採用が進んでいる。複数の調査機関で、今後さらに拡大する見込みとする調査結果を出している。またPFSにおいて、現在は生理食塩水などの低薬価製剤向けが中心であるが、高粘度のヒアルロン酸製剤やワクチン製剤などへの採用も増えている。さらにPFSは薬液の長期保存も求められており、ガラスに替わる耐熱性と高い水蒸気バリアー性を持つ環状オレフィン樹脂(COP/COC)向け精密金型も開発中で、付加価値も高められるだろう。現在、ニプロ<8086>、テルモ<4543>、ジェイ・エム・エス(JMS)<7702>、旭化成メディカル(株)などの国内ユーザー、日系現地法人向けに供給しているが、今後は中国市場でも本格拡大を目指す。2019年3月に発表された経済産業省の医療国際展開カントリーレポート中国編では、中国の医療機器市場は2018年の244.8億米ドル規模に対し、2019年以降も平均12%成長し、2022年には354.8億米ドルに達すると予想されている。また同社の関連する注射器やシャーレなどの消耗品向けも、2018年の44.68億米ドルから2022年には84.42億米ドルへ拡大すると見られ、いかにこれを取り込んでいけるかがポイントとなる。そのほかにも同社は、既存の成形設備のままで取り数を増やすことで単位当たり生産数量のアップが可能なホットランナー金型(射出成形において、成形機で可塑化された樹脂を製造部へ送る樹脂経路となる部分をヒーターで加熱して経路部が固化しないようにして生産効率を高める金型)中心に需要拡大を目指す。

(2) 精密成形品その他事業:自動車部品事業に注力
精密成形品その他事業においては、自動車部品事業に注力する。同社は現在、海外ではタイ、インドネシア、中国(上海)において精密成形品の製造を行っているが、いずれの地域でも日系自動車メーカーの現地生産が拡大している。特に同社は2輪においてはケーヒンを通じた本田技研工業向けが多く、一部ヤマハ発動機<7272>向けにも対応、また4輪は日系現地法人であるケーヒン、デンソー<6902>、ミクニ<7247>、東海理化<6995>、ミツバ<7280>、アイシン精機<7259>、住友電装、日立オートモティブシステムズ(株)、大同メタル工業<7245>などからトヨタ自動車<7203>、本田技研工業向け中心で、その他多数の自動車メーカーに採用されている。今後、これら3地域ではさらに日系自動車メーカーの生産拡大が期待されるとともに、自動車の軽量化に伴う金属から樹脂化への動きも加わり、樹脂成形品需要の拡大が見込める。

同社は2019年12月期にマツダ<7261>系のユーシンを主要取引先としている秋元精機工業を子会社化した。秋元精機工業は1960年設立で、精密プレス加工用の金型設計・製作と板金プレス部品、インサート成形品、絞り板金プレスなどの製造経験を持つ。2020年12月期は秋元精機工業の収益がフルに加わり、売上面では4億円程度の寄与が見込めるが、各種経費増などで利益寄与は見込んでいない。従来、同社はプラスチック金型の専業として事業展開してきており、今後、「CASE」(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)に対し、樹脂成形品に加え精密金属部品を金型内にインサートして樹脂成形する「インサート成形品」への対応などを図る。秋元精機工業はインサート成形についてのノウハウを持ち、同社の自動車部品事業において自動車用コネクタ部品などへの参入を想定している。自動車産業は部品認定に時間がかかり、すぐには成果が出ないものの、マツダ関連企業との取引も含め中長期的にシナジー効果が発揮できると見られる。

上記のような積極的な成長戦略を実行する同社であるが、足元は、短期的にコロナウイルスの影響を受けて需要減退が生ずる懸念がある。また米中貿易摩擦などの影響もあるが、自動車の軽量化や精密部品ニーズの高まりから同社の精密成形品に対する需要は着実に増加する見通しで、全体として注力2分野の拡大により2020年12月期下期以降、改めて収益性の向上が見込まれ、その後は着実な事業拡大が期待される。

当面、自動車部品関連については2020年前半までは米中貿易摩擦問題や自動車関税問題などがくすぶり、低調な状況が想定されるものの、中長期的には同社の収益を大きくけん引していくことになるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)

《EY》

 提供:フィスコ

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