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7162 アストマックス

東証S
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アストマックス Research Memo(5):再生可能エネルギー関連事業と電力取引関連事業で利益が拡大(1)


■事業別の業績と取り組み

1. アセット・マネジメント事業
アストマックス<7162>の2020年3月期の国内投信の事業環境は、公募投信・私募投信の残高が増加傾向であったものの、第4四半期に新型コロナウイルス感染症拡大の影響で大幅減少に転じている。そうしたなかでもASTAMの運用資産残高は、高報酬率ファンドの償還が断続的に継続し、機関投資家解約の動きも見られたことから、2020年3月末の運用資産残高は前期末比1,069億円減の3,103億円となった。運用資産の減少に加え、報酬率が相対的に高いファンドの運用資産残高の減少等を受けて運用資産全体の報酬率も低下したことから、ASTAMの営業収益の総額は前期比で減少した。

なお、ASTAMは同社の持分法適用関連会社となったことから、当期よりアセット・マネジメント事業の営業収益はAFMの数字のみを表し、セグメント損益にはAFMに加えてASTAMの持分損益を反映している。以上の結果、当事業における営業収益は100百万円(前期比94.9%減)、セグメント損失は27百万円(前期は168百万円の利益)となった。

ASTAMでは、当年度を通じてファンドの満期償還と機関投資家の解約の動きが続いたが、低金利が継続している現状の金融市場環境においては、各機関投資家の資産運用ニーズをより的確に捉えることが従来にも増して重要であり、こうしたニーズを十分に把握したうえで、外部運用機関との協働も含め、機関投資家の運用成果に貢献しうるファンド組成をタイムリーに行っていくことに注力している。同時に、投資信託の販売会社等との協業も強化することによって運用資産残高の積み上げに努め、収益基盤の拡充にも取り組んでいる。また、これまでの主力事業である機関投資家向けビジネスに加え、個人投資家向けビジネスについても一層の強化を図るべく、投資未経験者を含む個人投資家に向けて、対面型営業による長期積立型投資信託事業及びヤフーとの協働によるファイナンシャル・テクノロジーを活用した個人投資家の長期資産形成に貢献できる積立型ファンドビジネスを強化することで、引き続きASTAMの企業価値向上を目指している。公募投信Yjam及びウルトラバランススシリーズの累計販売会社数は、2020年3月期末で35社(前期末比8社増)となっているが、2020年5月より楽天証券(株)が両投信シリーズの取り扱いを開始した。

2. ディーリング事業
ASTRAが行う当事業では、エネルギー及び貴金属の裁定取引で収益を確保できたものの、第1四半期の損失計上に加え、2020年3月に入り新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延から取引所間の価格体系が崩れ、再び損失を計上した。その結果、営業収益は426百万円(前期比12.1%減)、セグメント損失は56百万円(前期は10百万円の利益)となった。なお、当事業セグメント損益には含まれていないが、ASTRAが保有する海外取引所の会員権の価格が簿価から50%以上下落したため、評価損34百万円を特別損失として計上した一方、TOCOMの株式の公開買付に伴い、ASTRAが保有するTOCOMの普通株式及び無議決権株式はすべて買付けられ68百万円の特別利益を計上している。

同事業では、今後も経費節減に努めると同時に、ディーリング資金の効率的な運用を行い、取引所の組織や制度変更にも適切に対応し、引き続き収益力の回復を目指す。なお、海外投資家へ開放された中国の先物取引市場については、第3四半期より取引を開始している。

3. 再生可能エネルギー関連事業
ASTRA及びえびの地熱が推進する当事業では、2020年3月期末までに合計18ヶ所(うち1ヶ所は建設中)の太陽光発電所の開発等に従事した。うち同社が保有する発電所は4ヶ所、残りは売却済(2つは売却目的で保有中)である。同社では、保有発電所からの売電収入のほかに、売却済の発電所についても「発電所の管理・オペレーション収益」と「発電所用の土地の賃貸収入」等がある。以上から、同社が保有・管理する太陽光発電所の発電容量は、合計33.6MW(前期比3.1MW増)に達した。

2020年3月期の太陽光発電は、九州地方で春・冬を中心に合計24回の出力抑制発令、夏は長雨による日射量不足の影響など減収要因が発生した一方、ポートフォリオの入れ替えによる製品売上計上や東北地方の日射量が高水準であったこと、売却目的で保有する発電所の売電収入増加などの増収要因が上回り、当事業の営業収益は1,580百万円(前期比174.4%増)、セグメント利益は34百万円(同350.8%増)となった。

なお、当事業は太陽光発電設備の保有形態によって、売却した際の計上が営業収益又は特別収益のいづれかになる為、調整後のセグメント利益も示している。当事業の2020年3月期の特別損益を加味した調整後セグメント利益は32百万円であった。(セグメント利益34百万円-特別損失 2百万円(当事業に帰属する農業関連企業への出資の評価損))

太陽光発電事業では、FIT価格の低下、入札制度実施の流れのなか、同社では2次流通市場における事業発掘を推進している。また、2012年の事業開始以降蓄積してきたファイナンス、発電所設計・維持・管理等のノウハウや投資家とのパイプラインを基に、太陽光発電100MW相当への拡大を目指す。

また、宮崎県えびの市において2015年から開発中の地熱発電事業は、調査井4ヶ所において自噴を確認し事業化に向けて着実な前進を示している。2020年3月には、えびの地熱の事業損益の10%を分配する匿名組合契約を大和エナジー・インフラ(株)と締結し、取り組みを加速・拡大させていく。地熱発電は、太陽光発電に比べて発電量が大きいことから、事業化できた後の収益貢献への期待が大きい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)

《YM》

 提供:フィスコ

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