貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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7013 IHI

東証P
3,844円
前日比
+11
+0.29%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
1.83 2.60 11.46
時価総額 5,946億円
比較される銘柄
三菱重, 
日立造, 
三井E&S
決算発表予定日

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動乱の北東アジア、崩落の日経平均-的中した不安と下値メド <株探トップ特集>


―日経平均330円安を呼んだ2つの理由、マーケットの暗雲はいつ晴れる―

 東京株式市場はにわかに波乱の様相を呈している。6日の日経平均株価は一時約330円安となり、1万8500円台前半まで下落、大引けは1万8600円近辺まで戻したものの、1月24日の1万8787円を大幅に下回り、年初来安値を更新した。3月末を境にここまで株価はまさに“つるべ落とし”の下げ。日経平均は3月末に日足一目均衡表の雲を下抜け、トレンド転換の兆候をみせていたが、目先崩れ足となったことで下値リスクが改めて意識される展開となっている。

●FOMC議事録が思わぬ波乱要因に

 まず、前日の米国株市場の乱高下が東京市場の変調を主導した。米国市場ではADP全米雇用リポートが事前予想を大きく上回ったことを材料に、出足快調に上昇しNYダウは一時200ドル近い上昇をみせたが、終盤になって大失速、41ドル安で着地する引け味の悪さをみせた。引き金となったのは、この日発表されたFOMC議事要旨だ。複数のメンバーが現在の株価水準が割高であると指摘したほか、量的緩和に伴い膨張したバランスシートを巡る議論では、メンバーの大半が「年後半にも保有有価証券の再投資政策の変更が適切になる」との見解を示したことが売り急ぎの背景となった。

 そしてこれは、東京市場にとっても重い材料となった。松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏は「市場ではバランスシート正常化への動きが、いわゆる利上げに代わるものとの認識をメンバーが持っていると解釈した。これが年内あと2回は行われるとみられていた利上げ回数が減少するとの思惑につながり、米長期金利の先高期待が急速にしぼんだ。日米金利差の縮小から中期的にも円安が期待できないとの見方が強まり、日本株にはネガティブに働いている」としている。

●威嚇射撃がトランプ堪忍袋の緒を切る?

 加えて、全体相場の下げを助長したのが折からの北朝鮮を巡る北東アジア情勢の緊迫化である。

 6~7日の米中首脳会談が行われる直前になって、北朝鮮が日本海に向け弾道ミサイルを発射。このタイミングでの“威嚇”が「米国トランプ大統領の堪忍袋の緒を切ることになる」との見方が広まった。トランプ米大統領は日本時間6日朝、安倍首相と電話での首脳会談を行い、北朝鮮への圧力強化の構えを示した。その際に「すべての選択肢がテーブルの上にある」と強調したことが伝わり、これまでくすぶっていた朝鮮半島を巡る地政学的リスクが急速にその存在感を大きくしてきた。

 個人投資家資金は防衛関連に位置づけられる材料株に集結。石川製作所 <6208> は前々日に続く2度目のストップ高に買われたほか、豊和工業 <6203> も急動意。新興市場では細谷火工 <4274> [JQ]が値幅制限上限に張りつき、興研 <7963> [JQ]、重松製作所 <7980> [JQ]など“一連の銘柄群”は揃って値を飛ばした。

●AI売り仕掛けで95%下落相場再演

 もっとも、北朝鮮問題については市場関係者の間では比較的冷静な見方が多い。東洋証券ストラテジストの大塚竜太氏は「株価は正直で、本当にマーケットが臨戦モードなら三菱重工業 <7011> やIHI <7013> が動き出す。個別物色は個人トレーダー中心のマネーゲームで動いている相場に過ぎない。また、全体相場は米長期金利の動向をにらみながら、またぞろ機械的な売りプログラムが作動した感がある」と指摘する。確かに、6日の日本株市場の下落率は韓国を含むアジア各国市場と比較しても突出しており、東証1部の95%を超える銘柄が値を下げている。

 大塚氏は「売り方にはここ最近にないくらい足もと売り材料が揃っているが、今回の下げも一過性のものにとどまる可能性が高い。為替も大きな変動がみられないなか、おそらく短期で終息して、米中首脳会談を通過した来週には戻りに転じる公算が大きいとみている。空売りの反動もあって日経平均は短時日で1万9000円台に復帰しそうだ」と強気の見解を曲げていない。

●武力行使の可能性は希薄、円高基調は続く

 今後の為替動向についてはどうか。上田ハーロー執行役員の山内俊哉氏は「米中首脳会談の議題の優先順位は北朝鮮問題が第一となり、続いて通商・為替問題となった感がある。ただ、米国は武力行使をちらつかせるような事態となっても、実際に北朝鮮に攻撃を仕掛ける可能性はかなり低い。米中首脳会談が終わっても、トランプ政権の政策実行力が問われる状況に変化はなく、ドル安・円高基調は続く。1ドル=110円を割れば108円台後半が意識される展開」という見通しを示している。

●テクニカル的には1万8000円攻防も視野

 もちろん、今の株式市場を取り巻く環境は刻一刻と変化している。テクニカル的見地から全体相場の弱気転換を示唆する声も出ている。

 証券ジャパン調査情報部長の大谷正之氏は「きょうの大幅下落で、昨年12月から続いていたもち合い相場の下放れが明確になった。1月高値(5日の1万9615円)と3月高値(2日の1万9668円)をダブルトップとして、その間につけた安値(1月18日の安値1万8650円)を下回ってきた。また、25日・75日の両移動平均線のデッドクロスが目前となっている。下値メドは、取引時間中ベースで、昨年6月安値から3月高値までの上昇幅の3分1押しに当たる1万8000円前後の水準とみている」とする。

 いずれにせよ、トランプ米大統領と習近平中国国家主席による初めての直接会談の結果をマーケットは固唾を飲んで見守ることになる。対北朝鮮で協力体制を構築することができるのかどうか。また忘れてならないのは、貿易不均衡を強く主張する米国との通商交渉で、仮に物別れに終わった場合は、日本にも少なからぬ影響が及ぶことになる。このビッグイベントを通過したあとに相場の景色はどう変わっていくのか、新年度入り早々、4月第2週の東京株式市場は大きなヤマ場を迎えそうだ。

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