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7003 三井E&S

東証P
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12:03 04/19
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海の「自動運転関連株」出港へ、2025年自動運航船時代への航路 <株探トップ特集>


―官民一体の自動運航システム構築で国際標準化に狙い、政府本腰で商機を得るのは―

 自動化技術の波が自動車から船舶の分野にも広がってきた。国土交通省は11月15日に、自動運航船の実用化に向けたロードマップ策定のための議論を開始すると発表。官民一体となったオールジャパンで自動運航に関する独自システムを構築し、これを国際標準化することで国内関連企業の競争力を強化する狙いがある。船舶は水の流れや風の影響を受けやすく、自動車よりも自動化が困難といわれるが、政府は2025年までに国内で建造する約250隻に自動運航システムを搭載する計画だ。

●海難事故や船員不足の問題に関心高まる

 自動運航船とは、ICT(情報通信技術)などを活用して、遠隔による操船支援や見張りの自動化、機関故障の予知・予防が可能な船舶のこと。通信衛星を利用して運航情報をリアルタイムに陸上の制御室に送り、陸上から操船を支援する指示を受けることで、防波堤など海図に載る障害物や、氷山など海図に載らない障害物、航行中の他の船舶との衝突を回避し、安全に目的地まで航海することができる。既に小型船舶などに付けられている「自動操舵装置(オートパイロット)」は船の進む方位だけを制御するもので、見張りや障害物との衝突回避は人間が行う点に自動運航との大きな違いがある。

 現在、海運業界が抱える課題として、海難事故と船員不足が挙げられる。海上保安庁によると、16年までの5年間で事故に遭った船舶1万876隻のうち、事故原因の約2割が「見張り不十分」。「操船不適切」や「機関取扱」、「船体機器の整備不良」なども含めれば人為的要因が約8割を占め、自動運航船が普及すれば海難事故の削減に寄与することが期待できる。一方、世界の海上輸送量の着実な増加に伴い、今後、船員需給はさらに逼迫する見通し。国交省が発表している船員職業安定年報では、16年の船員有効求人倍率は2.04倍(15年は1.98倍)と高い水準で推移しており、船舶の自動化によって労働環境を改善することが船員の確保につながるとの見方もある。

●商船三井と三井造は次世代型船舶管理支援システムを実用化へ

 海上ブロードバンド通信の進展やICTを活用した船舶の運航支援技術の高度化などを背景に、自動運航船の導入に向けた動きが世界的に活発化するなか、国際海事機関(IMO)は6月、日本など9ヵ国が提案した自動運航船の安全に関する国際基準の検討開始を決定した。英国やノルウェーなど伝統的な海運国が当面のライバルとなるが、政府は世界に先駆けて技術開発を進めることで国際ルールづくりの主導権を握りたい考え。同月に開催された「未来投資戦略2017」では、25年までの実用化に向けて船舶の設備や運航などに関する国際基準の23年度中の合意を目指すことが示されたほか、それに伴う施策の実施が盛り込まれた。

 こうしたなか、自動運航船を巡る官民プロジェクトは既に始動しており、今年5月には商船三井 <9104> と三井造船 <7003> が共同提案していた「自律型海上輸送システムの技術コンセプトの開発」が、国交省の「交通運輸技術開発推進制度」の研究課題のひとつとして採択された。これは船舶の自動・自律運航技術導入のロードマップ作成を目的としたもので、この流れの一環として6月には両社で次世代型船舶管理支援システムの実用化・商品化に向けて共同開発を進めることを発表している。

●郵船はNTTなどと船舶IoTに関する共同実験を開始

 また、日本郵船 <9101> も16年6月に、4つのプロジェクトが国交省の「先進安全船舶技術研究開発支援事業」の補助対象事業に採択されている。このうちのひとつ「船舶の衝突リスク判断と自律操船に関する研究」は、非常時における陸上からの遠隔操船や見張りを補助するための映像と航海計器情報を重ねた機器を開発することで、海難事故の防止と船員の負担軽減を図ることを目的としており、古野電気 <6814> や東京計器 <7721> 、日清紡ホールディングス <3105> 子会社の日本無線が参加。

 機関プラント事故の低減を目指す「ビッグデータを活用した船舶機関プラント事故防止による安全性・経済性向上手法の開発」には寺崎電気産業 <6637> [JQ]と三菱化工機 <6331> が、船舶の海難事故を未然に防ぐ「大型コンテナ船における船体構造ヘルスモニタリングに関する研究開発」にはジェイ エフ イー ホールディングス <5411> やIHI <7013> が大株主となっているジャパン マリンユナイテッド(東京都港区)が名を連ねている。

 このほか、郵船が今年9月から、NTT <9432> やエヌ・ティ・ティ・データ <9613> と船舶IoTの次世代プラットフォーム開発について共同実験を開始したことも注目点だ。

●西芝電、大興電通、ダイハツディなどにも注目

 日本が主導する自動運航に関する技術やルールが世界標準となれば、船舶用機器の輸出やシステムの受注につながり、船舶用機器事業を手掛ける企業の追い風になることが期待される。今後は船舶関連銘柄が注目される場面もありそうで、船舶用電機大手の西芝電機 <6591> [東証2]、船舶IoTサービスに取り組んでいる大興電子通信 <8023> [東証2]、グループ会社がオートパイロットを扱っている横河電機 <6841> 、自律航行無人ボートを手掛ける東陽テクニカ <8151> 、遠隔操縦装置や高度船舶安全管理システムを販売する阪神内燃機工業 <6018> [東証2]、船上・陸上の双方でエンジン情報を“見える化”する機関運用支援サービス「CMAXS LC-A」を提供するダイハツディーゼル <6023> [東証2]などの動向はマークしておきたい。

 また、直近では富士通 <6702> 傘下の富士通研究所が11月1日に、東京海洋大学と共同開発した人工知能(AI)活用の船舶性能推定技術(気象や海象によって変動する船の速度や燃料消費量の予測)の実用性を確認したと発表。ジャパンエンジンコーポレーション <6016> [東証2]は16日に、日本郵船グループのMTIなどと取り組んでいる舶用エンジンの安全性向上とメンテナンス時期の最適化の実現に向けた研究で有用な結果を得たことを明らかにしている。

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